※天然おっとりヒロイン
※ギャグ裏
穏やかな日が続くイタリアのある拠点で。
カリカリとペン先が机を滑る音が、リビングに響き渡る。
それを鳴らす正体――名前の背を見とめたメローネは、嬉々としながらその華奢な肩に手を置いた。
「やあ! ボンジョルノ、名前」
「あっ、メローネ……ボンジョルノ。どうしたの?」
振り返り、一瞬きょとんとしたものの、すぐさま微笑みを浮かべる少女。
癒される彼女の笑顔に「ベネ」と心で唱えつつ、彼はいつもの飄々とした調子で言葉を紡ぎ出す。
「いや。ただ名前の姿を見たら気になっちゃってさ……仕事かい?」
「うん。一週間分の仕事の報告書をまとめてるの」
「ふーん……いつ見ても大変そうだよねえ」
「そう? 思ったより大変じゃないよ?」
少しばかり首をかしげてから、名前は「気遣ってくれてありがとう」と自分に笑いかけてきた。
その背後――テーブルには、厚さ10センチに及ぶ書類の山。
これのどこが≪大変ではない≫のだろうか。
思い返せば、彼女は出逢った頃からあらゆる面で≪天然記念物≫だった。
「ハアハア、やあ名前! 君のこと……ハアッ、ずっと気になって、たんだ……! よかったらオレと、ハアハアッ……付き合おうぜ! なんなら、ベッドで突き合ってもいいよ!? オレは大歓迎ッ!」
今でも変わらない、メローネ恒例の挨拶。
手をわきわきと動かしながら近付いてくる彼に、初めてその発言を聞いた少女はまさかの≪イエス≫を出す。
「うん、いいよ。でもその前に、部屋で休んだ方がいいと思うの」
「え。ほんとに……って、んん? なんでだい?」
「だってメローネ、息するの辛そうだから……たぶん風邪なんだよ。お薬持って行くから、≪出かける≫のはまた今度にしよう?」
「…………あー」
刹那、変態と呼ばれる男はすべてを悟った。
付き合うという意味を取り違えただけでなく、荒い息の理由を誤解していると――
「いやー、懐かしい……あの反応は新鮮だった」
「?」
その後、メンバー各々がさまざまな場面で天然攻撃を食らった、が。
当然それは、≪暗殺≫においても発動された。
スタンドが暗殺向きだからとチームへ参入したが、いかんせん名前の性格が性格である。
あまりにもおっとりとしているので、見かねたリゾットが彼女に事務処理を任せることを決めたのだ。
「ま、結果的に上手くいってるからいいんだけどさ」
「メローネ? さっきからぶつぶつ言ってるけど……疲れてる?」
「はは、全然疲れてないよ。むしろ元気があり余ってるぐらい……っと、隙あり!」
「あ……!」
にっと笑ってみせた瞬間、メローネはまるで今までそのときを待っていたかのように、少女の手にあった報告書を奪ってしまう。
そして、伸びてくる腕を避けつつ、彼は紙に刻まれた柔らかな字を読み上げ始めた。
「なになに? ……ん? ≪ホルマジオが猫に嫌がられる3つの理由≫。≪プロシュート兄貴の奇妙な恋愛遍歴≫。≪ペッシはマンモーニより本当はブラコンが正しい?≫……、何これ」
「あ、それは私が気になってつい調べちゃったから、せっかくだしリーダーにも報告しようと思って」
「……へえ」
あまりにも平然と答えを返され、黙り込む男。
誰にとってもある意味どうでもいい書類を、個性溢れるチームを率いるリーダーはどう処理するのだろうか。
――いや、案外「そうか、役に立ちそうだ」とか言って受理しそうだなあ。うんうん、名前の同類と言っても過言じゃないし……間違いない。
どこまでも天然な名前。
そんな彼女は同時に、かなり好奇心旺盛でもあった。
大体、その被害に遭うのは、よく矛盾に対してキレるあの男で――
「……そうだ」
ちょうどそのとき鳴り響いた、洗濯の終わりを知らせる機械の音で掻き消えてしまうほど、小さな呟きがメローネの口から放たれる。
あの男――ギアッチョは、いつからか少女を恋愛対象として見ていた。
それは、≪天然≫二人組は例外として、全員が周知の事実だ。
好奇心を利用してやろう。名前もギアッチョに対して悪い感情は抱いていないのだから、あわよくばくっつけてやろう。
「ふふふふ」
良い結果になった暁には、ますます自分の生活が楽しくなりそうだ。
おもむろに口端を吊り上げたメローネは、怪訝そうな彼女の方を向いて、静かに喉を震わせた。
「ねえ名前。興味を持つことはもちろんなんだけどさ、≪仲間のこと≫を自ら知っていくのも大事だと思わない?」
「? うん、もちろん! 私、みんなのこと大好きだから……調べられることはどんどん調べていくつもり!」
「(ディ・モールト、ベネ! いっそオレが君を襲ってしまいたいけど我慢我慢。)だよねえ……ふっふっふ」
「……メローネ?」
コンコンコン
ふと室内に広がったノックの音。
今にもコントローラーを握ろうとしていたギアッチョは、タイミングを見計らったかのようなそれに舌打ちをした。
「チッ、なんだよ! こっちは久々の休みで、クソおもんねーゲームでもしようと……」
文句を垂れながらもドアノブを勢いよく回せば、廊下に立つ思わぬ正体に彼は息をのむ。
目の前には――実は、自分が密かに気になっている少女の姿。
「ッ! 名前!? な、なんでテメーがここに……!」
「ごめんね? 少し気になることがあって」
「はア? 気になることオオオッ?」
自己主張を始める心臓。
カッと首から伝わるように熱を帯びた顔。
現れた恋情も相まって口が悪くなってしまうが、怒りや不快感で名前が顔色を変えることはない。
そんな穏やかな性格も、男の心を擽っていた。
「……」
「入っていい?」
かち合う≪懇願≫を潜めた瞳。
しばらくそれを見つめ、もう一度舌打ちをしたギアッチョはドアノブをさらに引き、入室の許可を示す。
「チッ……さっさとその調べものとやらをして、部屋に戻れよ!」
「うん! りょーかい!」
「……はあ」
久しぶりの休日は、想像もしない展開に向かいそうだ。
ため息をつく彼に対して、あくまでマイペースな彼女はキョロキョロと周りを見渡していた。
その目はキラキラと好奇心で輝いている。
「ギアッチョの部屋、ゲームがいっぱいだね……あっ。これ知ってるよ? 面白いよねえ」
「レアなモン知ってんなあ、オイ……って、そうじゃねえ! 名前、お前遊びに来たんじゃねえだろオオッ!?」
「あ、そうだった。ついつい興奮しちゃって……じゃあ早速――」
――ああ、そうしてくれ。
――そして早く自分の元から離れてほしい。
このまま長居されれば、妙な気分が己の中で湧き上がりそうだ。
終わったらゲームだ。コイツも言ってんだしすぐ終わる――少女には聞こえぬよう歯ぎしりをしつつ、ベッドの付近で背後を振り返った刹那、
ボフンッ
「……は?」
不意をついて後ろへ押された身体。
背中全体に覚える、包まれるような感触。
視界には、天井と相変わらずにこりと笑ったままの名前。
「早速だけど……ギアッチョの身体、測定させてもらうね?」
「は?」
何を言っているのだ。
前から変わっているとは感じていたが、ここまでとは。
すぐに己の下腹部へ乗っている彼女を押し退けようと、両腕を動かそうとした。
が、頭上から少女のスタンドに掴まれてしまっているではないか。
「!?」
「ありがとう。このままお願い」
「ちょ、テメッ、こんなときに限ってスタンド使ってんじゃねえぞ……!」
怒り心頭の男。
そんな真下の仲間にのほほんと微笑んだ名前は、後々のこともお構いなしに上着を捲り始める。
しかし、当然服は脇の辺りで止まってしまう。
「ギアッチョ……首を、竦めてほしいなあ」
「だ、誰がンなことに≪ハイ≫って頷くかよ!」
「……もう、じゃあこのまま測るから」
少しだけ唇を尖らせたかと思えば、いそいそと肌へ運ばれる彼女の手のひら。
その自分以上に冷たい体温に、思わず目を見開く。
「ッ、名前……!」
「うん……うん。確かに想像よりガッシリしてる」
這い回る感触。
なぜこんなことを好きな女にされなければ――悔しさと動揺に顔を歪めていると、いつの間にか視界にあった景色が様変わりしていた。
ぐるぐると考え込んでいる間に、向きを前後180度変えていたらしい。
甘い香りがふわりと鼻を掠めた直後、顔の近くにあるスカートの裾とそれに隠された双丘に、嫌でも心臓は跳ねる。
「!? オイ! いい加減にしねえと――」
「待って! もう少しで終わるからっ……あと≪ココ≫だけなの」
「おッ、終わるって……名前、テメーなアアアア!? そういう問題じゃねえだろうが!」
どこまでも興味を追究しようとする少女は、おそらく今の格好に気付いていないのだろう。
浮上し始めた欲に、ギアッチョがますますジタバタすれば、耳を劈いたジッパーの音。
差し迫る嫌な予感。
ずらされるトランクス。
まさかモノを見られているとは――現実逃避をしたくなるほど信じたくない。
「んー……思ったより柔らかそう、なのかな?」
ぽつりと呟かれた感想。
ナニが、など聞かなくとも理解できる。
そもそもこのような状況下で、何を期待していたのか。
脳内を埋め尽くした考えに、元々切れやすい彼の堪忍袋の緒が刺激されないはずもなく。
「きゃ……!?」
今までにない腕力で己を捕らえていたスタンドを弾いたかと思えば、名前の片足を引き、ベッドへと転がした。
そして、身体の多くが露になっていることも忘れて、逃げ出した兎も驚くほどの素早さで細身な身体に伸し掛かる。
ギアッチョのひどくひそめられた眉や表情に、ようやく彼女も危ないと察知したらしい。
「あ……えっ、ええ?」
彷徨う視線。
別の意味でキョロキョロとする眼を見下ろしながら、当然と言うかのように少女の服の襟に手をかけた。
すると、慌てて掴まれる手首。
当然ながら、その制止に彼はますます憤る。
「オイ……ここまでひん剥いてくれたんだ。テメーも脱がねえとフェアじゃあねえよなあ? ああッ!?」
「え、あ……っギアッチョ、少し落ち着こう?」
「ハッ、落ち着いてられっかよ! 散々好き放題しやがって!」
刹那、ボタンを強制的に外され、鎖骨から胸元が露になってしまった。
たとえ先程まで自分が取っていた行動と同じと言えど、名前の瞳はこれまでになく潤む。
「っ……ん」
「……思ったよりデケーじゃねえか」
≪いつか≫――彼女の柔肌に触れることを望まなかったわけではないが、まさかこのような形で成就するとは。
服を肌蹴させ、パステルカラーのブラジャーを持ち上げれば、激しくなる鼓動。
そして顔を出した欲に従うように、いまだ抵抗を見せていた少女の両腕を片手で纏めながら、もう片方の手で膨らみを弄り始めた。
「ひゃっ……ぁっ、ギアッチョ……あんっ!」
「なんだ? 俺はテメーがやったことを、もう一度繰り返してるだけだぜ?」
「ふ、っあ、ん……やだっ、わ、たし……はぁ、っそこまで、してな、よぉ……!」
「……名前。テメーは探究心で周りが見えてねえときがあっからなア……男を刺激すればどうなるか、身を以て教えてやるッ!」
乱れた呼吸。
弱々しく横へ振られる首。
快感に浮かされ、口端から伝う唾液。
頬を赤らめた名前の様子に掻き立てられる加虐心。
襲い来る刺激に逃げるようと彼女が身を捩れば、男は淡々と胸の頂きを爪先で摘まみ上げる。
「無駄だな」
「! やっ、ぁっ……、ッダメ、ぇ……ひぁ、ぁあんっ」
全神経と性感が直結し、力の入らない身体。
もう腕を解放しても抵抗できないだろう――パッと手を離せば、それでゆっくりと脇腹を撫で回した。
乳房とは異なる痺れに、嬌声はさらに喉から飛び出す。
「っぁ、やら……はぁッ、はぁ……ぁ、んん……っ!」
己を支配しそうな快楽に堪える術が、ポロポロと零れ出す涙を止める術が見つからない。
ただただ翻弄されつつ、嗚咽に近い音を漏らしていると、不意にギアッチョの手が内腿を掠めた。
「! ぎあ、ちょ……っそ、そっちは、っ……ぁっ、ぁああッ」
「ハッ……どうした? 下着が妙に濡れてんじゃねえか、オイ」
「ふ、ぁっ……ん、いや……っ言わな、でぇ!」
もはや役目を果たしていない秘境付近のショーツを横へずらされ、クチュクチュと膣口から陰核を指先で行き来される。
その淫らな音が三半規管に広がり、さらなる羞恥を高めた。
自然と侵入した彼の人差し指と中指が、赤く腫れているであろう恥丘や粘膜を擦る。
しかし、同時に親指で捉えるのは剥き出しになったクリトリス。
「女の身体っつーのは不思議だよな……ココだけ硬くしてよオ」
「ッ……だめ、っ……ぁっ、はぁ、はぁ……両方、しちゃっ、ぁああん!」
不規則に荒らし回される肉襞。
ところが、ふとヒクヒクと震える秘部から指を離した男が、スカートと下着をあっという間に足先まで滑らせ、名前をベッド上で一糸纏わぬ姿にした。
その恥ずかしさに身悶えながら、彼女が今までの快感に囚われ動けずにいると、
「はぁっ、ぁっ、はぁ……、……!」
自分が調べたときとは異なるギアッチョの男性器を目にした瞬間、疲労感で埋め尽くされた躯体に鞭を打って後退った。
そして叫ぶ。
「ダメっ、ダメダメ……! そんな大きいの、入らないよっ」
ぶち壊されるムード。
褒められているのか否定されているのか――正直わからないが、片眉を吊り上げるギアッチョ。
だが当然、少女の行動に怯むはずもなく、彼はその細腕を掴み自分の元へと引き寄せた。
「ケッ! ココはちゃんと男のモンを飲み込めるようになってんだよ。今更やめる気はねえからなアアアア!?」
「飲み込め……で、でも……っぁ」
「クソッ、いつまでも狼狽えてんじゃねえよ! 腹くくれッ」
「そんな……っはぁ、ぎあっ、ちょ、っ……ぁっ、やっ、ぁああ……ッ!」
次の瞬間、腫れ上がった亀頭で狭い道を拡げられていく。
惜しげもなく晒してしまう白い喉元。
「ぁっぁっ……やら、っやら……はぁ、っ……そこつかな、でぇっ」
性器が根元まで埋め込まれたと同時に腰を打ち付けられ、自ずと悲鳴に似た声を上げていた。
ヌプヌプと擦れ合う粘膜。
名前の視界には、何度も抜き差しされる結合部が映り、ひどく卑猥だ。
「くッ……オイ、どうしたア? 大きいって言ってた割には、ちゃんと咥え込んでるじゃねえか、ああ?」
「っ、や、あんっ……わた、わたしも……んっ、わかんな……っひぁあ!」
絶え間なく響き渡る喘ぎ声。
それを耳にしっかりと刻みながら、ギアッチョは何を思ったのか彼女を抱き寄せ、吐息交じりの言葉を囁く。
「ッ、名前。テメーの身体も、その顔も……他の奴には、ぜってーに見せんなよ……ッ」
「え? それって……っぁっぁ、ひゃ、ぁああんっ!」
理由を尋ねようとした刹那、激しくなる律動。
しばらく触れられていなかった乳首を突如唇で食まれ、ビクビクと震える肢体。
そして――
「ぁっ、や……なんかきちゃ、ぁ……ふ、ぁっ……あんっ、んん……ッ」
「はッ……イけよ名前」
「ッ! ひぁ、っぁ……ぎあ、ちょっ……ぎあっちょ、ぉ……ふ、ぁっぁっ……ぁあああ!」
絶頂を迎え、揺蕩う胎内。
すると、少し遅れて自分のナカで弾ける熱。
それにさえ快感を覚えながら、名前はなんとか息を整えようと試みた。
しばらくして、情交後の蒸し暑い空気の中で隣へ寝転んだ男の名前をそっと呼ぶ。
「ぁっ、はぁ……ギア、チョ」
「……ンだよ」
こちらを相変わらず潤んだ瞳で見つめる彼女は、まさか今自分が激情に流されたことを≪後悔≫しているとは予想もしていないのだろう。
苦虫を噛み潰したような表情をするギアッチョに対し、少女は静かに口を開いた。
「他の奴に見せるな……って、どういう意味、だったの?」
「! テメッ、どうってなアア……察しろよ! ボケがッ!」
「そんな……教えてくれないとわからないよ。だって――んっ」
自分を見ようとしない彼の顔を覗き込んだ次の瞬間、触れ合う唇。
鼻骨に当たったメガネのブリッジ。
柔らかなそれはすぐに離れたものの、当然名前はきょとんとしてしまう。
一方、男は少しばかり得意げに笑みを浮かべた。
「はッ……これでわかんねえとか言うなよ?」
しかし、ギアッチョの言葉に反応できるほど、さまざまなことを今更ながら理解した彼女に余裕はない。
「……どうしよう。ねえギアッチョ、どうしよう……!」
「あ? なんだよ突然」
「私、病気かもしれないっ」
いつもはゆっくりと話す少女が、急かされたかのように音を紡ぐとは――珍しい。
声にはきちんと耳を傾けつつ、身を乗り出そうとする名前の鎖骨から下を見ぬよう視線をそらす男。
すると――
「だって……っギアッチョを見るとね? ……顔がすごく熱くて……し、心臓も、全然落ち着いてくれないの」
「!?」
狼狽しながら放たれた告白。
これはつまり、そういうことだろうか。
いや、そういうことだと願いたい。
悟った途端、心が躍り出す――その正体は言わずともわかった。
「あー、それは無理だな。一生治らねえよ」
「ええっ!? そんな……っ」
「……ぶっ(ほんとおもしれー奴)」
自分からは、絶対に答えを明かさないでおこう。
横でオロオロとしている少女を一瞥した彼は、まるでイタズラが成功した少年のように、小さく吹き出すのだった。
好奇心は少女をも
思わぬ恋へと手招いてしまう?
〜おまけ〜
「……そもそも、よオ」
「循環器系の病院に行ってもダメなのかなあ……、ん?」
「なんで、≪測定なんてしよう≫と思い至ったんだよ……男を襲うみてえな真似しやがって」
「え、それは……メローネが教えてくれたから」
唇から紡がれた名前に、当然だがピクリと引きつる頬。
「メローネエ?」
「うん。≪そういうデータも取っておいた方がいつかオレら暗殺チームの役に立つぜ? まずは、そうだなー……ギアッチョなんか意外にいろいろデカいんじゃない?≫って……」
「……」
刹那、ギアッチョが黙り込んだと同時に室内の温度が低下し始める。
外との温度差で窓ガラスに付着する結露。
その後、メローネの姿を見た者は、しばらくいなかったらしい。
![](//img.mobilerz.net/sozai/1616_w.gif)
お待たせいたしました!
ギアッチョで、天然系おっとりヒロインとのギャグ裏でした。
リクエストありがとうございました!
前半にはかなりメローネが出張ってしまいましたが……いかがでしたでしょうか?
感想&手直しのご希望がございましたら、ぜひclapへとお願いいたします!
Grazie mille!!
polka
>
※ギャグ裏
穏やかな日が続くイタリアのある拠点で。
カリカリとペン先が机を滑る音が、リビングに響き渡る。
それを鳴らす正体――名前の背を見とめたメローネは、嬉々としながらその華奢な肩に手を置いた。
「やあ! ボンジョルノ、名前」
「あっ、メローネ……ボンジョルノ。どうしたの?」
振り返り、一瞬きょとんとしたものの、すぐさま微笑みを浮かべる少女。
癒される彼女の笑顔に「ベネ」と心で唱えつつ、彼はいつもの飄々とした調子で言葉を紡ぎ出す。
「いや。ただ名前の姿を見たら気になっちゃってさ……仕事かい?」
「うん。一週間分の仕事の報告書をまとめてるの」
「ふーん……いつ見ても大変そうだよねえ」
「そう? 思ったより大変じゃないよ?」
少しばかり首をかしげてから、名前は「気遣ってくれてありがとう」と自分に笑いかけてきた。
その背後――テーブルには、厚さ10センチに及ぶ書類の山。
これのどこが≪大変ではない≫のだろうか。
思い返せば、彼女は出逢った頃からあらゆる面で≪天然記念物≫だった。
「ハアハア、やあ名前! 君のこと……ハアッ、ずっと気になって、たんだ……! よかったらオレと、ハアハアッ……付き合おうぜ! なんなら、ベッドで突き合ってもいいよ!? オレは大歓迎ッ!」
今でも変わらない、メローネ恒例の挨拶。
手をわきわきと動かしながら近付いてくる彼に、初めてその発言を聞いた少女はまさかの≪イエス≫を出す。
「うん、いいよ。でもその前に、部屋で休んだ方がいいと思うの」
「え。ほんとに……って、んん? なんでだい?」
「だってメローネ、息するの辛そうだから……たぶん風邪なんだよ。お薬持って行くから、≪出かける≫のはまた今度にしよう?」
「…………あー」
刹那、変態と呼ばれる男はすべてを悟った。
付き合うという意味を取り違えただけでなく、荒い息の理由を誤解していると――
「いやー、懐かしい……あの反応は新鮮だった」
「?」
その後、メンバー各々がさまざまな場面で天然攻撃を食らった、が。
当然それは、≪暗殺≫においても発動された。
スタンドが暗殺向きだからとチームへ参入したが、いかんせん名前の性格が性格である。
あまりにもおっとりとしているので、見かねたリゾットが彼女に事務処理を任せることを決めたのだ。
「ま、結果的に上手くいってるからいいんだけどさ」
「メローネ? さっきからぶつぶつ言ってるけど……疲れてる?」
「はは、全然疲れてないよ。むしろ元気があり余ってるぐらい……っと、隙あり!」
「あ……!」
にっと笑ってみせた瞬間、メローネはまるで今までそのときを待っていたかのように、少女の手にあった報告書を奪ってしまう。
そして、伸びてくる腕を避けつつ、彼は紙に刻まれた柔らかな字を読み上げ始めた。
「なになに? ……ん? ≪ホルマジオが猫に嫌がられる3つの理由≫。≪プロシュート兄貴の奇妙な恋愛遍歴≫。≪ペッシはマンモーニより本当はブラコンが正しい?≫……、何これ」
「あ、それは私が気になってつい調べちゃったから、せっかくだしリーダーにも報告しようと思って」
「……へえ」
あまりにも平然と答えを返され、黙り込む男。
誰にとってもある意味どうでもいい書類を、個性溢れるチームを率いるリーダーはどう処理するのだろうか。
――いや、案外「そうか、役に立ちそうだ」とか言って受理しそうだなあ。うんうん、名前の同類と言っても過言じゃないし……間違いない。
どこまでも天然な名前。
そんな彼女は同時に、かなり好奇心旺盛でもあった。
大体、その被害に遭うのは、よく矛盾に対してキレるあの男で――
「……そうだ」
ちょうどそのとき鳴り響いた、洗濯の終わりを知らせる機械の音で掻き消えてしまうほど、小さな呟きがメローネの口から放たれる。
あの男――ギアッチョは、いつからか少女を恋愛対象として見ていた。
それは、≪天然≫二人組は例外として、全員が周知の事実だ。
好奇心を利用してやろう。名前もギアッチョに対して悪い感情は抱いていないのだから、あわよくばくっつけてやろう。
「ふふふふ」
良い結果になった暁には、ますます自分の生活が楽しくなりそうだ。
おもむろに口端を吊り上げたメローネは、怪訝そうな彼女の方を向いて、静かに喉を震わせた。
「ねえ名前。興味を持つことはもちろんなんだけどさ、≪仲間のこと≫を自ら知っていくのも大事だと思わない?」
「? うん、もちろん! 私、みんなのこと大好きだから……調べられることはどんどん調べていくつもり!」
「(ディ・モールト、ベネ! いっそオレが君を襲ってしまいたいけど我慢我慢。)だよねえ……ふっふっふ」
「……メローネ?」
コンコンコン
ふと室内に広がったノックの音。
今にもコントローラーを握ろうとしていたギアッチョは、タイミングを見計らったかのようなそれに舌打ちをした。
「チッ、なんだよ! こっちは久々の休みで、クソおもんねーゲームでもしようと……」
文句を垂れながらもドアノブを勢いよく回せば、廊下に立つ思わぬ正体に彼は息をのむ。
目の前には――実は、自分が密かに気になっている少女の姿。
「ッ! 名前!? な、なんでテメーがここに……!」
「ごめんね? 少し気になることがあって」
「はア? 気になることオオオッ?」
自己主張を始める心臓。
カッと首から伝わるように熱を帯びた顔。
現れた恋情も相まって口が悪くなってしまうが、怒りや不快感で名前が顔色を変えることはない。
そんな穏やかな性格も、男の心を擽っていた。
「……」
「入っていい?」
かち合う≪懇願≫を潜めた瞳。
しばらくそれを見つめ、もう一度舌打ちをしたギアッチョはドアノブをさらに引き、入室の許可を示す。
「チッ……さっさとその調べものとやらをして、部屋に戻れよ!」
「うん! りょーかい!」
「……はあ」
久しぶりの休日は、想像もしない展開に向かいそうだ。
ため息をつく彼に対して、あくまでマイペースな彼女はキョロキョロと周りを見渡していた。
その目はキラキラと好奇心で輝いている。
「ギアッチョの部屋、ゲームがいっぱいだね……あっ。これ知ってるよ? 面白いよねえ」
「レアなモン知ってんなあ、オイ……って、そうじゃねえ! 名前、お前遊びに来たんじゃねえだろオオッ!?」
「あ、そうだった。ついつい興奮しちゃって……じゃあ早速――」
――ああ、そうしてくれ。
――そして早く自分の元から離れてほしい。
このまま長居されれば、妙な気分が己の中で湧き上がりそうだ。
終わったらゲームだ。コイツも言ってんだしすぐ終わる――少女には聞こえぬよう歯ぎしりをしつつ、ベッドの付近で背後を振り返った刹那、
ボフンッ
「……は?」
不意をついて後ろへ押された身体。
背中全体に覚える、包まれるような感触。
視界には、天井と相変わらずにこりと笑ったままの名前。
「早速だけど……ギアッチョの身体、測定させてもらうね?」
「は?」
何を言っているのだ。
前から変わっているとは感じていたが、ここまでとは。
すぐに己の下腹部へ乗っている彼女を押し退けようと、両腕を動かそうとした。
が、頭上から少女のスタンドに掴まれてしまっているではないか。
「!?」
「ありがとう。このままお願い」
「ちょ、テメッ、こんなときに限ってスタンド使ってんじゃねえぞ……!」
怒り心頭の男。
そんな真下の仲間にのほほんと微笑んだ名前は、後々のこともお構いなしに上着を捲り始める。
しかし、当然服は脇の辺りで止まってしまう。
「ギアッチョ……首を、竦めてほしいなあ」
「だ、誰がンなことに≪ハイ≫って頷くかよ!」
「……もう、じゃあこのまま測るから」
少しだけ唇を尖らせたかと思えば、いそいそと肌へ運ばれる彼女の手のひら。
その自分以上に冷たい体温に、思わず目を見開く。
「ッ、名前……!」
「うん……うん。確かに想像よりガッシリしてる」
這い回る感触。
なぜこんなことを好きな女にされなければ――悔しさと動揺に顔を歪めていると、いつの間にか視界にあった景色が様変わりしていた。
ぐるぐると考え込んでいる間に、向きを前後180度変えていたらしい。
甘い香りがふわりと鼻を掠めた直後、顔の近くにあるスカートの裾とそれに隠された双丘に、嫌でも心臓は跳ねる。
「!? オイ! いい加減にしねえと――」
「待って! もう少しで終わるからっ……あと≪ココ≫だけなの」
「おッ、終わるって……名前、テメーなアアアア!? そういう問題じゃねえだろうが!」
どこまでも興味を追究しようとする少女は、おそらく今の格好に気付いていないのだろう。
浮上し始めた欲に、ギアッチョがますますジタバタすれば、耳を劈いたジッパーの音。
差し迫る嫌な予感。
ずらされるトランクス。
まさかモノを見られているとは――現実逃避をしたくなるほど信じたくない。
「んー……思ったより柔らかそう、なのかな?」
ぽつりと呟かれた感想。
ナニが、など聞かなくとも理解できる。
そもそもこのような状況下で、何を期待していたのか。
脳内を埋め尽くした考えに、元々切れやすい彼の堪忍袋の緒が刺激されないはずもなく。
「きゃ……!?」
今までにない腕力で己を捕らえていたスタンドを弾いたかと思えば、名前の片足を引き、ベッドへと転がした。
そして、身体の多くが露になっていることも忘れて、逃げ出した兎も驚くほどの素早さで細身な身体に伸し掛かる。
ギアッチョのひどくひそめられた眉や表情に、ようやく彼女も危ないと察知したらしい。
「あ……えっ、ええ?」
彷徨う視線。
別の意味でキョロキョロとする眼を見下ろしながら、当然と言うかのように少女の服の襟に手をかけた。
すると、慌てて掴まれる手首。
当然ながら、その制止に彼はますます憤る。
「オイ……ここまでひん剥いてくれたんだ。テメーも脱がねえとフェアじゃあねえよなあ? ああッ!?」
「え、あ……っギアッチョ、少し落ち着こう?」
「ハッ、落ち着いてられっかよ! 散々好き放題しやがって!」
刹那、ボタンを強制的に外され、鎖骨から胸元が露になってしまった。
たとえ先程まで自分が取っていた行動と同じと言えど、名前の瞳はこれまでになく潤む。
「っ……ん」
「……思ったよりデケーじゃねえか」
≪いつか≫――彼女の柔肌に触れることを望まなかったわけではないが、まさかこのような形で成就するとは。
服を肌蹴させ、パステルカラーのブラジャーを持ち上げれば、激しくなる鼓動。
そして顔を出した欲に従うように、いまだ抵抗を見せていた少女の両腕を片手で纏めながら、もう片方の手で膨らみを弄り始めた。
「ひゃっ……ぁっ、ギアッチョ……あんっ!」
「なんだ? 俺はテメーがやったことを、もう一度繰り返してるだけだぜ?」
「ふ、っあ、ん……やだっ、わ、たし……はぁ、っそこまで、してな、よぉ……!」
「……名前。テメーは探究心で周りが見えてねえときがあっからなア……男を刺激すればどうなるか、身を以て教えてやるッ!」
乱れた呼吸。
弱々しく横へ振られる首。
快感に浮かされ、口端から伝う唾液。
頬を赤らめた名前の様子に掻き立てられる加虐心。
襲い来る刺激に逃げるようと彼女が身を捩れば、男は淡々と胸の頂きを爪先で摘まみ上げる。
「無駄だな」
「! やっ、ぁっ……、ッダメ、ぇ……ひぁ、ぁあんっ」
全神経と性感が直結し、力の入らない身体。
もう腕を解放しても抵抗できないだろう――パッと手を離せば、それでゆっくりと脇腹を撫で回した。
乳房とは異なる痺れに、嬌声はさらに喉から飛び出す。
「っぁ、やら……はぁッ、はぁ……ぁ、んん……っ!」
己を支配しそうな快楽に堪える術が、ポロポロと零れ出す涙を止める術が見つからない。
ただただ翻弄されつつ、嗚咽に近い音を漏らしていると、不意にギアッチョの手が内腿を掠めた。
「! ぎあ、ちょ……っそ、そっちは、っ……ぁっ、ぁああッ」
「ハッ……どうした? 下着が妙に濡れてんじゃねえか、オイ」
「ふ、ぁっ……ん、いや……っ言わな、でぇ!」
もはや役目を果たしていない秘境付近のショーツを横へずらされ、クチュクチュと膣口から陰核を指先で行き来される。
その淫らな音が三半規管に広がり、さらなる羞恥を高めた。
自然と侵入した彼の人差し指と中指が、赤く腫れているであろう恥丘や粘膜を擦る。
しかし、同時に親指で捉えるのは剥き出しになったクリトリス。
「女の身体っつーのは不思議だよな……ココだけ硬くしてよオ」
「ッ……だめ、っ……ぁっ、はぁ、はぁ……両方、しちゃっ、ぁああん!」
不規則に荒らし回される肉襞。
ところが、ふとヒクヒクと震える秘部から指を離した男が、スカートと下着をあっという間に足先まで滑らせ、名前をベッド上で一糸纏わぬ姿にした。
その恥ずかしさに身悶えながら、彼女が今までの快感に囚われ動けずにいると、
「はぁっ、ぁっ、はぁ……、……!」
自分が調べたときとは異なるギアッチョの男性器を目にした瞬間、疲労感で埋め尽くされた躯体に鞭を打って後退った。
そして叫ぶ。
「ダメっ、ダメダメ……! そんな大きいの、入らないよっ」
ぶち壊されるムード。
褒められているのか否定されているのか――正直わからないが、片眉を吊り上げるギアッチョ。
だが当然、少女の行動に怯むはずもなく、彼はその細腕を掴み自分の元へと引き寄せた。
「ケッ! ココはちゃんと男のモンを飲み込めるようになってんだよ。今更やめる気はねえからなアアアア!?」
「飲み込め……で、でも……っぁ」
「クソッ、いつまでも狼狽えてんじゃねえよ! 腹くくれッ」
「そんな……っはぁ、ぎあっ、ちょ、っ……ぁっ、やっ、ぁああ……ッ!」
次の瞬間、腫れ上がった亀頭で狭い道を拡げられていく。
惜しげもなく晒してしまう白い喉元。
「ぁっぁっ……やら、っやら……はぁ、っ……そこつかな、でぇっ」
性器が根元まで埋め込まれたと同時に腰を打ち付けられ、自ずと悲鳴に似た声を上げていた。
ヌプヌプと擦れ合う粘膜。
名前の視界には、何度も抜き差しされる結合部が映り、ひどく卑猥だ。
「くッ……オイ、どうしたア? 大きいって言ってた割には、ちゃんと咥え込んでるじゃねえか、ああ?」
「っ、や、あんっ……わた、わたしも……んっ、わかんな……っひぁあ!」
絶え間なく響き渡る喘ぎ声。
それを耳にしっかりと刻みながら、ギアッチョは何を思ったのか彼女を抱き寄せ、吐息交じりの言葉を囁く。
「ッ、名前。テメーの身体も、その顔も……他の奴には、ぜってーに見せんなよ……ッ」
「え? それって……っぁっぁ、ひゃ、ぁああんっ!」
理由を尋ねようとした刹那、激しくなる律動。
しばらく触れられていなかった乳首を突如唇で食まれ、ビクビクと震える肢体。
そして――
「ぁっ、や……なんかきちゃ、ぁ……ふ、ぁっ……あんっ、んん……ッ」
「はッ……イけよ名前」
「ッ! ひぁ、っぁ……ぎあ、ちょっ……ぎあっちょ、ぉ……ふ、ぁっぁっ……ぁあああ!」
絶頂を迎え、揺蕩う胎内。
すると、少し遅れて自分のナカで弾ける熱。
それにさえ快感を覚えながら、名前はなんとか息を整えようと試みた。
しばらくして、情交後の蒸し暑い空気の中で隣へ寝転んだ男の名前をそっと呼ぶ。
「ぁっ、はぁ……ギア、チョ」
「……ンだよ」
こちらを相変わらず潤んだ瞳で見つめる彼女は、まさか今自分が激情に流されたことを≪後悔≫しているとは予想もしていないのだろう。
苦虫を噛み潰したような表情をするギアッチョに対し、少女は静かに口を開いた。
「他の奴に見せるな……って、どういう意味、だったの?」
「! テメッ、どうってなアア……察しろよ! ボケがッ!」
「そんな……教えてくれないとわからないよ。だって――んっ」
自分を見ようとしない彼の顔を覗き込んだ次の瞬間、触れ合う唇。
鼻骨に当たったメガネのブリッジ。
柔らかなそれはすぐに離れたものの、当然名前はきょとんとしてしまう。
一方、男は少しばかり得意げに笑みを浮かべた。
「はッ……これでわかんねえとか言うなよ?」
しかし、ギアッチョの言葉に反応できるほど、さまざまなことを今更ながら理解した彼女に余裕はない。
「……どうしよう。ねえギアッチョ、どうしよう……!」
「あ? なんだよ突然」
「私、病気かもしれないっ」
いつもはゆっくりと話す少女が、急かされたかのように音を紡ぐとは――珍しい。
声にはきちんと耳を傾けつつ、身を乗り出そうとする名前の鎖骨から下を見ぬよう視線をそらす男。
すると――
「だって……っギアッチョを見るとね? ……顔がすごく熱くて……し、心臓も、全然落ち着いてくれないの」
「!?」
狼狽しながら放たれた告白。
これはつまり、そういうことだろうか。
いや、そういうことだと願いたい。
悟った途端、心が躍り出す――その正体は言わずともわかった。
「あー、それは無理だな。一生治らねえよ」
「ええっ!? そんな……っ」
「……ぶっ(ほんとおもしれー奴)」
自分からは、絶対に答えを明かさないでおこう。
横でオロオロとしている少女を一瞥した彼は、まるでイタズラが成功した少年のように、小さく吹き出すのだった。
好奇心は少女をも
思わぬ恋へと手招いてしまう?
〜おまけ〜
「……そもそも、よオ」
「循環器系の病院に行ってもダメなのかなあ……、ん?」
「なんで、≪測定なんてしよう≫と思い至ったんだよ……男を襲うみてえな真似しやがって」
「え、それは……メローネが教えてくれたから」
唇から紡がれた名前に、当然だがピクリと引きつる頬。
「メローネエ?」
「うん。≪そういうデータも取っておいた方がいつかオレら暗殺チームの役に立つぜ? まずは、そうだなー……ギアッチョなんか意外にいろいろデカいんじゃない?≫って……」
「……」
刹那、ギアッチョが黙り込んだと同時に室内の温度が低下し始める。
外との温度差で窓ガラスに付着する結露。
その後、メローネの姿を見た者は、しばらくいなかったらしい。
![](http://img.mobilerz.net/sozai/1616_w.gif)
お待たせいたしました!
ギアッチョで、天然系おっとりヒロインとのギャグ裏でした。
リクエストありがとうございました!
前半にはかなりメローネが出張ってしまいましたが……いかがでしたでしょうか?
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Grazie mille!!
polka
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