※短編『ネエロ家の日常〜朝〜』続編
※連載「Uno croce nera...」のヒロイン=長女
※ギャグ甘
キュッと水道の栓が回され、シンクに響いていた水音が止まる。
「名前、いつも悪いな」
家族の誰もが寝静まった夜。
食器を洗い終えたばかりの娘の背に、今しがた末っ子を寝かしつけたマードレことプロシュートは声をかけた。
すると、こちらへ振り返った長女の名前は「ううん」と首を横へ振る。
「お母さん、気にしないで? 私は大丈夫だから……ペッシはもう寝た?」
「ああ、ぐっすりだぜ。つっても、かなり苦労したんだけどな……ったく、いつまで経ってもマンモーニなんだからよお」
「あはは、まだ三歳だから普通だと思うけど……」
苦笑を漏らしながらタオルで手を拭いた彼女が、改めて後頭部をガシガシと掻くマードレへ向き直った。
いつもは結われているブロンドが今は下ろされ、さらさらと揺れる。
それを見つめ、なぜ自分は黒髪なのだろう――と幼い頃疑問に感じていたことを思い出す少女。
だが、パードレとマードレが二人して「好きだ」と言ってくれたので、今はあまり気にしていない。
「で? お前はもう寝られそうなのか?」
「うん。みんなのお弁当の下準備もしたし、部屋に戻るよ?」
「そうか……じゃあ行くぞ」
「?」
歩き出すプロシュートに一瞬きょとんとしつつも、お母さんも寝るのだろうかと名前は後ろをついていく。
上る階段。
そして、倦怠期ではないにせよリゾットと別室にしている部屋に彼が近付いたかと思えば――素知らぬ顔で通り過ぎてしまった。
「(あれ……?)ねえ、お母さん」
「あ? どうした名前」
「そっち、私の部屋なんだけど……」
不安が心に暗雲となって広がる。
どうか当たらないでほしい。眉尻を下げた彼女がマードレの返答を待っていると、
「当然だろ。オレは今から、お前の部屋に行くんだからな」
残念ながら予感的中。
「え……あの、どうして?」
「ったく相変わらず鈍い娘っ子だな、お前は……ま、そこも可愛いけどよ」
鈍い。
そう言われても、わからないものはわからない。
ますます首をかしげる少女を尻目に、プロシュートはにやりと口端を吊り上げた。
「そんな無防備なお前に、今日はオレが添い寝してやるって言ってんだ」
「そい、ね? ……、!?」
「ククッ……理解した途端、顔真っ赤にしやがって」
彼の大きくも繊細な手で頬をゆるりと撫でられるが、ひどく動揺している名前はそれどころではない。
そもそも――おかしくないだろうか。
「あのね、お母さん……私もう大学生だよ? 子供じゃないんだから、添い寝なんて……っ」
「ハン! 子供じゃねえなら、あのエロ息子……メローネの夜這いも阻止できるはずだよなあ?」
プロシュートのからかうような眼差しに、グッと彼女は息を詰まらせる。
そう、弟で五男のメローネは、何度パードレマードレに阻止されても姉の部屋へ忍び込もうとするのだ。
ナニを目的としているのか。
それは、言わずもがなである。
「め、メローネは……ただ一緒に寝たいだけ、って言ってたよ?」
「(あのエロガキに危ねえところまで襲われかけても、まだそんな言葉信じてんのか……ったく、)まあこの際、夜這いの話はいい。子供は大人しく添い寝されとけ……開けんぞ」
「!? やっ、やだ! お母さん、ちょ、待っ――」
ガチャリ
娘が後ろから制止の声をかける前に、開かれた部屋の扉。
すると――
「待っていたぞ、名前」
「……あ?」
「お、お父さん!? どうして」
「(ピキッ)テメー、リゾット……なんでお前が、オレの娘のベッドに寝転んでんだッ!」
嫌な音を立ててもぎ取られるドアノブ。
だが、そんなことを気にしている暇はない。
誰もいないと本人まで思っていた部屋には、なぜかパードレが囚人服――ではなく、縞々のパジャマで寝そべっていたのだ。
父の思わぬ出現に狼狽える少女。
愛娘との二人の時間を邪魔されたと、額に青筋を浮かべるマードレ。
「プロシュート……名前はオレの娘でもあるんだぞ。そんな可愛い娘の添い寝をしたいと思うのは当然だと思うが?」
「添い寝!? お父さんまで何言って……っ」
二人とも、自分を子供扱いしすぎではないだろうか。
人知れず唇を尖らせた名前だったが、そんなことはお構いなしにベッドから立ち上がっていたリゾットは、その細腕を自分の元へ引き寄せてしまう。
「きゃ、っ」
「名前……明日は久しぶりに一日休みなんだ。≪二人で≫ゆっくりしよう」
「チッ、あのカビ上司に呼び出されろ。それとその腕を離しやがれ! 名前はオレと寝んだよ」
しかし、そうはさせないと今度はプロシュートが彼女を抱き寄せる。
その反動で彼の胸元へ顔を埋めてしまう少女。
表情は当然、困惑一色である。
「お、お父さん! お母さんも! 私は一人で寝られるから……!」
「一人で? そういうわけにはいかない。以前もメローネがベッドに忍び込んできたことがあっただろう……大事な愛娘をオレが守らなくて誰が守る」
「……ハン、お前と同じ思考ってのが気に入らねえが、そこだけは同意見だ。つまり、オレらのどっちかを選べよ、名前」
「!?!?」
リゾットには手を取られ、プロシュートには肩を抱かれている名前。
ジリジリと詰め寄る四つの視線に、「一人で寝たい」とは口が裂けても言えない。
「名前、昔よく読んでとせがんでいた童話は、今でも好きか?」
「え? うん……好き、ではあるけど……?」
「ふ……なら決まりだな。もし名前が寝られないなら、オレがその本を読んで聞かせよう」
と、パードレは娘を手招く。
「おいおい、知らねえのか? 名前はノンフィクションのギャング物語と子守唄が好きなんだぜ?」
「う、うん。それも好きだよ……お母さんの歌を聞いてると、魔法みたいに気持ちよく眠れるの」
「クク、そうか。じゃあ今日は新しい話を聞かせてやるよ。歌付きでな」
「えと……う、ん?」
一方、マードレは別方向から娘の関心を掻き立てようと言葉を紡ぎ出した。
二人に誘導されている気がするのは否めない。
もちろん、どうしても二人で寝たいため、彼女を挟んで鋭い火花を散らす彼ら。
「……プロシュート、引くなら今のうちだぞ。目を離した途端、娘を口説き落とそうとする奴に一夜は明かさせない」
「ハッ、それはこっちのセリフだ。今にして思えば……メローネが変態になったのも、ムッツリスケベなオメーのせいかもなあ?」
対峙する二人。
臨戦態勢とも言えるパードレとマードレに、少女は開きっぱなしのドアの前でただただ固唾をのんで、止める方法を探していた。
そのとき。
クイッと左の指先が控えめに引っ張られるのを感じ、そちらへ視線を落とす。
「! あ、ギアッチョ……」
「……」
そこには、六男で小学生の弟の姿が。
彼の明らかに不機嫌そうな表情に、目線を合わせられるようしゃがんだ名前は、そっと眉尻を下げた。
「ごめんね? 起こしちゃった?」
「……、だろ」
「え?」
微かな声。きょとんとしながらメガネをかけていないギアッチョの顔を覗き込むと――
「名前姉、パードレマードレのせいで寝られねえんだろ」
自分を案じた瞳とかち合う。
「あ、えっと……お父さんとお母さんのせいってわけじゃ……ないんだけど、ね?」
もしかすると、心配して部屋から出てきてくれたのだろうか。
自然と緩む頬。
だが、実は姉思いな弟は彼女の対応に納得がいかないらしい。
いつもに増して眉をひそめたギアッチョは、握っていた名前の手をクイクイと引っ張った。
「ん」
「ギアッチョ……?」
「俺の部屋で寝ればいいだろ」
パードレマードレが睨み合って動かない今なら、気付かれずに姉を案内できるだろう。
そのとき、出された提案に目を見開いていた彼女ははたと気が付く。
弟の髪の間から覗く、赤い耳に。
「……ふふ」
「! な、なんだよッ……嫌なら別に――」
「ううん。嫌なわけないよ……ただ、ギアッチョが甘えてくれて嬉しいの」
「バッ、ち、ちち違えよ……クソがッ!」
「もう……またそんな言葉遣って」
放たれた口癖に一瞬苦笑したものの、優しい微笑みで立ち上がった名前。
そして、いつもより幾分か上機嫌に見えるギアッチョに急かされながら、彼女はマードレによってへし折られた自室のドアノブのことも忘れて歩き始めるのだった。
某時刻。
少女の部屋へ忍び寄る一つの影。
「ふっふーん、今日こそオレのだーい好きな名前姉さんと一線を超えてやるぞ。ハアッ……名前姉さんの喘ぎ声……か細いけどエロくて、清純なイメージとはまた違う≪ギャップ≫っていうか? ハアハア……! ああっ! その場面を想像しただけでも抜ける……ッ! よっし、お邪魔しまーす……、…………は?」
「名前と寝るのはオレだ」
「いい加減引き下がれ、この頑固親父! お前に添い寝の権利は渡さねえ」
影の正体――メローネが見たのは、まるで戦場のような錯覚を覚える室内の雰囲気と、ここにいるはずのない両親。
しかも、布団は膨らんでおらず、名前がいないことが窺える。
「……あんたら、娘の部屋で何やってんの?」
ようやく冷静になった彼が嘲りを込めた言葉を吐き出すまで、二人の口論は延々と続いていたとか。
ネエロ家の日常〜深夜〜
夢の一人暮らしは、まだまだ先のようです。
![](//img.mobilerz.net/sozai/1616_w.gif)
お待たせいたしました!
リーダー(パードレ)と兄貴(マードレ)で『ネエロ家の日常』の続編でした。
モリ様、リクエストありがとうございました!
落ちは六男のギアッチョくんに持って行かれてしまいましたが……いかがでしたでしょうか?
感想&手直しのご希望がございましたら、ぜひお願いいたします!
Grazie mille!!
polka
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※連載「Uno croce nera...」のヒロイン=長女
※ギャグ甘
キュッと水道の栓が回され、シンクに響いていた水音が止まる。
「名前、いつも悪いな」
家族の誰もが寝静まった夜。
食器を洗い終えたばかりの娘の背に、今しがた末っ子を寝かしつけたマードレことプロシュートは声をかけた。
すると、こちらへ振り返った長女の名前は「ううん」と首を横へ振る。
「お母さん、気にしないで? 私は大丈夫だから……ペッシはもう寝た?」
「ああ、ぐっすりだぜ。つっても、かなり苦労したんだけどな……ったく、いつまで経ってもマンモーニなんだからよお」
「あはは、まだ三歳だから普通だと思うけど……」
苦笑を漏らしながらタオルで手を拭いた彼女が、改めて後頭部をガシガシと掻くマードレへ向き直った。
いつもは結われているブロンドが今は下ろされ、さらさらと揺れる。
それを見つめ、なぜ自分は黒髪なのだろう――と幼い頃疑問に感じていたことを思い出す少女。
だが、パードレとマードレが二人して「好きだ」と言ってくれたので、今はあまり気にしていない。
「で? お前はもう寝られそうなのか?」
「うん。みんなのお弁当の下準備もしたし、部屋に戻るよ?」
「そうか……じゃあ行くぞ」
「?」
歩き出すプロシュートに一瞬きょとんとしつつも、お母さんも寝るのだろうかと名前は後ろをついていく。
上る階段。
そして、倦怠期ではないにせよリゾットと別室にしている部屋に彼が近付いたかと思えば――素知らぬ顔で通り過ぎてしまった。
「(あれ……?)ねえ、お母さん」
「あ? どうした名前」
「そっち、私の部屋なんだけど……」
不安が心に暗雲となって広がる。
どうか当たらないでほしい。眉尻を下げた彼女がマードレの返答を待っていると、
「当然だろ。オレは今から、お前の部屋に行くんだからな」
残念ながら予感的中。
「え……あの、どうして?」
「ったく相変わらず鈍い娘っ子だな、お前は……ま、そこも可愛いけどよ」
鈍い。
そう言われても、わからないものはわからない。
ますます首をかしげる少女を尻目に、プロシュートはにやりと口端を吊り上げた。
「そんな無防備なお前に、今日はオレが添い寝してやるって言ってんだ」
「そい、ね? ……、!?」
「ククッ……理解した途端、顔真っ赤にしやがって」
彼の大きくも繊細な手で頬をゆるりと撫でられるが、ひどく動揺している名前はそれどころではない。
そもそも――おかしくないだろうか。
「あのね、お母さん……私もう大学生だよ? 子供じゃないんだから、添い寝なんて……っ」
「ハン! 子供じゃねえなら、あのエロ息子……メローネの夜這いも阻止できるはずだよなあ?」
プロシュートのからかうような眼差しに、グッと彼女は息を詰まらせる。
そう、弟で五男のメローネは、何度パードレマードレに阻止されても姉の部屋へ忍び込もうとするのだ。
ナニを目的としているのか。
それは、言わずもがなである。
「め、メローネは……ただ一緒に寝たいだけ、って言ってたよ?」
「(あのエロガキに危ねえところまで襲われかけても、まだそんな言葉信じてんのか……ったく、)まあこの際、夜這いの話はいい。子供は大人しく添い寝されとけ……開けんぞ」
「!? やっ、やだ! お母さん、ちょ、待っ――」
ガチャリ
娘が後ろから制止の声をかける前に、開かれた部屋の扉。
すると――
「待っていたぞ、名前」
「……あ?」
「お、お父さん!? どうして」
「(ピキッ)テメー、リゾット……なんでお前が、オレの娘のベッドに寝転んでんだッ!」
嫌な音を立ててもぎ取られるドアノブ。
だが、そんなことを気にしている暇はない。
誰もいないと本人まで思っていた部屋には、なぜかパードレが囚人服――ではなく、縞々のパジャマで寝そべっていたのだ。
父の思わぬ出現に狼狽える少女。
愛娘との二人の時間を邪魔されたと、額に青筋を浮かべるマードレ。
「プロシュート……名前はオレの娘でもあるんだぞ。そんな可愛い娘の添い寝をしたいと思うのは当然だと思うが?」
「添い寝!? お父さんまで何言って……っ」
二人とも、自分を子供扱いしすぎではないだろうか。
人知れず唇を尖らせた名前だったが、そんなことはお構いなしにベッドから立ち上がっていたリゾットは、その細腕を自分の元へ引き寄せてしまう。
「きゃ、っ」
「名前……明日は久しぶりに一日休みなんだ。≪二人で≫ゆっくりしよう」
「チッ、あのカビ上司に呼び出されろ。それとその腕を離しやがれ! 名前はオレと寝んだよ」
しかし、そうはさせないと今度はプロシュートが彼女を抱き寄せる。
その反動で彼の胸元へ顔を埋めてしまう少女。
表情は当然、困惑一色である。
「お、お父さん! お母さんも! 私は一人で寝られるから……!」
「一人で? そういうわけにはいかない。以前もメローネがベッドに忍び込んできたことがあっただろう……大事な愛娘をオレが守らなくて誰が守る」
「……ハン、お前と同じ思考ってのが気に入らねえが、そこだけは同意見だ。つまり、オレらのどっちかを選べよ、名前」
「!?!?」
リゾットには手を取られ、プロシュートには肩を抱かれている名前。
ジリジリと詰め寄る四つの視線に、「一人で寝たい」とは口が裂けても言えない。
「名前、昔よく読んでとせがんでいた童話は、今でも好きか?」
「え? うん……好き、ではあるけど……?」
「ふ……なら決まりだな。もし名前が寝られないなら、オレがその本を読んで聞かせよう」
と、パードレは娘を手招く。
「おいおい、知らねえのか? 名前はノンフィクションのギャング物語と子守唄が好きなんだぜ?」
「う、うん。それも好きだよ……お母さんの歌を聞いてると、魔法みたいに気持ちよく眠れるの」
「クク、そうか。じゃあ今日は新しい話を聞かせてやるよ。歌付きでな」
「えと……う、ん?」
一方、マードレは別方向から娘の関心を掻き立てようと言葉を紡ぎ出した。
二人に誘導されている気がするのは否めない。
もちろん、どうしても二人で寝たいため、彼女を挟んで鋭い火花を散らす彼ら。
「……プロシュート、引くなら今のうちだぞ。目を離した途端、娘を口説き落とそうとする奴に一夜は明かさせない」
「ハッ、それはこっちのセリフだ。今にして思えば……メローネが変態になったのも、ムッツリスケベなオメーのせいかもなあ?」
対峙する二人。
臨戦態勢とも言えるパードレとマードレに、少女は開きっぱなしのドアの前でただただ固唾をのんで、止める方法を探していた。
そのとき。
クイッと左の指先が控えめに引っ張られるのを感じ、そちらへ視線を落とす。
「! あ、ギアッチョ……」
「……」
そこには、六男で小学生の弟の姿が。
彼の明らかに不機嫌そうな表情に、目線を合わせられるようしゃがんだ名前は、そっと眉尻を下げた。
「ごめんね? 起こしちゃった?」
「……、だろ」
「え?」
微かな声。きょとんとしながらメガネをかけていないギアッチョの顔を覗き込むと――
「名前姉、パードレマードレのせいで寝られねえんだろ」
自分を案じた瞳とかち合う。
「あ、えっと……お父さんとお母さんのせいってわけじゃ……ないんだけど、ね?」
もしかすると、心配して部屋から出てきてくれたのだろうか。
自然と緩む頬。
だが、実は姉思いな弟は彼女の対応に納得がいかないらしい。
いつもに増して眉をひそめたギアッチョは、握っていた名前の手をクイクイと引っ張った。
「ん」
「ギアッチョ……?」
「俺の部屋で寝ればいいだろ」
パードレマードレが睨み合って動かない今なら、気付かれずに姉を案内できるだろう。
そのとき、出された提案に目を見開いていた彼女ははたと気が付く。
弟の髪の間から覗く、赤い耳に。
「……ふふ」
「! な、なんだよッ……嫌なら別に――」
「ううん。嫌なわけないよ……ただ、ギアッチョが甘えてくれて嬉しいの」
「バッ、ち、ちち違えよ……クソがッ!」
「もう……またそんな言葉遣って」
放たれた口癖に一瞬苦笑したものの、優しい微笑みで立ち上がった名前。
そして、いつもより幾分か上機嫌に見えるギアッチョに急かされながら、彼女はマードレによってへし折られた自室のドアノブのことも忘れて歩き始めるのだった。
某時刻。
少女の部屋へ忍び寄る一つの影。
「ふっふーん、今日こそオレのだーい好きな名前姉さんと一線を超えてやるぞ。ハアッ……名前姉さんの喘ぎ声……か細いけどエロくて、清純なイメージとはまた違う≪ギャップ≫っていうか? ハアハア……! ああっ! その場面を想像しただけでも抜ける……ッ! よっし、お邪魔しまーす……、…………は?」
「名前と寝るのはオレだ」
「いい加減引き下がれ、この頑固親父! お前に添い寝の権利は渡さねえ」
影の正体――メローネが見たのは、まるで戦場のような錯覚を覚える室内の雰囲気と、ここにいるはずのない両親。
しかも、布団は膨らんでおらず、名前がいないことが窺える。
「……あんたら、娘の部屋で何やってんの?」
ようやく冷静になった彼が嘲りを込めた言葉を吐き出すまで、二人の口論は延々と続いていたとか。
ネエロ家の日常〜深夜〜
夢の一人暮らしは、まだまだ先のようです。
![](http://img.mobilerz.net/sozai/1616_w.gif)
お待たせいたしました!
リーダー(パードレ)と兄貴(マードレ)で『ネエロ家の日常』の続編でした。
モリ様、リクエストありがとうございました!
落ちは六男のギアッチョくんに持って行かれてしまいましたが……いかがでしたでしょうか?
感想&手直しのご希望がございましたら、ぜひお願いいたします!
Grazie mille!!
polka
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