S×Mロールプレイング
※Mなヒロイン
※ソフトSM裏
※拘束・媚薬など注意





ひやりと冷たい小部屋。


その中央には、後ろ手に手錠を嵌められ、いわゆる≪女の子座り≫をした半裸姿の女が。

両足首から伸びる鎖。

やけに明るい光に照らされる、白く滑らかな肢体。

唯一残された――特に意味もなく選んだ黒いショーツが、その透き通った肌とのコントラストを誘う。


「んっ、ふ……っ、ん、ふぅっ……」



静寂に満ちた室内に漏れる荒い吐息。

上腕を動かせぬよう、黒い二本の拘束具で上下から挟まれた胸の膨らみが小刻みに震える。


ぽたり

ぽたり


そして、通気孔のある玉状の猿轡――ボールギャグによって塞がれた口腔からは唾液がトロリと零れ、コンクリートの床に無数のシミを作り出した。


「ふっ、ふ……んッ……ぅ、っ」


ガチャリ


「!」



これでもかと言うほど頬を赤らめながらも、≪ヨダレを垂らしている≫という羞恥になんとか堪え忍んでいると、不意に開かれた重々しい扉。


おずおずと顔を上げれば――粟立つ皮膚と、ひどく疼く身体の芯によって朦朧とし始めた視界に映り込んだ、自分をこのような状態に陥れた男。




「……ベネ」


一方、紫色の独特な衣装にアイマスクと暗殺時の格好をしたメローネは、己の眼前に浮かぶ淫靡な光景に、ゆっくりと舌なめずりをしてみせた。






――暗殺部隊のデータ回収。

イタリアでもっとも大きな組織、パッショーネの中でも秀でた能力を持つとされる集団の内情を探るため、あらゆる手を尽くしてきた名前。


しかし――



「いやあ、まさか本気でアジトを詮索しようとする子がいるなんて、思いもしなかったよ。しかもさ、今拷問担当である奴は外で仕事中。つまり、オレはディ・モールト運がイイってことだ」


「ッ」



彼らの住処へ侵入した途端トラップに掛かり、回収も失敗してしまった。

悔しさで顔を歪ませる彼女に、男はそっと近付きあえて人の良さそうな笑みを浮かべる。



「ねえ、教えてよ。……あんたは、オレたちの何を知ったのかな?」


「んっ……んん……、っふ」


「……へえ、言わないのかい? なら簡単には帰せないな」



帰すつもりもないけど。

そう心の中だけで呟きつつ、これからのことを想像した彼はにたりと口端を吊り上げた。


だが、囚われの身である名前は言葉を発せない上に、まったくデータを得ていない状態で捕まったのだ。

それをどうにかして伝えたくとも、自由の利かない躯体ではなす術がない。



「ふ、っぅ、っ……んんッ、ん」


「……あ。そういやさ、≪クスリ≫は効いてる?」


「ん……っ!? ふッ、ふぅ、っ……んーっ」


「あはっ、喉撫でられても感じるワケ? こりゃそういう素質がありそうだね」



鎖骨付近の下から顎先に向かって指先でなぞれば、燃えるように熱くなる芯。

シャラン、と左右の鎖が音を立てる。


≪やめてほしい≫――そう一心に潤んだ瞳で訴えようとする憐れな女に、今にも笑い出してしまいそうな気持ちを抑えながら、メローネはすでに紅潮した耳へ息を吹きかけ、ねっとりと舌を差し入れた。



「っ! ん、ん……ッ、ふ……っぅ」


刹那、強張る筋肉。

乱れた吐息を空気に滲ませたまま、彼女は襲い来る快感から逃れようとするが、顎をしっかりと捕らえられ振り向くことができない。



「んふふ、感度も良好そうだし、久々にマゾっ気もある……イイよ、ベリッシモイイ。母胎にしちゃうにはちょっと勿体無いな」


「!? んっ、んん……!」


「あれ、さっきまで大人しかったのに、どうしたんだい? ん……?」



母胎という物騒な単語にビクリと女体を震わせ、怯えた表情を見せる名前。


一方、「落ち着きなよ」と言いながらわざとらしく下を見下ろしたメローネ。

そして、ずいぶん前から起きていた≪状況≫を、まるで今気付いたというかのように嘲笑する。



「あーあ、ヨダレで床こんなにビチャビチャにして。恥ずかしい」


「ッ、ふ……ぅっ、ふ、……っん」



――いや……っもうやめて。

心を支配する羞恥に堪えるため目をきゅうと瞑った――その瞬間、胸の頂きから子宮にかけて電流が走った。


「ふっ、ぅうう……ッ!」


「やめないよ。あんたが口を割るまでは、ね」


「ん……っ、ふ……っん、んんん!」



不規則に指の腹で捏ねられる両方の乳頭。

その強弱つけてもたらされる甘い痺れに翻弄され、彼女はただただくぐもった嬌声を上げる。


元から口を塞がれていることも相まって、自ら打ち明けるなど、無茶だった。


「ふ、ぅ……ふぅ、ふ……ッ」


「胸の感度もベネ。……にしてもさ。乳首、充血しすぎでしょ。もしかして、媚薬がなくても感じやすいタチ?」



蕩けた名前の瞳を、楽しさを交えた翡翠が覗き込む。

――ゾクリ

背筋を駆け上る甘美な刺激に、慌てて外そうと試みる視線。


しかし、毒とも呼べるそれが浸透した身体は、嘘を付かない。



「! ……っ」



下着がじわりと濡れる感触。

気持ち悪さと焦れったさ。


それらに誘われるように、彼女は男の隠されていない左目を今度は自分から見つめた。



「ん? どうしたの? もしかして、物足りない?」


「ふっ、ぅ……んん……!」


「あれ、違うのかい?」



そうじゃなくて――無意識のうちに内腿を擦り合わせれば、待っていたと言いたげに彼の口角がにやりと歪む。



「……ああ、下に欲しいんだ?」


「ッ! んっ、んんっ」



コクコクと頷く名前の淫らな表情には、もう己を保っていた理性と矜持は微塵もない。

どこまでも忠実に返答を待っていると、しばらく逡巡していたメローネはふと無慈悲な命令を吐き出した。


「ふーん……ならさあ、オレに向かって開脚できるよね?」



次の瞬間、動揺で揺れる双眸。

いくら普段からは想像もつかない性欲を促されていたとしても、さらなる恥辱に対して戸惑いは覚えてしまう。


すると、その様子を見かねたのか彼が突然グッと顔を寄せ、囁きかける。



「……わかってないみたいだから教えるけど、あんたに拒否権はないんだぜ」


「!」



軽やかな声色の中に秘められた≪冷たさ≫を鼓膜が捉えた途端、金属がぶつかり合う音と共に両脚が引き寄せられた。

そして、否応なしに完成してしまったM字開脚と、その中央にある黒は黒でも色の変わった部分を目にして、薄ら笑いを浮かべる眼前の男。



「そういえば、ずいぶんやらしい格好だよねえ。紐パンなんてさ。こうされるって予想してた? あは、まさかね」


申し訳程度に結ばれた左右の黒紐を指先でくるくると弄り、軽口を叩きながら、メローネはゆっくりと背後からあるものを取り出す。


その手には、ハンドタイプの電気マッサージ器が。

広がる嫌な予感。



「じゃーん。身体が熱くて疼いて仕方ないんだろ? イき地獄から抜け出せないぐらい、堕としてあげるよ」


「!? っん、ふ……っ、んんー!」


「おいおい、今更抵抗しても無駄だぜ? 欲しいって言ったのはあんたなんだからな」



ショーツ越しの秘部へそれを宛てがえば、よほど濡れているのか、グチュンと立つ小さな水音。

ただならぬ恐怖に名前がふるふると首を横へ振った刹那、重低音と振動が布越しに伝わり――



「んっ……ん、っ……んんんんんッ!」



波のように押し寄せた快感にビクンと跳ねた。

痙攣する躯体。


腰を引きたくとも、片方の足首をしっかりと掴まれ、後退れない。



「ふ、っふ、ぅ……ふっ、……んー!」


「どう? 直接よりこの方が気持ちいいって言うよね、電マはさ」



止まることのない快感――徐々に彼女の瞳が熱に浮かされていく。


白いもやがかかった脳には、もはや今ある快美な刺激への欲求しかなかった。



「んっ、ぅ、ッ……んっんっ、ん……!」



大陰唇と小陰唇の襞を交互にグリグリとマッサージ器の頭部を押し当てられ、己の秘境を惜しげもなく晒してしまう。

触れるか触れないか、の瀬戸際がもたらす快楽。


――やだ……ぁっ、恥ずかしいのに……!



「ん……っ、ふっ……んんッ」




鼻腔から甘い息を漏らし、強制的に導かれる絶頂に酔いしれ始めた、そのとき。

消えた音に遅れて、震動が止まった。



「ッ!」


「オレさ、まだ≪イっていい≫なんて一言も言ってないよ」


「……っ」



――そんな……!



ジンジンと決して消えることのない熱に、通気口から溢れる吐息はますます荒くなる。

一方、獣のような名前の眼差しを見据えながら、ほくそ笑むばかりだった男が不意に口を開く。



「……イきたい?」



間髪入れず返ってくる肯定。

それを彼は見とめた瞬間――




「ふぅっ!? ん、っふ、んっんっ……、んんん!」


カチッという軽快音と共に、爪先から旋毛までをピンと張り詰めさせた。

待ち望んだ≪果てる感覚≫に喘ぐ唇。


胸を上下させながら、ガクガクと下肢の震えを享受する。





だが、当然これで終わりではない。

――カチッ


「あはは、休憩しちゃダメだって」


「! んーッ!?」



休む間もなく、当てられる性感。

いやいやと頭を振れども、解放されることはない。



「んっんっ、ん……っ、んんッ!」


――いやっ……もう、イきたくない……!


「ふ、ぅ……ふっ、ふ……」


――っぁ、っぁ……やら、ぁ!


「っん、ふぅっ、ふ……んんん……っ」


――おねが、い……っも、やめて、ぇっ!



何度達したかすら、もう朦朧とした頭ではわからない。

虚ろになり始めた眼のまま官能の淵に身を投じていると、ふと立て続けに彼女を攻めていた刺激が止んだ。



「ふ、っぅ……、?」


「はい、お疲れ。……あんたの乱れた姿、ディ・モールトベネだったよ」



あっさりとした終焉。

満たされない気持ち。


一方で、驚く名前を横目に、素知らぬ顔でメローネは背後のドアを一瞥する。



「……そろそろ、次の奴にバトンタッチかな」


「!?」


「あ、そうだ。そいつのために、これ……取っておこ」


そう呟いた彼は、おもむろに先程の紐へ手を伸ばし、


ハラリ

と蠱惑的な下着を容易く取り去ってしまった。


体液に濡れた花弁が冷たさを帯び、思わず今まで自分を弄んでいた男を見上げる。

すると――重なる視線。



「ん? あんた今、すごーくモノ欲しげな顔してるけど。もしかして――」




愛液に塗れまくったソコも、今すぐ犯して欲しいワケ?




ドクン――卑猥な物言いに跳ねる心臓。


≪この男にめちゃくちゃにされたい≫なんて。

そんなこと、思っていないはずなのに――



「ほら、外してあげる」


「……っ、ぁ」



頬を横切っていた黒革のベルトを取り除かれ、久々に許された発声。



「定番だけどさあ……≪どうしてほしい≫か、あんたの言葉で言ってごらんよ」


口端を伝う唾液を妙に優しい手つきで拭われつつ、無理やりかち合わされる瞳に、服従を示さざるを得ない。


身体が、心が、すべてに圧倒されていく。



「〜〜っ」


「んーイイね、その格好」



なんてはしたないんだろう――ゆっくりと四つん這いになり、手錠を嵌められた手首をなんとか伸ばしながら、彼に向かって肉付きの良い双丘を左右に拡げる。




「あな、たのを……その……っください……」


恥ずかしい。でも欲しくてたまらない。


上気した頬。

滑らかなライン。

今ですら溢れ出すいやらしい蜜。



「ふーん、≪オレの≫ねえ……じゃあ」


「!? ぁっ、ぁあ……!」


「これでもいいのかい?」



蜜壷に差し込まれたのは――二本の指。


グチュグチュと少々乱暴に掻き混ぜられ、拒否を表すために名前は小さく首を横に振った。



「いや? でも、あんたのピンクなお口は美味しそうに咥えてるけど」


「ひぁあん! はぁっ、ぁ……っやらぁ!」



敏感な弱点を集中的に攻め立てられる。

だが、足りない。


彼女の胸中を悟ったのか、指を三本に増やしつつ言葉を紡ぐメローネ。


「ほら、もっと詳しく言ってみて。あ、できれば≪ご主人様≫とかもベリッシモイイなあ」



――変態……!

そう嘲りたくて仕方がないが、今この欲に流されている自分も自分なのだろう。


求める快感に押し出された恥ずかしさ。

葛藤はすでになく、背中を弓なりにさせたまま、名前が叫ぶ。



「……、はぁ、はぁ……ごしゅじっ、さまの……おひん、ひっ……名前のナカに、んっ、ぁ……くらさいぃ!」



室内に響く淫らな誘い。

それが反響し終わった瞬間――背後から覆い被され、指とは違う焦熱の塊を膣口が捉えた。



「ん、っ……ぁっ、ぁああああ!」


「くッ……締まりもベネ……! だけどさ、名前。挿入れるだけで、イイのかい?」


「! ……んッ、はぁ」



もう自棄だ。ふるんと重力に引き寄せられた乳房を揺らしつつ、乱れた呼吸の中で喉を震わせる。



「はっ、はぁ……おねがっ、ぁん……おかしくな、ちゃう、ぐらいッ……、グチャグチャに、っぁ……かき回して、ぇっ」


「……ディ・モールト、ベネ」








それからは、互いを貪り合うような性交が続けられていた。

二人の姿はまさに、淫獣。



「ぁっぁっ……あん、っ……ひゃ、ッぁああ!」


「……どうだい? Gスポットと子宮口をグチュグチュ犯されて、気持ちいい?」


「ん、はぁっ、は……いい……っきもちい、のぉ!」




快感に喘ぐ声。

前後に揺れる腰。

擦りつけられる亀頭。

もっともっとと欲しがる瞳。


パンパンパンと連続的に響く音が、聴覚を攻め立てる。

自然と締まる膣道によって、さらに膨張する性器。



「ハッ……やっぱり母胎には勿体無いな……あんたももっと犯されたいだろ?」


「ぁ、んん……! はぁ、はぁっ……も、好きに……ぁっ、して、ぇ!」



ジュブジュブと立てられる淫靡な音。

髪と髪の隙間で露になったうなじを舐めながら、男は女を絶頂に誘導した。


小刻みにうねる肉襞。



「名前……オレの精液、たっぷりナカに出してあげるよ」


「ぁっ、はい、ぃ……ぁっぁっ、やら……イっちゃ……っひぁ、ぁああああッ!」


「くッ……」



胎内を支配していく熱。

忘れられそうにないほど、強い快感。

征服されるという、幸福感。


もたらされるそれらを、名前はただただ静かに受け入れていた。










S×Mロールプレイング
演じる役割→燃える情愛。




〜おまけ〜



「あー、ほんと楽しかった!」



その後、≪二人の部屋≫に戻ったメローネは、横抱きしていた名前を優しくベッドに下ろし、その隣へと寝転がった。


メローネと名前。

この二人、れっきとした恋人同士である。


時折こうして、ストーリー風ソフトSMを楽しんでいるのだ。

ちなみに今回のテーマは――言うまでもない。



「……私はすごく恥ずかしかった」


「え?」



――あんなセリフ言っちゃうなんて……っ。

いくら相手が恋人だからと言って、恥ずかしいものは恥ずかしい。


本当に今更ながら駆け上ってきた羞恥に身悶えていると、男がこちらを覗き込んできた。



「あれ、そうだったの? 自分から拡げてあんあん啼いてたから、てっきり悦んでるのかと思ってたけど」


「! 〜〜ば、バカっ/////」


「んふふ。顔真っ赤にして、可愛いなあ」



にやにやと口元を緩ませてから、「あ!」と声を上げる彼に、何事だと視線を向ける。

すると――



「また、≪次の設定≫考えとくから」


「っ……うん」



コクリと頷く名前。

刹那、嬉しそうに無邪気な笑みを浮かべたメローネは、そっと彼女の唇に自分のモノを重ねた。


しかしキスを交わし、そのまま寝るのかと思いきや、なぜか覆い被さってくる恋人に――言わずもがな名前の頬には冷や汗が伝う。



「ねえ名前。さっきまでのこと思い出したら、勃っちゃった(ハート)」


「んっ、はぁ、はぁっ……、え?」


「名前もさ、あのきっつい媚薬が体内に残ってるだろうし、全然物足りないよね? ね? ああっ、ダメだ……我慢できない……もう食べちゃうからッ!」


「ええっ!? あれって≪ただの水≫だったんじゃ……っや、やだメローネ、ちょっと待っ――」




終わり










大変長らくお待たせいたしました!
メローネとMヒロインでソフトSMでした。
リクエストありがとうございました!
ソフトとは何か、と少し考えた末、痛くないのがソフトだろうという結論に至り、書かせていただきましたが……いかがでしたでしょうか?


感想&手直しのご希望がございましたら、clapや〒へお願いいたします!
Grazie mille!!
polka



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