02



静まり返る部屋に、ペン先が紙を擦る音だけが響く。



黙々と書類を進めていたリゾットは、ふと名前は何をしているのだろうかと思い至った。


「名前?」



反応がない。もしかすると眠ってしまったのかもしれない。


今日は彼女と交われないことを残念に思いつつ、布団をかけておこうと彼はペンを置き、おもむろに後ろを振り返った、が。



「!?」


いつの間にか、名前が自分の背後に立っていたらしい。


その予想もしなかった行動に驚きながら、俯く少女にどうしたのかと心配になり、手を伸ばした瞬間――




「ふふ……」


「は?」



リゾットは、机と自分の上に跨る名前の間に挟まれていたのである。










「クス、リゾットさん?」


「!」


どうやら、現実逃避をしていたらしい。


色っぽく呼ばれた名に、ハッと我に返れば、小さく笑われてしまった。



「名前。どうしたんだ、いったい……」


「……どうした、って?」


「いや、その……様子がおかしいというか、なんというか」


「わたしの身体……今、すごく熱いの」



おかしい。明らかにおかしい。


だが、舌なめずりをする彼女はとても扇情的で、思わず正直になってしまいそうな≪自身≫を叱咤する。



「あ、熱い……?」


「はい。それに、すごくドキドキしてる……ほら」


「!?」



彼の手を優しく取ったかと思えば、己の左胸へ押し当てる名前。


その揉みしだきたくなる柔らかさと熱さ、そして鼓動の速さにくらりとしてしまいそうだ。



「ッ、名前……」


「……リゾットさんは?」


「え?」


「わたしで……欲情、してくれてる?」


「!」



すでに主張し始めていたソレを、名前の人差し指がズボン越しになぞる。


その、今までにない快感に絆されそうだ。


しかし――



「名前、っは……今日は、もう寝なさい」


「……どうして?」


「どうしてって……」


「リゾットさんを、気持ちよくさせたいの」



次の瞬間、とにかく名前の色気に圧されまいと堪えていたリゾットは、両手首の違和感に目を見開く。



「ふふ、リゾットさんの手、しばっちゃった……」


「なッ」


「頭巾、伸びちゃったら……ごめんね?」



椅子の背から離れない両手。


ちらりと机を一瞥すれば、置いてあったはずの黒頭巾がない。


本当に縛られてしまったらしい。


「じゃあ……心置きなく」


「ッ、待て――」


「いや」


カチャッ


音を立てて外されたのは、上半身の斜めベルト。


胸筋から腹筋へかけて、白い手を焦らすように動かす少女。



いや、今は少女と言うべきではないのかもしれない。



「くッ、は……やめ、ろ」


「リゾットさんって、意外に感じやすいんだぁ……ふふ、素敵」


「ッぁ……!」



快感にリゾットが眉をひそめる。


それに気をよくしたのか、名前はおもむろに彼の首筋へと舌を這わせ始めた。



「! 名前……な、にを」


「だいじょーぶ。印を、つけるだけ、だよ……んっ」


「はぁ、はっ……」



困惑と快楽。


今、自分を見て笑んでいるのは、本当にあの名前なのだろうか。


どうせなら、掻き抱いてしまいたい。


恥じらいを見せる少女もたまらないが、心の底では≪あってもいい≫と望んでいたのかもしれない。



――この両手さえ解ければ。



すぐに名前の腰を掴み引き寄せ、パジャマと下着を剥ぎ取り、その濡れそぼった秘部へ挿入したい。


そして、存分に膣内を堪能して、力が尽きるまで己の子種をこの少女の子宮へ――






「ん、んっ……あ、リゾットさんの、おっきくなったぁ」


「!」


耳を掠めた、嬉しそうな声色。


ギョッとして至近距離の名前を見つめると、内腿を擦り付けられながらにこりと微笑まれる。



「感じて、くれてるの……?」


「ッ、そうだと言ったら?」



交わる視線。


少しでも優位に立とうと腰を揺らし、挑発的な表情を少女へ向ければ――




「んっ、嬉しい」


「!」


「すごく……嬉しい、です」



ドキリ

さらに高ぶる胸。


せめて、それだけは悟られないように、ただただ彼女を凝視していると――



「だから、コッチもさせてね?」


「は? っう……!?」



刹那、ズボンの中へ侵入する名前の左手。


器用にトランクスをずらせば、天井を向いた彼の一物が露わになる。



「っ名前! それは……!」


「まずは、これかな?」


「ッく、ぁ!」


ギシリ、と音を立てる椅子。


そして彼女は、我ながらグロテスクだと感じる性器を手でゆっくりと扱き始めた。


びくりびくりと反応してしまう自身。

その先からは、感じていることを示す、液体が溢れ出している。



「ふふ、これ……先走り汁、ですよね?」


「!? ど、こで……そんな、こと、ばを……ッぁ!」



つい最近、名前は≪性交≫を身体で覚えたはずだ。


だが、男を快感へと誘導する動きは手慣れているように感じて――



「わたし……一応リゾットさんより、長生きなんですよ? 知識ぐらいは、あります……!」


「うっ、はぁ、はぁッ……名前……っ!」



ダメだ。


このままでは、本当にイかされてしまう。

自分が彼女をイかせたい――そんな≪プライド≫があるのも、否めない。


グッと奥歯を噛み、できるだけ無表情で刺激に堪えようとしていると――



「……ふふ」


「ッ、名前……?」



消えた痺れ。


昇り詰めかけていたこともあって、手を離した彼女に熱い視線を送ってしまう。


すると――



「少し、待ってくださいね?」



名前が彼の上から退いたかと思えば、リゾットの足の間に跪いたのだ。


そして、自分のモノへ色づいた唇を寄せる彼女に、彼は≪今からしようとしていること≫に気が付いた。



「! 名前ッ、やめ――」


「あむ……んんっ、おっきくて入らな……んぐ」


「うぁ……!」


温かい口内。


絡みつく唾液に、自身の先が捉えた喉に、意識が飛びそうになる。


だが、それをなんとか振り払って、リゾットは名前の口から離そうとした、が。


「んむっ、足……閉じちゃ、や」


「!?」


上目遣い。こちらを見上げる彼女に、自然と体の力が抜けてしまう。


その瞬間、名前はより深く咥えようと彼の足に手を置き、喉を開く。


「んっ、すこし……にがい、っふ」


「はぁ……ぅっ、そこで、喋る、なッ」




もちろん、相手は愛しい名前だ。


あわよくば、いつかはしてほしい――想像しなかったと言えば嘘になる。



しかし、想像を遥かに超えてしまった快感と名前への劣情に、リゾットは必死で腰を動かしそうになる衝動を抑えていた。


一方、それに気付いているのかいないのか――少女は懸命に性器を咥え込んでいる。


赤い舌をねっとりと沿わせ、時には裏筋を舐めた。

思い出したかのように先を吸えば、彼の肩は大きく揺れる。


その反応に、確かに彼女は大きな喜びを感じていた。


「んぐっ……ん、ふっ」



だからこそ、もっと気持ちよくなってほしい――その感情が名前を突き動かした。



「ぁ、ッく……名前、はっ」


「んぅ……っそろそろ、んんッ?」


「ッはぁ、口を、離すんだ……ぅっ!」








「や」


「!? 名前……ッ!」


困惑に眉をひそめる男に対し、少女は相も変わらず舐め続ける。



ジュブリと音の立つ彼女の口元。



ああ、出したい、出してはいけない。


耳元で囁く天使と悪魔に苛まれながら、息を吐き出し――



「くッ……!」


「ぁっ」


今すぐにでも切れそうな理性の中、リゾットはまさに絶頂の直前に自分の性器を引き抜いた。


刹那、爆ぜる白濁液。




「ひゃ……っ」


それは当然、名前の顔へと飛び散った。




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