01
※ヒロイン=妹分
※裏








私、名前はいつも不満に思っていることがありました。


「あ、プロシュート兄貴! 今から出かけるんですかっ?」


「ああ、そうだ。だが……名前はここで大人しくしてろ」


「えー!?」



そう、これ。


ペッシ先輩は基本連れてくのに、兄貴は私を仲間外れにするのです!



「どうして!? 私、兄貴とデートしたいよ!」


「バカ野郎。オレらは別に遊びに行ってんじゃあねえ、そんぐらい見極めろ。だからお前は、いつまで経ってもマンモーナなんだよ」


「……う〜っ!」


「あ、兄貴! その辺にしましょうぜ!」



今にも説教を始めそうな兄貴を止めてくれる先輩。



嬉しい。すごく嬉しいけど、その分羨ましさ百倍!



「ぺ、ペッシ先輩の……ばかっ」


「え!? ちょ、名前!?」


「ハン、ほっとけ。行くぞ」



そう言って出ていく兄貴。


全然こっちを見てくれなくて――ちくりと心が痛い。


私だって、好きでワガママを言ってるわけじゃないのに。



「(兄貴のバカ、バーカ! 胸元開けすぎ罪で訴えられろ!)」


「あ……えっと、お土産買ってくるから!」


おろおろしながらペッシ先輩が、玄関を開けて走り去る。


先輩も、先輩だ。


私がお土産で釣られるわけ――――今日は、できればドーナツがいいなあ。










「やあ、名前! なんだかイライラしてるみたいだけど、月一のアレ?」


「サイッテー。違います! 歩く18禁のメローネには関係ないっ」



今日も兄貴の引き留め作戦に失敗して、ソファでふて寝する日々。


そんなとき、いつも現れるのが変態マスクの異名をとる、メローネだ。



「ふーん。ま、大方プロシュートのことだろうけどな」


「えッ!?」



な、なななんで知って!


そんな顔をたぶんしていたんだと、思う。



「え、まさか隠し通せてると思ってたワケ? みんな……リーダーでさえも知ってるぜ」


「り、リーダーまで!?」



あの、THE・鈍感男で知られるリーダーにまで気付かれてたなんて……。


ん?


そこで気になることが一つ。




周知ってことは――




「メローネ」


「んー?」


「あの……兄貴にも、バレちゃってるのかな? 私が……兄貴のこと好きって」



気付かれてるのなら、恥ずかしすぎる。


それに――何も反応がないってことは、望み薄なんだよね、うん。



「さあ?」


「さあ、って……」


「オレに聞くより、本人に直接聞いた方がいいと思うけどな」


「! む、無理だよ!」



平然と言ってのけるメローネ。


そんなこと、できてたら苦労しません!



「無理、ねえ……じゃあ一生、プロシュートの子分止まりでいるつもりか?」


「……!」



グサリ。隣に座る彼の言葉が、鋭く胸に刺さった。



「子分のまま……」


兄貴は厳しいけど、すごく優しい。



いつも私の前に立って、導いてくれるし――





でも。


「兄貴が、女の人と一緒だとつらい」



≪子分≫であることが、嫌なときもあるんだ。


思わず俯くと、ポンと頭に手が乗せられた。



「……ベネ。正直が一番だよ」


「メローネは、欲に対して素直になりすぎてる気がするけど」


「あははっ、お褒めの言葉グラッツェ! そうと決まれば、告白だな!」


「別に褒めてな……っ!? え////」



告白!?


「ん? それ以外何があるんだよ。まさか……あのプロシュートを襲う気か!? イイ! ディモールト・ベネ!」


「ひ、一人で勝手に盛り上がらないで! そ……そりゃ、告白する……つもり、だけど」



突然すぎない?


顔に集まる熱。それを冷ますために、一生懸命手で扇ぐ。


あと、はい・いいえ以前の問題で、もし告白自体を失敗しちゃったらって思うと……あ。




「そうだ、メローネ! 今暇だよね? よかったら、練習台になって!」


「オレ? んー、名前に告白されたら、押し倒す自信しかないけど、それでいいなら――」


「その前にハッ倒すから大丈夫」



苦笑を漏らすメローネを横目に、たたずまいを整える。



よし、なんだか頑張れる気がしてきた!




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