The gloomy,gloomy snare


※give&get『ベルベットの紅い箝』の続き
※裏
※承太郎姉ヒロイン
※いわゆる大人の玩具を使用しているので注意





「っ……は、ぁ……はぁ……ん、ッ」


動かない手足。

どこまでも黒一色の視界。

ひっきりなしに口端から漏れる、色めいた吐息。




そして、


「ぁ、ぁっ……も、いやぁ……!」



密室に響き渡る歪な機械音と、膣内を強弱つけて蠢く≪とある玩具≫。


小刻みに震えるそれが、柔らかな粘膜を容赦なく刺激する。

何度達したかすらわからない。

時折白んでいく意識を引き戻すかのように、己の体液に塗れたモノは最奥を掠めた。


「だれ、か……おねが、ったすけ……、ひ、っ!?」



刹那、さざ波のようにじわじわと押し寄せる――快感の味。

身体の芯は痺れ、つま先はピンと伸ばされている。


≪また≫絶頂を迎えてしまうのだ。


そう悟った瞬間、痛みを訴える手首の存在すら忘れて、名前は快楽から逃げるために身体を精一杯捩り始めた。



「やら、っは、はぁ……もっ、イきたくな……ぁっぁっ――や、ぁああん!」


より甲高い嬌声と共に鳶色の瞳が、大きく見開かれる。

ビクリと跳ねる滑らかな肢体。

反らされる背筋に曝け出してしまう白い喉元。



「ふ、っぅ……ダ、メぇ……!」


――誰か。誰でもいいから助けて――



そんな懇願に似た期待を抱きながら、少女はこうなったきっかけである、DIOとの≪ある賭け≫を朦朧とする頭の隅で思い出していた。












「名前」


「! な、に……?」



ふと開いた荘厳な扉。

逃亡を企てることも許されず、キングサイズのベッドに座りぼんやりと物思いに耽ることが多くなった名前は、現れた人影にひどく肩を揺蕩わせた。


一方、その明らかに怯えを含んだ反応に笑みを深めつつ、一ヶ月ほど前に彼女を捕らえたDIOはおもむろに口を開く。


「ククッ、喜べ。貴様にとっては≪嬉しいこと≫だ」


「?」


「……承太郎たちがここ――エジプトにようやく到着した」


「えっ……承太郎やみんな、が?」



ぽつりと呟かれた弟の名前。

――よかった……無事、だったんだ……っ。


当然ながら、安堵という色が少女の憂いを帯びた表情には生まれる。


「……」


しかし、そのあからさまな顔色の変化が面白くないのか、見る見るうちに眉間へとシワを濃く刻む男。


自分へは決して向けたことのない微笑に、百年前に動かなくなった心臓が掻き立てられている――とはおそらく気付いていない。


「フン、奴らは私が想像した以上に手強いらしい……それで、だ」


「っ……まだ何かある、の?」



ベッド上で後退る名前。

素足とシーツが擦れ合う音。


目を伏せた彼女を視線だけで追いながら、彼は口端を吊り上げた。



「そうだ。……名前よ、このDIOと一つ賭けをしないか?」


「……、賭け? いきなり何を――」


「これからすることに、貴様が堪えることができれば、承太郎たちの元へと返してやろう」


「え……!?」



≪返す≫。

つまり、この人から解放されるということ。


久しぶりに感じ取った心臓の鼓動。

それに導かれるまま、少女はすかさず顔を上げる。

一方、予想通りの動作にほくそ笑むDIO。



「ただし、貴様があることをすれば……貴様の一生は私のモノだ。死ぬことも許さない……それでもこの話を受けるか?」


「……受ける」


「ほう……ではこちらに来い」



なぜ――そんな疑問詞は彼には通じない。

小さく息をのんだ名前は、そろりと足を床へ着け、立ち上がった。


ひらめく白いワンピースの裾。

連れ去られた当時、着ていた服は跡形もなく破られたので、これは男が選んだものだ。



「……、ひゃ!?」


一歩一歩と歩み寄り、目の前に立った途端――腰を引き寄せられる。

振り払いたくてもさせるつもりはないらしい。


自分と因縁のあるジョースター家の血縁とは思えないほど小柄な女。

その柔らかさと細さを改めて感じながら、DIOは部屋の隅に置いてあった≪黒い棺≫を指し示した。



「? ひつ、ぎ?」


「この中に入れ。そして――」







「≪その間に私の名を呼ばなければ≫、貴様の勝ちだ」


「!?」



何を言っているのだろうか。

驚愕を露にする彼女を横目に、彼はその身体をおもむろに抱き上げる。


そして、時折自分が眠る棺へ押し込めてしまった。


「あ、あの……え?」


「簡単だろう? 呼ばなければいいだけの話だ」


「そう、だけど……って、何して……っ」



次の瞬間、腕の自由を奪う布のようなもので結ばれ、ようやく≪ただ事ではない≫と察知する名前。


しかし、もうすべてが遅すぎた。

必死に身を揺らす少女のワンピースを捲し上げる。

さらに――


「!?!? やっ、やだ……取っちゃ……、!」


「案ずるな。≪準備≫をしているだけだ」



――準備?


ますますわけがわからない。

眉をひそめた彼女にくつくつと喉を鳴らしつつ、男はショーツを取り上げた。



「ふ……名前よ、この時代はなかなか便利なようだ」


それを棺の外へ投げ捨ててから、己のポケットから抜き取ったのは、



「……このような面白いモノがあるとはな」


「!!!」



男性器を象った、歪で鮮やかな機械。

視界にそれが映った瞬間、ヒクリと頬を引きつらせ、名前が血の気を失ったかのように青ざめる。



「その顔……知っているな? 部下に取り寄せさせたのだが……使ったことはあるのか?」


「ッ(ブンブン)」


「クク、ないのならば良い。……未知の快感に溺れてみろ」


「ひ……っいや! やだ、ぁっ……!」



今更だが、襲うのは≪後悔≫。


解放されるというエサで安易に釣られてしまった先ほどの自分が、恨めしくて仕方がない。



「ん、っ」


熱を帯びる皮膚が捉えた、無機物特有の冷たさ。

それに思わず秘部がヒクつけば、DIOはますます唇を歪曲させる。


クチュリ


「ひぅっ……や、ぁっ、まだ入れな……ぁあっ」


「何を言う。私のモノでもう膣も慣れただろう……入口がヨダレのように愛液を垂らしているぞ?」


「っ、そ、なわけ……はッ、はぁ……ひぁ、っ!?」



グチグチと生々しい水音を立てて、玩具でナカを押し拡げられていく。

迫り来る快感。

だが、この館にてそれを植え付けられたことで、悦びを訴える身体。

蕩けた表情を滲ませ始めた少女に対し、征服欲が満たされるのを覚えつつ、彼は手に持つ機械を最奥まで咥え込ませた。



「はぁっ、はぁ……おねが、い……っとって、ぇ」


「ああ、今すぐにでも取ってやろう。……私の名を呼べばな」


「!」



己を招き寄せる官能によって、忘れかけていた選択肢。

――この男のモノには、なりたくない。


意思表示をするように下唇を噛み、黙り込んだ。

すると、一瞬面白くなさそうにしたものの、その表情をすぐさま消したDIOが棺のフタをゆっくりと動かす。

当然、男の行動に≪これからしようとしていること≫を悟り、もう一度狭い部屋の中で暴れる名前。


「ぁっ、やだ……暗いのは、っ」


「いつ暗闇から解き放たれるか。それは貴様次第だ」


「待っ――」



て。

その一文字を紡ぎ終わる前に、自分を包んだ漆黒。


さらにカチリと何かのスイッチを入れるような音が、吐息しかない室内に鳴り響いたと同時に――



「え、っぁ……!? いや、ぁああああッ」



妙な振動音が遅れて耳に届き、すでに潤い始めたナカで歪な玩具がうねり出した。










「ぁ……はぁ、はぁっ……らめ、ぇ……!」


そして、現在に至る。

数え切れないほどイかされ、脳髄は麻痺し、薄紅色の花弁はさらなる快感――雄を求めヒクヒクと震えている。

おそらくだが、棺の近くにDIOはいるのだろう。


しかし自分が≪負け≫を認めなければ、囚われた責め苦とも言える快楽から解放されることはない。


――っ、でも……認めたら私……。



「名前、どうだ? このDIOに感想を聞かせろ……名を呼ぶ気になったか?」


「! ぁっ、ん……、……はぁ、っ」



意外に我慢強い。

ならば――と喘ぎ声だけが漏れ出す棺に腰掛けていた彼は、おもむろに≪リモコン≫のあるボタンに指を添わせた。


「ククッ、愛い奴だ……では、今より振動を強めてみるか」


「!? ダメ、っ! これ以上、ぁっ、されたら……っひ」


「ん?」


「〜〜っ」



呼ぶ。

呼ばない。


これからの自分を左右する選択。

だがそれよりも――



「……、お」


このままでは、淫靡な――行為に狂わされてしまいそうだ。



「ふ……どうした? 無言ということは、まだそこにいたいのだな」


「!」



板越しに聞こえる楽しげな声色。


――言わなくちゃ。

――言わなきゃ。



――言わなければ――




「ぁっ、ふ、ぅ……っでぃ、お」


「……ほう」


「でぃお……ディオ、ひぁっ、ん……も、これ止めて、ぇ……っ」



嬌声に入り交じって紡がれた、己の名前。

これほどの喜びが、あっただろうか。



キィ


「ッ……あ」


「いいだろう。貴様が≪望むのならば≫な」


止められる、名前を攻め立て続けていた機械の動き。

突然射し込んだ光に眩んだ目がようやく慣れた頃、こちらを見下ろし、ほくそ笑むDIOが映った。


しばらく自分を見つめていた彼は、おもむろにしゃがみ、相変わらずモノを咥えたままの秘部へと手を伸ばす。


「や、っあん」


「……棺が水浸しじゃあないか。ずいぶん効果的な代物のようだ」


チュプリ

淫らな音と共に玩具が抜かれた。

だが――なぜだろう。



「ん? ココは満足していなさそうだな」


「ッ!」



そう。

あんなに解放されて安堵したはずなのに、≪物足りない≫。

困惑を瞳に浮かべる少女の秘境へ触れることもせず、もう一度抱きかかえる。



ドサリ


「ぁ、っ」


「どうした。いつものように抵抗してみろ……と言っても、貴様は賭けに負けたのだが」



それから彼女をベッドのシーツに縫い付けた男は、ボトムをずらし、艶やかに笑ってみせた。



「それとも、これが≪欲しいか≫? 名前」


「〜〜っ」


「欲しいのならば、強請ってみろ」



≪ねだる≫。

速いテンポを刻む心音。


――迷いはなかった。


「っ、はぁ……ディ、オ」



曲げられた足を左右に開き、体液に濡れた花弁を指先で広げる。

そして、おずおずと唇を震わせた。



「……ディオの、大きなモノで……っ、掻き回して、くださ、い……ッ」


「クク……名前よ。存分に味わうがいい」


「んっ、ひぁ、っぁ……ああああん!」



次の瞬間、先程の無機物とは比べ物にならないほど、質量のある性器が名前の蠢く肉襞を犯す。


グチュリ

ジュブ


快感を求めて揺れる腰。

半開きとなった口から溢れる唾液。

自然と誘うような表情を作り出してしまうトロンとした瞳。


泡立つ結合部が、その行為の激しさを物語っていた。



「これほどキュウキュウと締め付けて……欲深いな」


「ぁっ、やら、ぁ、はぁ……そうじゃな、っのぉ……!」


「自覚せず、か。だが、私のモノであることは自覚してもらわなければ困るぞ」


「あんッ、はっ、はぁっ、じかく? ぁ、っああ」



火照ることをやめない躯体。

それをいやらしくくねらせていると、ふと耳元に口を寄せたDIOが囁きかける。



「――名前、私の子を産め」


「!? な、に言って……や、っぁ、あああ!」


「ふ、ジョースター家の者と交わる時が来るとはな……運命とは面白い」



肉が肉とぶつかり合い、乾いた音が部屋中を支配した。

一方、突然の命令に戸惑いを隠せない名前だったが、執拗に襲ってくる≪性感≫で諦めに似た感情が脳内を占めてしまう。


出会った当初にはなかった婀娜やかな表情に、彼女の答えを悟ったのだろう。

にたりと笑んだDIOはグラインドさせ、腰部から下の動きはより激しさと鋭さを増す。



「ッ名前、はっ……そろそろ出すぞ」


「ぁっぁっ、あ……はぁ、はぁ……ん、っも、出して、ぇっ……、ぁあああ!」


「くッ」



子宮口の寸前で爆ぜ、ドクリと入り込んでくる感覚。

――ああ、この人は本当に私を……。


粘膜を内側から抉り、打ち付けられていく熱。

抵抗する気も、もはや起きない。



「名前……私のモノだ」


徐々に近付く妖艶な笑みを浮かべた顔に、名前はそれを受け入れるように静かに瞼を閉じた。











The gloomy,gloomy snare
決して抜け出せやしない、罠の中で。











大変長らくお待たせいたしました!
DIOで『ベルベットの紅い箝』の続編裏でした。
ちなみにタイトルは「暗い、暗い罠」という意味で、文法が正しいかはわかりませんがつけています。


一美様、リクエストありがとうございました!
感想&手直しのご希望がございましたら、ぜひお願いいたします!
polka



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