※イチャイチャ注意
チーム内随一の苦労性・ホルマジオは困っていた。
それは、いつものごとくギアッチョが言い回しの矛盾に対してぶちギレ、家電品を壊したからではなく。
懐いている(と思っていた)猫が、なぜかアジトを飛び出してしまったからでもない。
もちろん、猫は探すつもりだが。
「リゾット……大好き」
「……オレは愛しているぞ?」
「! もう……っ私だって、愛してるんだから」
ソファで愛を語らう二人。
男――リゾットが恋人である名前を自分の膝に乗せ、抱きしめている。
当然ながら、彼女の方も嬉しそうに彼の首に腕を回していた。
「ふ……可愛いな、名前は」
「ほら、またすぐそうやって言う……」
「本音だからな、仕方ない」
チュッ
「〜〜っ////」
一見、かなり甘ったるいが優しく穏やかな、恋人間では当たり前の風景。
しかし、ここはある種(チームにとっては)公共の場だ。
普段からロマンスを求めて三千里歩き、愛読書は恋愛小説だとドヤ顔で口遊むメローネでさえも堪えかねたのか、先程青ざめた顔でトイレへ駆け込んでいった。
それを一瞥したホルマジオも、今すぐにリビングを飛び出したかったが、猫特集の番組をみすみす逃すわけにはいかない。
イルーゾォは、危険を察知し鏡へ逃亡。
プロシュートも何をしているのか見当はつかないが、部屋から出てきていない。
ペッシは、皆の食糧を獲りに釣竿を持って出かけていった。
――そういや、ギアッチョは……。
「オイ、ホルマジオ! 猫を特集すんなら俺にも教え……ゲッ」
「あ」
なんとバッドタイミング。
番組表を手に現れた男が見たのは――
「か、かっこいいリゾットに言われたくない!」
「オレが、か? ふむ……名前、詳しく教えてくれないか」
「え? あ、えと、その……毎日鍛えてるところとか、お料理してる姿とか……前、ナンパを追い払ってくれたときとか……と、とにかく! いつでもリゾットはかっこいいの!」
顔を真っ赤にした名前と、その肩口に顔をうずめながら彼女に羞恥プレーを強いる我らがチームリーダーではないか。
「……(イライラ)」
「(やべェェ)ま、まあ……猫でも見て落ち着けよ、ギアッチョ」
「…………チッ」
ガンッ、大きな音を立てて隣に座るギアッチョ。
その右足はひどく揺すられている。
≪敵は身内にもあり≫。
よく聞く言葉だが、この状況にぴったりなのかもしれない。
愛くるしい猫の視界の端にはバカップル――仲間であると同時に上司でもある彼と、自分たちにも優しい彼女に言うのは気が引けるが、本音である――が一つになってしまうのではと心配になるほど、強く抱きしめ合っている姿がちらちら映る。
そもそも、なぜ部屋でイチャつかないのか。
以前、ふと気になったホルマジオは真顔でパスタを茹でるリゾットに尋ねてみたことがある。
「なあ、リーダー。ずっと思ってたんだけどよォ、名前とは部屋で過ごしたりしねェのか?」
すると――
「……名前が、キャミソールに短パンとすごく無防備なんだ。服から覗く下着に白い太腿。ああ、ダメだ……思い出しただけでも、襲ってしまいかねない……いや、明日は休みだ。一日中部屋で名前と過ごすのも手だな」
「あー……」
予想通りというべきか、なんというか。
とりあえず、聞かなきゃよかったと彼が後悔したのは言うまでもない。
「あ、そうだ! 今日実は、プリン作ったんだ! みんな食べよ?」
ずいぶん回想に耽っていたらしい。
ホルマジオの視界を横切っていくのは、恋人の膝から立ち上がり、タッタッとキッチンへ向かう名前。
消えていく可愛らしい背中を名残惜しそうに見つめる、リゾットの顔のなんと情けないこと。
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チーム内随一の苦労性・ホルマジオは困っていた。
それは、いつものごとくギアッチョが言い回しの矛盾に対してぶちギレ、家電品を壊したからではなく。
懐いている(と思っていた)猫が、なぜかアジトを飛び出してしまったからでもない。
もちろん、猫は探すつもりだが。
「リゾット……大好き」
「……オレは愛しているぞ?」
「! もう……っ私だって、愛してるんだから」
ソファで愛を語らう二人。
男――リゾットが恋人である名前を自分の膝に乗せ、抱きしめている。
当然ながら、彼女の方も嬉しそうに彼の首に腕を回していた。
「ふ……可愛いな、名前は」
「ほら、またすぐそうやって言う……」
「本音だからな、仕方ない」
チュッ
「〜〜っ////」
一見、かなり甘ったるいが優しく穏やかな、恋人間では当たり前の風景。
しかし、ここはある種(チームにとっては)公共の場だ。
普段からロマンスを求めて三千里歩き、愛読書は恋愛小説だとドヤ顔で口遊むメローネでさえも堪えかねたのか、先程青ざめた顔でトイレへ駆け込んでいった。
それを一瞥したホルマジオも、今すぐにリビングを飛び出したかったが、猫特集の番組をみすみす逃すわけにはいかない。
イルーゾォは、危険を察知し鏡へ逃亡。
プロシュートも何をしているのか見当はつかないが、部屋から出てきていない。
ペッシは、皆の食糧を獲りに釣竿を持って出かけていった。
――そういや、ギアッチョは……。
「オイ、ホルマジオ! 猫を特集すんなら俺にも教え……ゲッ」
「あ」
なんとバッドタイミング。
番組表を手に現れた男が見たのは――
「か、かっこいいリゾットに言われたくない!」
「オレが、か? ふむ……名前、詳しく教えてくれないか」
「え? あ、えと、その……毎日鍛えてるところとか、お料理してる姿とか……前、ナンパを追い払ってくれたときとか……と、とにかく! いつでもリゾットはかっこいいの!」
顔を真っ赤にした名前と、その肩口に顔をうずめながら彼女に羞恥プレーを強いる我らがチームリーダーではないか。
「……(イライラ)」
「(やべェェ)ま、まあ……猫でも見て落ち着けよ、ギアッチョ」
「…………チッ」
ガンッ、大きな音を立てて隣に座るギアッチョ。
その右足はひどく揺すられている。
≪敵は身内にもあり≫。
よく聞く言葉だが、この状況にぴったりなのかもしれない。
愛くるしい猫の視界の端にはバカップル――仲間であると同時に上司でもある彼と、自分たちにも優しい彼女に言うのは気が引けるが、本音である――が一つになってしまうのではと心配になるほど、強く抱きしめ合っている姿がちらちら映る。
そもそも、なぜ部屋でイチャつかないのか。
以前、ふと気になったホルマジオは真顔でパスタを茹でるリゾットに尋ねてみたことがある。
「なあ、リーダー。ずっと思ってたんだけどよォ、名前とは部屋で過ごしたりしねェのか?」
すると――
「……名前が、キャミソールに短パンとすごく無防備なんだ。服から覗く下着に白い太腿。ああ、ダメだ……思い出しただけでも、襲ってしまいかねない……いや、明日は休みだ。一日中部屋で名前と過ごすのも手だな」
「あー……」
予想通りというべきか、なんというか。
とりあえず、聞かなきゃよかったと彼が後悔したのは言うまでもない。
「あ、そうだ! 今日実は、プリン作ったんだ! みんな食べよ?」
ずいぶん回想に耽っていたらしい。
ホルマジオの視界を横切っていくのは、恋人の膝から立ち上がり、タッタッとキッチンへ向かう名前。
消えていく可愛らしい背中を名残惜しそうに見つめる、リゾットの顔のなんと情けないこと。
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