精神交替の夜に
※連載「Uno croce nera...」のヒロイン
※裏
※いわゆる3Pになります、注意!





名もなき平日の夜明けにて、玄関が突然開かれる。


その静寂を破る音を耳で捉えた瞬間、タッタッと小走りで駆け寄る黒い修道服の少女。



「おかえりなさい……!」



名前の紅い瞳には、仕事帰りの男二人。

今日も無事に帰ってきてくれた――それが何よりも嬉しいのだ。


しかし、次にリゾットが取った行動で彼女の表情は変わる。



「おう、ただいま」


「え?」


いつもからは想像もつかない笑顔で自分の頭をなで、横を通り過ぎてしまった。

おかしい。

離れていく黒一色の背中を、小さく眉を寄せた少女がまじまじと見つめていると――



ギュウ


「!?」


「ただいま、名前」


「えっ、ええ!?」



今度は、プロシュートに抱きしめられてしまった。

それも習慣であるかのように強く。


≪まさか≫――嫌な予感が脳髄へ到達したと同時に、名前は早朝にもかかわらず叫んでいた。



「ぷ、プロシュートさん!」


「あ?」


「名前、なぜプロシュートを呼ぶんだ。今は――」


「リゾットさんも! お互いの顔を見てくださいっ」





「「……ん?」」


任務から帰ってきた二人は、心が入れ替わっていたのである。


外が薄暗かったせいもあり今更気付いたのか、少なからず動揺する彼らに慌てて彼女が部屋へ行くことを促す。


普段から何かと事件の多い暗殺チーム。

とは言っても、明らかに非常事態とも考えられるこの≪入れ替わり≫がこれ以上仲間の耳に広がり、さらに混乱を招くことだけは避けたかった。



「あの、お二人共……本当に何かしらの攻撃とかではないんですか?」


「おいおい名前。オレらがそんなヘマすると思うか? 確かに、妙なスタンド攻撃を繰り出す奴さんはいたが……ちゃんと避けたぜ、なあ?」


と口端を吊り上げるリゾット(プロシュート)。

一方、プロシュート(リゾット)も荘厳に満ちた顔で頷く。


「ああ。強いて言うなら、その攻撃を避けたことでプロシュートとぶつかり、頭にひどい衝撃を受けたことぐらいしか思い浮かばな、い……」






「「「……」」」







「それです! たぶんですけど、それしかありません……!」


(推測ではあるものの)原因はわかった。


だが、納得のいかない部分があるのか、リゾット(プロシュート)は眉間にしわを増やす。

なぜか、その表情だけは違和感がない。



「チッ……だが全員、悲鳴を上げさせる間もなく息の根を止めたはずだ。リゾットも見ただろ?」


「見たな。つまり今ある情報から推測すると、何らかの形でスタンドの効果だけが残留しているということか……厄介だな」


室内を支配する沈黙。

入れ替わったとなれば、不便も多いだろう。

口調はもちろん、表情もかなり異なる二人である。


自分には決して理解することのできない≪苦労≫に胸を痛めながら、とにかく状況を打破しようと少女は恐る恐る口を開いた。



「そ、そろそろ皆さん起きてこられると思うんですけど……どうしますか?」


「ふむ……今日一日は様子を見よう」


「だな。もう一回ぶつかってもいいが、おそらく骨折り損だ」


「名前も協力してくれるか?」


プロシュート(リゾット)の問いに、コクリと頷く。

三人の間だけで貫き通すことにした事態。


しかし、想像した以上に困難という壁は多かったのである。



「名前ー! 今日も良好? ベリッシモ良好かい!? なんなら、今からオレの部屋でじっくり身体検査をしようか? ね? シようぜ! ハアハアッ」


「……、メタリ――ぐッ」


「(このバカ! オレが≪メタリカ≫叫ぶとか不自然極まりねえだろうが……!)」


「……(すまない)」



恒例とも呼べる名前へのセクハラに、プロシュート(リゾット)がメタリカを叫びかけたり、



「あ、兄貴どうしよう! オレ――」


「ペッシィッ!」


「へ!?」


ひどく狼狽するペッシにリゾット(プロシュート)がいつものごとく叱咤するなど、なかなか人のクセというものは抜けなかった。



「ハハ、どうしたんだよリーダー。リゾット兄貴にでもなったみたいじゃねェか……なッ、名前」


「ホルマジオさん……はい、それもいいと思います……っ(プロシュートさんも、あまり喋らない方がいいかもしれませんね)」


「(悪い、ついクセが……)」









いろいろ発生した問題。

それらをなんとかフォローし合った彼らが気付いたときには、一日は≪終わり≫を迎えようとしていたのである。


「ふう……」


妙な気疲れを感じつつ、浴室から上がった彼女はゆっくりとドアノブを回した。



「あっ、リゾットさ……じゃなくて、プロシュートさん」


「よ。今日はありがとな、名前」



すると、視界に入り込んだのは、ベッドに腰を下ろすリゾット(プロシュート)の姿が。

扉を閉め一歩踏み出せば、微笑みかけてくる彼に少女はふるふると首を横へ振る。



「い、いえ、私は何も……なんとかなっていますか?」


「はは、まあボチボチってところか。筋肉で重い身体や、気に入らねえが視点の高さにも慣れたぜ……まだ違和感だらけだけどな」



しかしこんな堅っ苦しいモン、よくこんだけ置いとけるよなあ。

自分に気遣ってくれているらしい。

机にあるいくつものネクタイを摘まみ上げながら、ぽつりと呟く男。


確かにプロシュートは堅苦しいものを嫌う――普段の彼を思い返した名前は微かに笑みを浮かべた。



「ふふ……明日の朝、何事もなくリゾットさんとプロシュートさんが元に戻られていると嬉しいんですけど……」


「……ハン、戻らねえのはさすがに勘弁だぜ。それはあっちも同じだろうよ」


「はい」


小さく頷くと、彼女がポスンと音を立てて座る。


その反動で揺れるベッドに身を委ねつつ、リゾット(プロシュート)が何気なく枕側の少女へ視線を向けて――ギョッとした。

今、自分の見た目がリゾットだからこそ、油断しているのだろう。


「名前……お前って奴は……」


「プロシュートさん?」



いや、クセと言った方が正しいのかもしれない。


カラスの濡れ羽のような艶やかな髪。

滑らかであろう躯体を包む、たった一枚のパジャマ。

湯を浴びたあと特有のほんのり薄紅色に染まった頬や首筋。


心に衝撃を与えてやまないそれらに、この身体の持ち主ではないがドクリと心臓が脈打つ。



「……いくらなんでも無防備すぎだろ」


「え?」


「いや、なんでもねえ」


とシラは切ったものの、女――しかも愛している人の風呂上がりほど刺激的で、体内の芯に影響を及ぼすものはない。

毎晩このような格好で部屋にいるのならば、当然襲われるだろう。


――チッ、オレとしたことが……リゾットの姿で押し倒せってか? ふざけんじゃねえ。

名前を求めているのは自分自身なのか、それともこの≪身体≫なのか。



「……、名前」


「? どうしたんですか?」


「先に謝っとく……悪い。抑えられそうにねえ」


「え、……ひゃ!」



むしろ、そのどちらもなのかもしれない。


シーツへ広がる黒。

突然のことに、わけもわからず自分を見上げる深紅の瞳。


「あの……え?」


「ひでえ目眩ましだろ? こんな形でコトを進めようなんて自分で自分を許せねえが……名前、お前を抱きたい」


「ッ!」


愛しい人の声で苦々しげに紡がれる想い。

腰は男の両足で挟まれ、背中にベッドの固さを感じながらも、鼓動は言わずもがな加速する。

動揺と恥ずかしさで、彼の劣情を潜めた視線を直視できない。


だが、今起きている事態をふと思い出した彼女は、深い色の眼を見つめ、そっと唇を震わせた。


「ぷ、プロシュートさん、ダメです……!」



たとえ身体はリゾットであっても、この状況で身体を重ねることにはどうしても抵抗があった。

すると、少しばかり切なげに、だが嬉しそうに目を細めるリゾット(プロシュート)。


しっとりとまだ乾ききっていない美しい黒髪をなでる手つきは、ひどく優しい。


「ふっ……お前は、リゾットを……あいつの心を愛してんだな」


「! えと、そのっ……は、い////」








「けど、忘れんなよ」


「……プロシュート、さん……?」



かち合う瞳。

コツンと重なる額。




「リゾットの中にいる≪オレ≫も、お前のことを見つめてんだからな」


「!?」


「信じられないかもしんねえが、お前と出逢うまでこんな思春期のガキみてえな片想い、したことねえんだぞ? ……とは言っても、≪身を引く≫っつー選択肢はないし、今だってそうだ。この目に映る名前が欲しくてたまらねえ」



次々に鼓膜を揺らしていく、愛の言葉。

その直接的とも言えるそれらに、少女は狼狽した。


今にも触れてしまいそうな唇。

さらに、止めようと胸元に置いていた手の力も自然と抜けてしまい、起こりうる未来に目をきゅうと瞑っていると――


「何をしている」



室内を劈く声に、リゾット(プロシュート)の動きは止まる。

隠そうともしていない怒り。

それを背に受けつつ、名前の上から退いた彼はただ静かに口を開いた。



「取り込み中だ。邪魔すんな」


「邪魔? オレの姿をした同僚に名前が組み敷かれている――これを阻止せずにいられるか」



とりあえずプロシュートの部屋に居座ってみたものの、突如襲った不安に来てみれば案の定。

人知れずため息をついたプロシュート(リゾット)は、いまだ顔を真っ赤に染めたままの彼女に向かって、おもむろに右手を差し伸べる。



「名前、オレと一緒に寝よう」


「え? あ、あの、リゾットさん。それは……」


「はあ!? おいおい、リゾットリゾットリゾットよ〜! 感情でモノを言うんじゃあねえよ、オメーらしくもねえ。それで迷惑被んのは名前だ……≪お前と喧嘩した≫やら≪オレの部屋に入って寝た≫やら妙に勘ぐられんのがオチだぜ? 諦めて自分の部屋に帰りな」



混乱を極めた少女より先に反応したリゾット(プロシュート)が長ゼリフを吐き出し、シッシッと片手で追い払う仕草をした。

見た目とのギャップもあり言い方と行動はかなりひどいが、まさに正論である。


当然ながら、これでもかと言うほど顔をしかめるプロシュート(リゾット)。


「グッ……だからと言って、お前が名前と二人きりでいいという結論には至らない。同じ部屋で過ごすと言うなら、この子の半径一メートル……いや、二メートル以内に入るな」


「ハン、自分の身体にご無体なこと言い放って、悲しくねえのか? つーか、オレの顔で仏頂面すんじゃねえよ。それに口調も改めろ」


「お前こそ、その澄ましたような顔はやめろ。あと、人の指摘をする前に自分から変えたらどうだ」


「……っ(どうしよう……なんとかして止めなきゃ)」



ベッドと扉の前。

明らかに漂う険悪ムードに名前は思わずオロオロしてしまう。


しかし、自分が止めなければ何をしでかすかわからない。

さらにどちらも今日は仕事で疲れてるはずだ、と己を掻き立てて――



「〜〜リゾットさん、プロシュートさん!」


いつの間にか上体を起こしていた彼女は、睨み合いを続ける男二人の名を大きめの声で口にした。

そして、



「あの……さ、三人で眠るのは……どう、ですか?」


彼らがこちらを振り向いた瞬間、こう提案したのである。



「は?」


「名前、何を言い出すんだ」



それぞれの反応は予想通り。

もちろん、二人に疲れを取ってほしいことだけを考えている少女の中では、これは良策である。



そう、このときは思っていた。








「……ふっ、まあいいじゃあねえか。オレは賛成だぜ……三人で夜を過ごすっつーことは、名前にもそれなりの覚悟があるってことだろ?」


「えっ? 覚悟って……、きゃっ!?」


「プロシュート……!?」



クツクツと喉を鳴らし名前の背後へ回ったかと思えば、おもむろに机から取ったネクタイでリゾット(プロシュート)は目隠ししたのである。

それから、状況を把握できていない彼女の身体を一枚の布越しに弄り始めた。


「! やっ、ぁ……待って、くださ……っひゃん」


「……何をしている。名前に触れるな」


「チッ、実際触れてんのはお前の手だろうが、ややこしい。ま、正直複雑だが……オレは名前をこうして感じられて嬉しいぜ」


「ッ、いや……ぁっ、ダメで、す……っ耳元、ささやかな、でぇっ!」



己の手で形の変わる豊乳。

少しの間柔らかさを堪能した彼は、いとも簡単にパジャマのボタンを外してしまった。


そして、ぶるんと露になった二つの膨らみに、風呂上がりは下着付けてねえのか――と一人感心した男が、こちらへ般若の顔で近寄ってきたプロシュート(リゾット)に対して言い放つ。


「リゾットよお……解決法も残念ながらねえんだ。こうなったら、なんでもヤってみるしかねえだろ」


「……」


「気に入らないって顔をしてるが、んなモンオレだって不本意中の不本意だ。本当はオレ自身の姿で名前を食いてえよ」



いやいやと示すかのように首を横へ振ろうとする少女のうなじをつーと舌先でなぞりながら視線を向けると、ますます彼は眉間にしわを作っていた。


誰が食わせるか――まざまざと湧き出る男の≪独占欲≫に、小さくため息をこぼすリゾット(プロシュート)。



「まあ、いいぜ。オメーがこれに乗らねえなら、今からオレ一人で名前を味わい尽くす。……リゾット、お前は≪そこで見てろよ≫」


「ッ!」



わざと紡がれている挑発。

一時の感情で判断するなど柄でもないが、愛しくて仕方がない――身体が入れ替わりさえしていなければ今すぐにでも抱きしめたい名前のこととなれば、話は別だ。


この男の好きにはさせない。淫らに喘ぐ彼女への情欲と目論見を抱えたまま、プロシュート(リゾット)は一歩また一歩と歩き出した。



「へ……、っぁ、や、ぁあん! ど、どうして……はぁっ、ぁっ」



近付いた人の気配と増えた手のひらに動揺したらしい。


視覚を布で完全に奪われていることで、一つ一つの動きの行方がわからず、快楽に翻弄されている少女。



「名前……乳首をこんなに赤く腫れさせて……悪い子だな」


「ぁっ、やだ……っリゾットさ、ぁ、んっ……ひぁっ、ぁっ、ぁあ……!」



脇腹や乳房、腰部へと這わされる四つもの手。

時折、舌で転がされる硬くなった乳頭。

今にもズボンを突き破らんと膨張する一物。



「……ハッ」


自分の欲の象徴ほど傍から見たくないモンはねえな――胸中で自嘲の念を浮かべたリゾット(プロシュート)は上半身を彼に任せて、一人名前の足側へと回った。


「! っいや、ダメ……ぁっ、はぁっ、ん……脱がせちゃ、やらぁ!」



そして、彼女が嬌声交じりに紡ぎ出した制止の声も聞かず、薄い生地のズボンをショーツと共にずり下げる。

さらに片方の太腿を掴み上半身へ押し付ける形にしたリゾット(プロシュート)は、潤む薄紅色の陰部を視界に収め、今ですら愛液を零す膣口にチュプリと人差し指を挿入した。



「ッぁあ! ぁっ、ぁ……おねが、っや、あんっ……ぁっ、掻き混ぜな、で、ぇっ」


「……なあ名前。今お前の胸を揉みしだいてんのは、どっちの手かわかるか?」


「はっ、はぁ……え?」



突然耳を掠めた問い。

ところが、二人の触れるすべてが性感帯となって襲いかかってくるため、朦朧とした脳内では正直判断がつかない。


「ひぁ、っぁ……、わかん、なっ、ぁ……ん、やっ、ぁああ!」


「ほーう、わからねえのか……残念だったな、リゾット」


「!?」


シコリを解すように摘まれては、陥没させられる胸の頂き。

秘部において指の数が増やされたかと思えば、クイクイと攻め立てられる恥骨側。


それらの刺激に身体を弓なりにさせると、先程とは反対の方から別の声が聞こえてきた。



「名前……入れ替わっているとは言え、オレとはいつもまぐわっているだろう?」


「っ、ぁ……ごめ、っなさ……、ッぁ」


「……ふむ、お仕置きだな」


「! え、っいや……ぁっ、やらっ、そ、な……っぁ、ぁああん!」


甘噛みによって電流のように足の爪先から旋毛へと駆け巡る痺れ。

見計らうように柔くだが歯を立てられ、その度にビクリビクリと肢体が跳ねる。



「クク、名前。噛まれたら膣がオレの指を締め付けるんだが、気持ちいいのか?」


「ッ……ぁ、そうじゃな、っひゃ、ぁっあっ、クチュクチュやぁあッ」



いつの間にか三本になった指で弱点を突かれたかと思えば、押し寄せる胸への刺激。

グチャグチャ、ジュプジュプと響き渡る卑猥な水音。


もたらされる快感になす術もない少女には、すでに限界が来ていた。


「ひぁっ、ぁっぁっ、らめ……あんッ、ん、わたし、っぁ、イっちゃ……っ」


「ふっ……いいぜ」


「……イっていいぞ、名前」


「っ、らめ……らめ、ぇっ! はげし、っの、きちゃ……やっ、ぁっ、や、ぁああああ!」



プシュッ

刹那、二人の前で絶頂を迎えた名前が白い喉を惜しげもなく晒した途端、秘境で飛び散る半透明の液体。


指に感じた生温かさ。

それにリゾット(プロシュート)はにたりと笑う。



「へえ、名前は潮も吹けんのか……」


「し、お……? っぁ、!」



きょとんとする彼女の足をベッドへ戻した彼が、おもむろにベルトに手をかけ始めた。

その動作に、プロシュート(リゾット)が目を見開く。



「プロシュート、お前まさか」


「今ここで止めろってか? 正直癪だがよ、お前の身体ではあるんだ」


「ッ、だからと言って」


「それに、お前だって≪限界≫みたいじゃねえか」



ズボンを脱ぎ捨て、すぐさま少女のヒクヒクと震える割れ目へ赤くなった亀頭を宛てがえば、ひどく反応する体躯。


「!」


「名前、身体の向き変えんぞ」


「ぇ、……っひゃ」



次の瞬間、うつぶせにされたと同時に腰を持ち上げられ、今自分は≪四つん這い≫になっていると悟る名前。

リゾット(プロシュート)へ秘部を晒しているという事態が、恥ずかしくてたまらない。



「っ……いや、ぁ////」


「名前……」


「リゾット、一応その身体はオレのなんだ。生殺し状態で返されても困るぜ。名前がいいって言うなら、手か口で頼んだらどうだ」


「!」



困惑を帯びたプロシュート(リゾット)の声。

それにハッとした彼女は、自分を目の前で見下ろしているであろう彼の方へ顔を上げた。


リゾット以外の≪男≫は初めてなのだ。

だが、今は自分にある少しばかりの恐怖より――小さく息をのんだ少女はゆっくりと口を開き、



「……リゾットさん、あの……私、なんでもします」


と爆弾発言とも呼べる言葉を静かに紡ぎ出していた。



「!? 名前……だが」


「男の人の仕組みってよくわからないけど、その……いろいろ大変なんですよね? それに私……お二人がこれで戻ってくれるなら、いいんです」



当然、罪悪感は募る。

好きな人とは違う男性の性器に触れるということ、心を交わらせるということは怖い。


けれども、彼らに起きている状況は自分が思っている以上に大変なのだろうとも名前は感じていた。

この行為で少しでも希望が見出せるのなら――そう願って決めたのである。



「名前……提案したのはオレだが、いいのか?」


「プロシュートさん……、はい」


「バカ野郎。膝震えてんじゃねえか」


背後から聞こえた声色は優しい。

そして、次に届いた金属音に行為の始まりを感じた彼女は微かにだが笑ってみせた。



「すごく、すごく恥ずかしいけれど……協力、させてください」









「んっ、ふ……ぅ」


それから、ベッド上には膣口と口それぞれでモノに奉仕する少女。


「名前」


「ぁ、んん、ッ……はぁっ、はぁ……リゾット、さっ」



毛繕いのように丁寧かつ丹念に裏筋や亀頭を舐め、時折先端を吸い上げた。

目隠しをされた名前が、あられもない姿で男性器をしゃぶっている。

その淫靡すぎる姿に、さらに肥大する肉棒。



「! ど、して大きく……んっ」


「名前が可愛すぎるのがいけない。……咥えられるか?」


「/////はい……っんん」



頭を優しくなでられながら、彼女がなんとか口内へ熱を収めた。

根元まではさすがに飲み込めず、先端が喉をつつくが我慢だ。



「ハッ、オレのモンを頬張ってる名前はたまんねえが、こっちにも集中しろよ?」


「ん、っん、ふ、ぅ……ぁっ、ぁっ、いきなりそ、っな、ぁああ!」



刹那、しばらく動かないでいたリゾット(プロシュート)が抜き差しを始めた。

激しい律動に泡立つ結合部。


その誰がどう見ても鋭い性交を見かねたのか、プロシュート(リゾット)がおもむろに口を開く。


「……プロシュート。名前に無理をさせるんじゃあない」


「いたいけな名前の顔を手できっちり固定させてる奴には言われたくねえよ。にしても、エロい光景だな。え? 名前、見えてねえから教えてやるが……上と下の口からヨダレ垂らしながら美味そうに二本もの男根咥え込んで、串刺しにされてんだぞ」


「! ぁっ、やら……ん、んんっ……はぁ、っぁ、ふ、んぅ……!」


責めるかのような物言いに、温かな口腔でしっかりと咥えたまま首を小さく横へ振る少女。

だが、子宮が下りてくる感覚を先端で捉えたリゾット(プロシュート)には通用しない。



「ッ、襞キュウキュウ絡みつかせて……そうか、名前は言葉攻めに弱いんだな。可愛い奴」


「んっ、ぁ……ちが、っん……、ふぐ、っんん!」


「! 名前……ッ、いきなり吸い上げるな」


ねっとりと纏わりつくようにモノを包み上げる、体温と分泌された唾液。

自ずと腰を揺らし、名前の上顎へ擦りつけていた彼は、ふと現れた感覚に慌てて一物を抜いた。


「んん、んっ、ッ……ふ、ぁっ……、?」


「くッ」



次の瞬間、ビュルリとベッドへ放たれた白濁液。

ゆっくりと性器を彼女の胎内寸前へ打ち付けながら、それを見ていたリゾット(プロシュート)は片眉を吊り上げる。



「ふっ……このシーツ大丈夫か?」


「お前の精液で名前を汚すぐらいなら、買い替えるさ」


「ハン、ずいぶん嫉妬深いな、おい。……ま、オレも同じ状況じゃあ多分そうするだろうが」


「……リゾ、トさ……、っひぁ……!」



突然、再び引き込むように揺さぶられる腰。

すでに生理的なナミダで濡れ切ったネクタイ。

剥き出しになった陰核まで刺激する熱に、背は反らされた。


そして、前に気配を感じた名前は縋るようにプロシュート(リゾット)の首へ腕を回す。



「ぁっぁっ、あっ……や、っぁ、あん……はぁっ、はっ……ソコばっかり、やらぁ!」


「ほーう……ココがいいんだな?」


「ひぁ……!? らめっ、ん、ぁっ、ッ……はげし、っくしな、でぇ……ッ」


劈くパンパンという性器と性器が擦れ合う音。

ただただ啼き喘ぐ彼女をしっかりと支えていたプロシュート(リゾット)は、もう一度下に向かって揺れる乳首へ手を伸ばし、それを捏ねくり回し始めた。



「!? そ、なっ、ぁあっ……りょうほ、っしちゃ、ぁっ、あん、はぁ、はっ……や、っぁあ!」


「……名前」



彼の肩口へ顔を埋め、二つの性感に戸惑う少女。

ビクビクと小刻みに震える内腿。


一方、己の中で押し寄せた波にリゾット(プロシュート)は婀娜やかな吐息を滲ませる。


「っ、ぁ……やら、ぁっ、あんッ……またきちゃ、っぁ、ぁあッ」


「はッ……名前、ッ」


「! ぁっぁっ、や、ぁっ……はぁ、っは、ぁ……ひぁっ、ぁあああ……!」


性器が脈打ったかと思えば、脳内で弾けた快感。

近くから聞こえる怒りのこもった声と謝罪。


一気に襲う来る疲労感。

ピンと足先から頭上を弛緩させた名前は、沈みゆく意識にそっと身を委ねた。










精神交替の夜に
混乱を極めた意識下で、一つの≪痺れ≫が溢れる――




〜おまけ〜



「んっ……」


小さく声を上げそっと瞼を開けば、白んだ世界が部屋を覆っている。

朝なのだろう。


視界に愛しい人の姿を確認した名前がおもむろに反対側を振り返った――刹那、こちらを射抜く蒼い瞳と目が合った。

そして思い出す。


「! ひゃ……っ」



昨晩のことを。

脳内を駆け巡る淫靡な記憶。

それだけでなく今の状況にさえ顔を真っ赤にしながら、慌てた様子で胸元を隠す彼女に対し、プロシュートはクツクツと喉を鳴らした。


「おいおい、今更隠しても無駄だぜ? お前のやらしい身体も声もツラも、すべてバッチリ心に焼き付けさせてもらったんだからな」


「/////そっ、そういう問題では……、あれ?」


「ん?」





「プロシュートさん、もしかして……戻られたん、ですか?」


「ククッ、ああ。理由はイマイチわかんねえが、目覚めたらこうなってた」



ふっと口元を緩ませて話す彼に、安堵の息をこぼす少女。

――よかった。



「つっても、な……オレは満足してねえ」


「え?」



だが、そのまま顎をクイッと取られ、突然のことに名前はただただ目を丸くする。


そんな隙を狙って耳元に寄せられる顔。

相変わらず抵抗を見せない姿に、ほくそ笑んだ男は囁くように己の思惑を言葉として吐き出した。



「今度こそオレは≪心体揃って≫、お前と身体を重ねようじゃねえか」


「!?!?」


「名前……」







ドカッ


「グッ!?」



ところが次の瞬間、名前の奥側から飛んできた蹴りによって、なす術なく床へ転がり落ちるプロシュート。


漂う沈黙。

打ちどころが悪かったのか、戻ってくる気配はない。

当然ながら、脳内を動揺から心配に塗り替えられた彼女は素肌が露になることも忘れ、ベッドの脇に両手を付き、下を覗き込もうとした。



「プロシュートさん!? 大丈夫ですか……、きゃっ」


「あいつのことなら気にするな、このぐらいで大事に至るほど柔じゃあない」



しかし、それは彼を蹴飛ばした当事者――リゾットによって腰を引き寄せられ、阻まれてしまう。


「リゾットさん……でも」


「それと、昨晩のことはいち早く忘れるんだ。いいな?」


「え、あのっ」


「い い な?」


有無を言わせない彼の瞳。


それと念を押すような声色に圧倒されそうになりつつ、少女は渋々ではあるが首を縦へ振った。

一方、心の中にあった≪焦燥≫に男は自嘲の笑みを浮かべる。



「……すまない、少し……いやかなり焦ったんだ」


「焦る……? んッ、や、ぁっ」


「いつも名前にこうして触れているはずだからな……≪どちらかわからない≫とは衝撃的だった。同時に悲しくもある」


「! そ、それは、その……っんん!」



刹那、容易く奪われる唇。

一瞬で心まで蕩かされる感覚に陥った名前は、深い口付けから自分を解放したと同時に強く抱きしめてきたリゾットをおずおずと見つめた。



「ん……っはぁ、はぁ、っ……リゾット、さん?」


「名前……やっと≪オレの腕で≫抱きしめられた」


「! えへへ、そうですね」


「……もうあんな攻撃はたくさんだ」



苦笑交じりに放たれた言葉とため息。

同じく眉尻を下げた彼女は、彼を労わるようにそっと柔らかな銀の髪をなでる。


すると――



「……ぇ、ひゃうっ! りっ、リゾットさん……どこ触って、っあん!」


「ようやく元に戻ったんだ……改めて名前の心に、身体にオレを刻み込みたい。……いいか?」


「〜〜っえと……、……お願い、します//////」



あっさりと了承してしまう心。

理由はたった一つ――この人だから。


再び重なる二つの唇。

その後、部屋では甘い雰囲気を漂わせる男女と床にて倒れている一人の男――という異様な光景が広がっていたらしい。










お待たせいたしました!
リーダーと兄貴で連載ヒロインとの3Pでした。
リクエストありがとうございました!
いやはや、ついにやってしまいました……連載における新しい裏の展開に一人でドキドキしながら、書かせていただきました。
連載ヒロインちゃんがリーダー以外と交わることはなかなか――いや、絶対的にないので。


感想&手直しのご希望がございましたら、ぜひclapへお願いいたします!
Grazie mille!!
polka



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