不埒なFirst Sight
※美女ヒロイン
※裏
※ヒロイン攻め(道具使用)です、注意








――初めて、一目惚れをした。



「……すげえ美人」



容姿端麗。

前を見据える瞳。

ふわりと風になびく髪。

服の上からでもわかるスラリとした体型。


悩んで策を練って、基本慎重に動くことが多いイルーゾォ。

そんな彼が、珍しく≪直感で≫行動を起こす。



「ッ、目の前の女を、許可する!」


「!?」



偶然街の鏡を横切ったその美女の腕を、声を出す暇も与えずに自分の世界へと引き込んだ。

そして、とりあえず目を合わせようと、男が顔を上げた瞬間――




ブンッ


「うわっ!?」



耳を劈く電気が放出する音。

自分の首スレスレを飛び交った光。


だが、イルーゾォもギャングの一員ということもあり、捕らえていた細腕を離し咄嗟の反応で後ろへ仰け反れば、彼女の手には携帯タイプの≪スタンガン≫があった。



「チッ、外した……」


「ちょっ、何すんだよ! そんな物騒なモノ、振り回すな……ッ」


「物騒って……ふざけないで! いきなり変なところに連れ込んだ奴だけには! 言われたくないっ! この人拐い……!」



上品な、大人しそうに思えた風貌は、今や怒りに埋め尽くされているようだ。

人は見かけによらない、とはまさにこういうことなのだろう。


しばらく繰り広げられる狭い空間での攻防戦。

それは女性が何かに躓いたことによって、急遽終わりを告げる。



「っ、きゃあ!?」


カタン、という――おそらくスタンガンが手から滑り落ちたのだろう――音と共に、男の身体が正面から捉えた体温と重み。

予想外のことに彼らは重力に逆らうことができず、そのまま後ろへと――


ボフッ



「……」


「……」



奇遇にも床ではなく、ほどほどに柔らかなベッドへ倒れ込んだ。



かち合う瞳。

交わる二つの吐息。

光の差し込む枕元でようやくはっきりと見える、互いの顔。


――うわ……やっぱり綺麗だし、結構あどけなくて可愛い……ってちょっと待て! 見た目はびっくりするぐらい愛くるしいけど、中身はかなりの野蛮人だぞ!? 気をしっかり持てよ、オレ!



「ふーん」


「! な、なんだよ……!」


「んーん? ただ、顔をよく見たら、意外に私の好みかな……って」


「え!? ま、ままマジ?」



思いもしなかった彼女の反応に、目を丸くした彼は思わず吃ってしまった。


先程まで胸中に顔を出していたこの美女に対する自戒は、当然ない。




「うん。貴方を見つめてるとね? なんというか……」


「……っ(ゴクッ)」


「いじめたくなっちゃう」



――ん?

次の瞬間、放たれた言葉に浮上する疑問符。


チュッ

そして、口元から響く軽いリップ音。

きょとんとしているイルーゾォを至近距離で見つめ、跨ったままの女性は悪戯っ子のように笑ったかと思えば、いそいそと彼の服を捲り上げ始める。



「は……? えっ、ちょ……ええ!?」


「ふふ、可愛い。……ここで会ったのも何かの縁だし、せっかくだからシてみよっか」



名前は名前だよ、とあくまで笑みを湛えながら手を動かす女性こと名前。

しかし当然ながら、露になっていく己の肌に本人が落ち着いていられるはずもなく。



「いやいやいや! どうせならオレが――」


「動かないで。気になる相手に、≪アレ≫はさすがに使いたくないから」


「〜〜ッ、そもそもなんでスタンガンとか常備してるんだよ、あんた」



ベッド付近にあるであろう代物のことを口にすると、彼女は一瞬だけ表情を曇らせた。



「……たまにだけど、変な人に襲われるの。でも、一回一回の通報じゃあ警察もなかなか掛け合ってくれないし……だから自己防衛のため」


告げられた事情。

それに男までもがハッと口を噤む。


だが、「気にしないで」と音を紡ぎ出した名前は、目下の躯体にそっと両手を這わせた。



「ッ、ぁ……ん」


「可愛い声だね。もっと聞きたくなっちゃうな」


赤らむ頬。

乱れ始めた息と表情を一瞥して、自然と口端を吊り上げながら平らな胸の頂きを指先で摘んだ。



「くッ、……ぁ、やめ……はっ、はぁ」


思いがけない快感に、反応する身体。


とは言え、胸部ばかりを触れる気はないのか、すぐに移動する名前の細く柔らかな手のひら。


そして、その手は徐々に下へ降り――すでに自己主張していたモノを、ズボンの上からねっとりと弄られる。

彼女のゆっくりとした、焦らすような一挙一動にイルーゾォはビクビクと身体を震わせるしか術がなかった。



「ん……はぁっ、はぁ……、うぁっ」


「……ねえ、貴方今すっごくやらしい顔してるんだよ? 口を半開きにして……もしかしてココ、服越しに触られるの、好き?」


「! 別に、っは、ん……そういう、わけじゃ……ひっ、ぁ、ぁあ!」



刹那、まるで吐いた嘘を諌めるように、爪と指で集中的に攻め立てられる尖端。

決して切り離すことができない自慰以上にせり上がる強い快感。


けれども下着を≪白≫で汚すのだけは勘弁したい。



「ぁっ、ぁっ……ふ、うぐ、っん」


奥歯を噛み締め、なんとか官能的な痺れをやり過ごそうとしても、名前の追い打ちをかけるような手つきが、容赦なく彼を襲う。


膨張する自身。

加速していく鼓動。

≪達する≫――そう朦朧とした頭の片隅で悟った男が、甘い吐息を漏らしつつ嬌声を上げた、そのときだった。



「っ、んぁ、はっ……ぁ、ぁあっ――……ぁ、?」


「ところで、一つ教えてほしいんだけど……あそこにある≪箱≫には、何が入ってるの?」



止められた人差し指の動き。

イかせてほしい、と思ったのも束の間、首をかしげた彼女が指差す方向に、イルーゾォは慌てて息を整える。


なぜなら、その場所にあるのは――≪見られては困るモノたち≫。


「はぁっ、はっ……いや、ちょ――」



しかし、上り詰める寸前であったこともあり、動くことができない彼の肢体から腰を持ち上げた名前。


そして背後から飛ぶ制止の声も聞かず、ベッド付近にある箱を開けて、視界に映り込んだブツにぽつりと呟いた。


「……やっぱり」



男が必死になってでも目撃されたくなかったもの。それは、大人のおもちゃ――いわゆる性具たちである。

予想通りに近い代物に、彼女が「はあ」とため息をこぼしたかと思えば、その中のいくつかを取り出し、それらを手にしたままこちらへ戻ってくる。


美女とオモチャ。そのミスマッチさに跳ねる心臓。



「んー、大体はわかるんだけど……これ、男性用?」


「!」


すると、イルーゾォは紅潮した様子から瞬く間に苦虫を噛み潰したような顔をした。

明らかにわかりやすい表情に、名前の口からさらに漏れ出る意味深な音。


「ふーん……貴方ってずいぶん変態さんなんだね」


「ち、ちがっ、違う! それはその、えーっと……女用と男用のセットだったというか……」


「セット? つまり、女性に対するモノしか使ってないって言いたいの?」



すぐさま頷けば、彼女が考える仕草を見せる。

――納得してくれた、のか?


いや、それより続きをしてほしい――もはや自分が受け身になっていることも忘れ、彼は悩ましげに眉を寄せながらそちらを見上げた、が。



「でももったいないよ。セットなのに使うのが女性用だけなんて。それなりに高かったんでしょ?」


「は?」


「……よし。いい機会だし、私が使い方教えてあげる」


「え、あの、えっ? あんた何言って……っひ!?」



思わず上体を起こそうとすると、突如ズボンのジッパーに手をかけられ、下着ごと取り払われてしまう。

名前の突飛な行動に抗いたくとも、繊維が性器の先を擦り、男はただ喘ぐことしかできない。



「うわあ、このトランクス先走りでビチャビチャだ。これ履くたびに、今日のこと思い出して恥ずかしくなっちゃうね」


「ッ……は、恥ずかしくなんてならな……、うぁッ」



悔しさに歪む顔。

だが、文句を言い切るより先に、軽々と彼女に両足を持ち上げられてしまった。


屈曲させられる身体。


その格好は、≪まんぐり返し≫と言えるだろう。



「ちょ、本気か!? や、やめろって!」


「んーっと、まずは……」


「聞けよ……! 頼むから!」


押し寄せる羞恥と傷付けられたくないプライドで、とにかくイルーゾォは必死だった。

とは言っても、止まることは決してせず、何かボトルのようなモノを取り出している名前。


その楽しそうな姿も――惚れた欲目ではなく本気で可愛いと感じてしまう自分が、憎たらしくてたまらない。



「!?」


刹那、トロリとぬめり気のある何かが、壁を向いた彼の性器を包む。

妙な冷たさ。

下腹部に溢れる液体。

シーツへと広がるシミ。



「っ、ひぁ……ん、はっ……つめた、ぁっ」


「当然。だって貴方の箱に入ってた≪ローション≫だから……ほら、手ちょっと貸して」


にこりと彼女が微笑んだかと思えば、こちらへ伸ばされた右手。


それを訝しりながらも、その危険な香りに誘われるがまま、男はそっと左手を重ねた。

すると――



「! な……ッ」


「さすがに私がやるのはちょっと、ね? ……だから、自分で解してみて?」


「〜〜ッそ、そんな……いや、でも……!」


「大丈夫、ちゃんと見てるから」



――やめろ! むしろ見ようとするなよ……!

イルーゾォの指先が導かれた先とは、赤黒く腫れた男根よりもっと下の場所。


つまり、菊座である。

もちろん、快感を求めて触れたことは一度もない。



「っ、……ッ」



爛々と向けられた期待に満ちた眼差し。

逃げられない――そう悟った彼はゆっくりと、恐る恐る中指をローションに濡れた小さな穴へ差し込んだ。


ツプリ

水音が響く。



「っ、ふ……んッ、ぁ……っぅ、う」


「……すごく入口がヒクヒクしてるけど……気持ちいいの?」


「そっ、なのわかるわけ……ぁっ、ぁっ……ひ、あぐ、っ」



ムクムクと顔を出した不快感と快感。

しかし、ローションが潤滑油となっているせいか、指は徐々に奥へと進んでいった。


「ふっ、ぁ……あん、っん!」



――見られている。

恥ずかしいはずなのに――まじまじと凝視されることが今はなぜか興奮要素になり、さらに肉棒はいきり立つ。

だが、名前は脈打ったそれに一切手を添えようとはしない。



「名前……、はぁ、はぁっ……名前、ッ」


自ずと上へと移す物欲しげな潤んだ瞳。

その視線をしっかり交わらせつつも、彼女はただただ首を横に振るばかり。



「ダメだよ、こっちは後で。……そうだ、少し指を曲げてみたら?」


「ッ……、え?」



思わず首をかしげたものの、アドバイスのような物言いに小さく頷き従う。確かに関節を動かせば、壁に小さなコブのようなモノがあるが――




「っ、ぁああ!?」


それを刺激した途端、男をいつもとは違う痺れが襲った。

一方、ビクリと産毛を粟立たせたイルーゾォを見物していた名前は、婀娜やかに笑いながら囁く。



「そこ、前立腺って言うらしいよ? 男の人にだけある不思議な所……あ、そろそろかな」


「ふあっ、ひ……んッ、ぁ……あっ、ぁ……っ?」


「……ふふ、そんな物欲しそうな顔しないで? すぐにあげるから」



左手首を取られたかと思えば、入口から指が抜け、また阻まれる快楽。

口端からこぼれ出す吐息を滲ませ、そろりと目を彼女の方に向けると――その手にあったのは、細い張り型。


ディルドーとも呼ばれるそれに後退ろうとするも時すでに遅く、自分の指よりは太いそれが、菊門を押し拡げた。


「ぁっ、ぁっ、ひ……やめっ、んぁああ……!」


「ふーん。やめてって言いながらこっちはちゃんと飲み込むんだね。どう? 不快感は消えてきた?」



グチャリグチャリと卑猥な音と共に、名前に攻め立てられている。


それも、先程初めて知った前立腺を肉壁越しに擦られ、上擦る嬌声。



「っ、あひ、っん、ぁ……んぐ、ッ」



強すぎる快感。しかし、なぜか吐精感が来ない。


「名前、名前、っ……!」


「ん? ああ……イっていいよ」


「っでも……なん、か、おかし……ひぁっ、ぁっ、はッ……ぁ、ぁああああ!?」



次の瞬間、大きく見開かれる目。

晒してしまう白い喉元。

弓なりになる背中。


彼は射精を伴わない絶頂――ドライオーガズムを味わったのだ。



「ふふ、可愛いなあ……でももう一つあるんだ」



一言呟いた彼女に聞き返す余裕もなく息を乱していると、体液に塗れた亀頭が手とは明らかに異なる≪何か固いもの≫を捉えた。


どうやら、筒の形をしたシリコンのようなモノに今にも覆われようとしているらしい。

張り型を右手に、それを左手に持った名前は動揺を交えた男に愛らしい微笑みを向ける。



「じゃあ、今度は両方で感じて?」


「はっ……はぁ、っえ? そ、それって……うぁ、ッ!」



刹那、鋭い速さで前後に扱かれる性器。

根元から先端近くまで――全体を包み上げるその適度な締まりに、呻くことしかできない。


同時に、粘膜を抉るディルドー。


「ぁっあっ、名前……ふ、ぁっ……ひ、やら、ぁ!」


「やだ、ねえ……ほんとにそう思ってる?」


「!? ふあっ、ぁあああ!」



突然、二つの快感がイルーゾォの身体の芯を支配した。

下腹あたりは、もはやローションか体液か判別が付かないほど、濡れている。



「ひぅっ、ぐ……はっ、はぁ……っ」




すると、小さな波のようにじわじわと迫ってくる終末感。


男性器はこれでもかと言うほど小刻みに震え、直腸はひどく蠢いた。

普段以上の快楽に狼狽える彼は彼女を見つめ、ただただ泣き喘ぐ。



「ぁ、っ名前……名前、オレ、ッ、イっちゃ……!」


「え、もう? もしかして貴方、早漏なの?」


「! ちが……だ、って……はぁっ、りょうほ……イイから、ぁ」


「ふーん……、わかった」



その瞬間、さらに激しくなる二つの動き。

当然ながら、名前の手つきにモノはドクドクと拍動し――


「っ……ぁっ、ぁっあっ、ふたつ来ちゃ……はッ、ぁ……、ん、うく、ぅっ!」



白濁液と快感。両方が勢いよく弾けた。


こぼれ出す荒い吐息。

一方、前後の玩具を取り去った彼女は、男の顔を上から覗き込む。



「少しだけ、興奮してきちゃった……、イイ?」


「! い、今更聞くなよ……!」


「ふふ、だよね」



そう呟き、そそくさとスカートに隠されたショーツを彼女は脱ぎ始める。


――意外に可愛い系の下着だ……。



「ん?」


「ッ、……/////」


不意に合った視線が、まるで自分の思考を見透かされたようで――思わずそらせば、名前は小さく笑いながらいまだ疲労感に揺蕩う男の上に跨った。


鼓動を刻む心臓。

そして、唾を飲んだ彼女がゆっくりと、膣口に亀頭を添わせ――


「ぁっ、ん……!」



クチュリ。性に貪欲な肉同士がぶつかり合う。


「っぅ……ぁ、ぁ……ぁあ!」


「はぁ、はぁっ……んっ、入った……ね」


眉を寄せ、途切れ途切れに息を吐く名前。


支えとして割れた腹筋に手を置いた彼女は、イルーゾォを見下ろしたまま静かに腰を振り始めた。




「ひぁっ、ぁ、あん……ふ、ぁっぁっ」


「く、ぅッ……名前、名前……!」


「っん……おっきくな、っぁ、ぁあんッ」



緩急つけて実行される律動。

泡立った結合部。


同じく腰を揺らしていた彼は、すべてを纏う温かな膣壁の心地よさに、今日何度目かの感覚を察知する。



「名前、オレッ、はっ……、ぁっ、はぁ……もう、ッ」


「いい、よ……っんん、ナカでイ、てぇ!」


「……ッく、ぁ、っ……ん、ぁああ!」


「っひゃ、ぁっぁっぁっ、あ……あついの、きて……や、ぁああん……!」



刹那、身も焦がすような熱を、二人は存分に感じ入っていた。



それから、空間に滲む艶やかな吐息。

情事後独特の香り、蒸し暑さ、雰囲気。


絶頂によって力が抜けたのか、男にくたりとしなだれかかった名前が、ふと上目遣いのまま口を開く。



「はぁ、はっ……ねえ、貴方の名前は?」


「え? ……あ」



彼女がもたらすさまざまな衝撃もあり、すっかり忘れていた。

ぽつり。イルーゾォもまた目前の女を見つめながら名前を口遊めば、花が咲いたような笑みが浮かぶ。



「そっか。……ねえ、イルーゾォ」


「ッ、ど、どうかした?」


「私……貴方のこと、好きになっちゃった、かも」



だからここに連れ込んだこと、許してあげる。

そう言って、美しいウインクをして見せた名前。


さらに、ゆっくりと近付いてくる色めいた唇。

思わぬ告白に度肝を抜かされていたイルーゾォは、その仕草に一瞬息をのんだものの、彼女になら受け身でもイイ――と頬を緩ませ、すぐさまキスに受け応えるために顔を寄せたのだった。









不埒なFirst Sight
一目で惚れれば、もう二度と抜け出せない……?








大変長らくお待たせいたしました!
イルーゾォが美女ヒロインによって性的に苛められるお話でした。
リクエストありがとうございました!
ご希望通り、濃いめ……と感じていただけたら嬉しいです^^


感想&手直しのご希望がございましたら、よろしくお願いいたします!
Grazie mille!!
polka



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