02



「さあ、名前! みんなも待ってる! さっさとやっちゃおうぜ?」


「ッ、なんであんたみたいな変態と――んぐっ」


「へーむはへーむははらは(ゲームはゲームだからさ)」



口内に広がるチョコの味。

10センチ先には、ムカつくが端整な顔。

楽しげでありながら、真剣さを交えた瞳。

さらりと流れる右側だけ長い、手入れされたブロンド。



それらに一瞬でも見惚れてしまった自分が、憎たらしい。




「んじゃーひふよ?(んじゃー行くよ?)」


「! 待っ――」



ポリッ、ボリボリボリ


「!!」



意外!

それはメローネのポッキーを食べる速さ。



驚く彼女をよそに、彼は細長いお菓子をどんどん食べ進め――


「あ」


「うわッ」


「やっちまったな、オイ」



呆然とする周り。

その視線の先には、重なった二つの唇。


「んっ……!?」


さらに濃くなるカカオの香り。

だが、同時に名前の口内が捉えるのは、これでもかと言うほど動き回る自分のモノではない舌。



「……ベネ。ごちそうさま!」


「あ……、え?」


離れる男の顔。

嫌になるほど残る、熱く柔らかな感触。


――今、何が起こった?

――誰が、誰に?


――何をした?



≪限界≫を訴える頭。


すなわち、キャパシティーオーバー。



脳内が沸騰していくのを感じながら、彼女は目をぐるぐると回し――





バタン


「ちょ、名前!? 名前――ッ!!」


ショックゆえか羞恥ゆえか。

その答えを明かさないまま、名前は意識を失った。











王様はだれ?
誰がなっても碌なことが起こらないのが、暗殺チーム。




〜おまけ〜



「ん……、?」


「あ、目が覚めた?」


そろりと瞼を上げる。

視界を覆い尽くすのは、優しく微笑するメローネと――肌色。


「ッ」


この香り、自分の部屋ではない。

そう判断した瞬間、名前がベッドから抜け出そうとする。


しかし。


「待ってよ」


「!」



それは、なぜか一人だけ裸の男に引き留められてしまった。



「名前。さっきはごめん。……怒った?」


「……怒らないわけ、ないでしょ」


「うん、うん、そうだよね…………でも。オレ、本気で名前のこと好きなんだ」


「な、〜〜っ」



いつもとは違う彼の声色に、正直調子が狂う。

誰だって、好意を持たれるのは嬉しい。

メローネもなんだかんだ言って、大切な仲間のうちの一人だ。

無下にはできないのも事実。

自然と、必死に抜け出そうとしていた力を抜いてしまっていた。



すると――


「と、いうわけで」


「は?」



ドサッ


背中を包む温かい感触。

気が付けば、メローネとシーツの間に逆戻りしているではないか。

こちらを見上げて眉をひそめた彼女に、男は下卑た笑みを湛えながら呟く。



「さ、名前? これからじっっっくり、愛を育もうぜ? だいじょーぶ! 名前とオレの子なら絶対に可愛いし、ちゃんと認知するから! ね? ね!」


「…………な」


「え? よく聞こえなかっ――」



ガンッ



「たァッ!?!?」


刹那、大事な部分に走った鋭い衝撃。

蹴りを入れられ、悶絶するメローネを押しのけて、ベッドから立ち上がった名前が一言。



「一人でヤってな、≪ピ――――≫野郎」



≪入るな、危険≫ということで知られるその部屋には、一体の屍だけが残されたそうだ。











お待たせいたしました!
暗チで王様ゲーム、メローネ落ちでした。
ノア様、リクエストだけでなくメッセージまで……ありがとうございました!


感想&手直しのご希望がございましたら、お願いいたします!
Grazie mille!!
polka



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