「んっ」
刹那、触れ合う唇と唇。
今度は歯を当ててしまわないよう、彼女の口内へ舌を忍ばせる。
「ん、っふ……、ぅ」
「名前……」
時折漏れる艶やかな嘆息。
無意識に逃げようとする舌を追いかけ、絡ませる。
「ッんん……ぁ、っ!?」
「……止まんねえ」
自然と、手は名前の脇腹から胸にかけてに這わせていた。
ビクリと揺れる身体を一瞥しつつ、性急にかつ焦らすように上着のボタンを外していく。
「っ、はぁ、はっ……ギアッ、チョ……ひぁっ///」
力が入らないのか、いとも簡単にインナーを脱がせば、ブラジャーに隠された二つの膨らみ。
慌てた様子で彼女が手を使おうとするが、何事もなく両手首を掴む。
明かりに照らされ、白い輝きを放つ丸みが動きと共に揺蕩い、ギアッチョはまじまじと見下ろしながら呟いた。
「お前、意外に胸デケーんだな」
「ぁ……や、やだっ、見ちゃ、ダメ……!」
「無茶言うんじゃねえよ」
「ん、っ!」
奇遇にもフロントホック。
緊張を悟られないように、できる限り余裕の表情でそれを取り去る。
ようやく目にすることができた名前の乳房。
そして、荒い呼吸で上下する胸元を見た途端、
「ぁあっ!? や、ぎあ、ちょ……吸っちゃ、ぁッ」
順序など気にすることなく、左の乳首へと顔を寄せ口に含んだ。
嬌声と淫靡な音が鳴り渡る。
吸われたかと思えば、甘噛みされ、舌で転がされ――名前は恥ずかしさと混乱と現れ始めた快感に戸惑うばかり。
――私……なんだか、変……!
「は、ぁっ、あん……だめ、ぇっ」
収まることを知らない鼓動。
何かを求めて、腰が小さく揺れ動く。
ギアッチョは、それに目敏く気付き、少しだけ口端を上げた。
「オイ……なに身体揺らしてんだ」
「へ、? ぁっ……やだ、そっちは……ッ」
「スカート履いたテメーが悪い」
「やぁあ!?」
スカートの裾から右手を入れ、内腿をなでる。
こちらも忘れるなと言うかのように歯で突起を刺激すれば、当然ながら小刻みに震える肢体。
「ぁ、っや、はぁ、はあ……触っちゃ、やぁ」
「触ってほしくねえなら、なんでココ湿ってんだよ」
「ひぁッ」
下着越しに秘部を指先で擦る。
やめてほしそうに名前がいやいやと首を横に振ったが、布はジワリと濡れていくばかり。
「……これ、もう着けてる意味ねえな」
「!? やあ……っ///」
するりと剥ぎ取られ、足首にかかるショーツ。
それが羞恥心を助長して、懸命にギアッチョの肩を押してみるも、彼も男だ。
微動だにしない。
「暴れんな」
「ん、ぁ……っは、恥ずかし、のぉ……!」
陰核を弄られ、膣内を指で蹂躙される。
愛液が溢れ出していると、嫌でも自覚してしまう。
耳に届くクチュリクチュリといった水音。
自分のモノとは信じたくなくても、押し寄せる快感に脳髄がクラリとし始め、朦朧とする感覚。
「……こんぐらいか」
「っ、……ぁ、?」
突如、胸と秘部から消える刺激。
恐る恐る頭を上げると、目に映ったのは――
「!?!?」
いつの間にか、服を脱いでしまっていたギアッチョ。
鮮明に捉えてしまう身体に慌てて視線をそらしても、彼に頭を掴まれ、そちらを向かされる。
メガネも何もない、交わり合う互いの瞳。
「っ、ギアッチョ……」
シーツに縫い付けられ、肌と肌が掠めるたび震える名前の姿に、小さく眉をひそめた男はおもむろに口を開いた。
「……恐えのか?」
「ッ……」
コクン
頬を赤らめたまま頷いた彼女に、何を思ったのかギアッチョがその手を掴む。
「! あ、え?」
右手が向かった先は、彼の左胸――すなわち心臓。
ドクン
ドクン
と感じるそれは、かなり速いようにも思える。
自然と、恐怖心はなくなっていた。
――緊張してるのは……私だけじゃ、ないんだよね。
≪信じろ≫。
音として鼓膜を震わせたわけではないが、真摯な瞳でそう告げてくれている気がした。
「……足上げんぞ」
「んっ」
抱え上げられる膝裏。
秘部がモノを感じ取り、ヒクヒクと誘い込むように動く。
「〜〜っ」
「!」
その熱さに思わず名前が彼の首に縋り付いた刹那――
「ぁ、っああ……!」
「ッ、名前……」
「はぁ、はっ……ん……ッふ、ぁ」
艶やかで生々しい音。
ナカが性器で圧迫され、侵されていく。
肩口に額を預け、痛みと快感の狭間で嬌声を上げる。
「く、ッ……動く、からな」
「っぁ、あっ……ぎあ、っちょ……ッやぁあ!」
抜き差しが繰り返され、気まぐれに貫かれる最奥。
蠢く肉襞は一物を離さまいと、きつく強く締め付けた。
「は、ぁんっ、はぁ……っ、や、ぁあっ」
ふと、遠退きかける意識と勢いよく押し寄せる快感。
漠然とだが、≪何かが来る≫と悟る。
「ぁっ、んん……も、ぁっ、あっ……、ッひぁあああ!?」
「名前、ッ……!」
性器とは違う、熱い液体がナカで爆ぜていく。
すべてが――意識や思考、理性でさえも終わってしまうような、ある種の終末感。
それを全身で覚えながら、快楽という名の痙攣と痺れに足先から脳髄までを委ねた。
「んっ……コンタクト、取れちゃった……」
情事後の雰囲気の中。
ようやく息を整えた名前は布団に包まれながら、ぽつりと言葉をこぼした。
一方、メガネをすでにかけ、天井をただまっすぐ見つめていたギアッチョは、右隣で呟く彼女にそろりと視線を向ける。
「……部屋にあんだろ? メガネ」
「えっ、と……実は、プロシュートに没収されちゃって」
「はア!? ッあのジジイ……!」
「ぎ、ギアッチョ! 寒いから、まだ出ないで……?」
ベッドから抜け出そうとした彼の腕を掴み、控えめに引き寄せた。
「……」
渋々振り返れば、直接突き刺す琥珀の瞳に跳ねる心臓。
どうしても、慣れない。
面と向かっては言えないが、今日のようなお洒落は自分の前だけにしてほしい。
「オイ」
「えっ?」
「……それでもかけてろ」
刹那、久しぶりに戻る感覚と重み。
景色の中にある縁でよくわかる――ギアッチョのメガネだ。
首をかしげながら彼を凝視すれば、ぼんやりとだが真っ赤な耳が見えた。
「ンだよ、その顔」
「! っううん、なんでもない! ありがとうギアッチョ……!」
「…………(ふいっ)」
いつもよりは霞む視界の中で、名前はそっぽを向いたギアッチョに対して、花が咲いたような笑みを浮かべるのだった。
レンズ越しの瞳
可愛い≪あの子≫はメガネが似合う。
〜おまけ〜
「オイ、名前のメガネ返せ」
「は? ああ、あれならもうアジトにはないぜ?」
「はアアア!? まさか名前にずっとコンタクト生活させるつもりかよッ!?」
「ハン! お前がそうしたいならそうすりゃいいじゃあねえか。まあ、新しいメガネ買ってやるのも、お前の株が上がっていいかもしれねえな」
「! ……チッ」
完全に言い負かされた。
しかし、彼女の嬉しそうな笑顔を見るのはいいかもしれない。
紫煙を燻らせた男に背を向け、ギアッチョは部屋に向かって歩き出そうとした、が。
「それと、今日はリゾットがケーキを作ってくれるってよ」
「……ア? なんか祝い事でもあんのか」
「ククッ、安心しろ。夜になりゃあわかる」
意味深な笑みを残して去っていったプロシュート。
彼の宣言通り、夕食後にケーキは出された。
ところが。
「な、なんじゃこりゃアアアアッ!?」
「名前。お前は見ない方がいい(目を隠し)」
「?」
美味しそうなケーキを包む、真っ白なクリーム。
その上に刻まれた≪脱☆童貞≫という文字に、彼が発狂したのは言うまでもない。
![](http://img.mobilerz.net/sozai/1616_w.gif)
大変長らくお待たせいたしました!
ギアッチョで眼鏡っ娘ヒロインとギャグ裏でした。
びすこ様、リクエストありがとうございました!
ちなみにサブタイトルの≪あの子≫はギアッチョ君とヒロイン、どちらにも当てはめたつもりです。
感想&手直しのご希望がございましたら、お願いいたします!
Grazie mille!!
polka
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