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「君はなぜ、下着を履いているんだ」
一瞬の間。
見つめ合う二人を包む異様な空気。
――≪なぜ下着を履くのか≫。
そんな、真理を問うかのような物言いに、ようやく呼吸を整えた彼女は小首をかしげる他ない。
「……はい?」
「ジャッポーネではキモノのとき、下着を履かないんじゃあないのか? 君もそれに則っていると思っていた」
「…………。リゾットさん、インターネットの見すぎです! それは昔……というより、そもそも昔の人も≪下着を履いてなかった≫わけじゃなくて、今で言うショーツのような形の下着がなかっただけですっ」
「なん、だと……!?」
信じられないと言いたげな彼の眼差し。
それに少女が頭を抱えていると、しばらくして男が冷静さを取り戻したらしい。静かに口を開いた。
「オレはてっきり、喫茶店からの道を恥じらいながら歩いているとばかり考えていたんだが」
「! そ、そんなことするわけないじゃないですか! リゾットさんの変態っ!」
「……」
放たれたフレーズに対して飛び出た精一杯の罵倒。
しかしいきなり押し黙られれば、さすがに不安になってしまうわけで。
言いすぎてしまっただろうか――申し訳なさに眉を八の字にした名前は、リゾットの腕の中でしどろもどろになった、が。
「きゃあ!?」
すとん。
下半身から、何かがすり抜ける感覚。
――ショーツだ。
服で覆っていると言えども寒々しい秘境に、彼女は鈴を張ったような瞳を丸くするばかり。
「え、あ、あの……?」
「名前がきちんと履いていたことはわかった。それと、この≪ジュバン≫とやらはまだしも、≪フリソデ≫は汚さないようにしなければな」
「リゾットさん? も、もしかして……ぁっ……また撫でちゃ、や、ぁあんっ」
ハッと我に返った少女が足をきつく閉じようと試みるが、肉感的な最奥にすかさず割り込んできた彼の大きな手のひら。
そして、すでに潤い始めた陰裂を下から上へ幾度もなぞると、固く目を瞑った名前は小刻みに震えつつ淫らな声を上げた。
「ぁっ、あっ……ん、りぞ、とさっ……はぁ、っは……だめ、ぇ」
「ふっ。ナミダ目で≪ダメ≫と言っても説得力がないぞ、名前。……ん? キモノはこんなところに隙間があるのか。どこまでも摩訶不思議だが、胸に触れやすい」
昂ぶりと苦悶が織り交ざるテノールが三半規管を突き抜けたかと思えば、あっと驚く間もなく、身体を平らにしていたタオルが取り払われる。
当然、ぶるんと弾けんばかりにそこから溢れ出した胸に、少なからず襟が歪んだ。
それに加えて、左脇の下から這わされた無骨な手に荒々しく揉みしだかれ始める、襦袢越しのたわわな乳房。
「ひぅっ! やだ……っぁっぁ、やら、ぁ! ふ、っぅ……むね、もみもみしな、っで……はぁっ、はぁ……っぁ、んん……!」
「≪やだ≫? これほど乳首を硬くさせておきながらよく言う。名前は布の上から弄られるのが好きだな」
「! ちがっ……ちが、のぉ!」
「……」
赤く充血した乳頭を親指と人差し指によってコリコリと摘まれ、少しでも迫り来る快感を避けようと身動ぎするが――もはや男に抱き込まれた彼女は逃れることができない。
一方、先端をほぐすと同時に口元を緩ませたリゾットは、徐々に熟れている蜜壷へ右指を一本喰い込ませた。
ズチュリズチュリと弱い箇所を的確に捉えていく、彼の太く長い中指。ぷっくりと腫れた秘豆を弄る爪先。
恍惚に霞む脳内。連続的に啼き声を漏らす少女が秘部への甘やかな痺れに気を取られた、刹那。
「――ひぁ!?」
かぷり。右の耳たぶを執拗に食まれ、舐られる。
直接理性を犯す水音。
三つもの性感帯を攻め立ててやまない男。我慢ならずにピクピクと震わせる肢体。羞恥に囚われた名前がひたすら身を捩ることで肌蹴た胸元から肩口。
「や、やら……ふ、っんぅ……りぞ、とさっ……はぁ、っは……や、ぁ、あんっ!」
すると、結い上げていることで無防備なうなじや首筋、そして鎖骨に咲くいくつもの紅い華。
そこは見えてしまう――きめ細やかな皮膚に強く吸い付かれたことによって、下唇を強く噛んだ彼女が赤らんだ顔を微かにそらせば、チャンスだと言わんばかりにリゾットが笑みを深めた。
「名前、いいのか? そんな風に喉を曝け出して」
「? っ、ひゃう!」
次の瞬間、すべてを支配するかのごとく喉元を咥え込まれ、少女の口からこぼれる小さな悲鳴。
身体を重ねるとき、劣情を眼光に宿した彼はまるで獣のようだ。
だが荒々しさと慈しみ、その両方を兼ね揃えた恋人の愛撫に、自ずと翻弄されてしまう自分がいる。
ひどく乱れた息。とろんと潤んだ双眸。
「っぁ、っぁ……ん……」
情欲を掻き立てる名前の表情に、ヒクリヒクリと蠢く膣肉に、絶頂を察したのだろう。
男が、彼女にもたらしていたすべての動きを早めた。
たゆんと揺れる膨らみを何度も弄られ、ざらついた表面を指先で圧迫され――より一層甲高くなる嬌声。
「ひぁっ、あん……りぞ、っとさ、ぁ……っん、ふ……ぁっ、はぁっ……ンっ、はぁ、はぁっ」
「名前……」
「っ、ひぅ、っん……わた、し……や、っぁあ!」
否応なしに躯体が火照っていく。
「はぁ、っぁ、ふ、ぅっ……んん……はぁっ、はっ……りぞっと、さ、っん……ぁっぁっ、私……っイ、ちゃ……!」
「ああ。いいぞ」
快楽のあまり震える膝。頬を上気させた少女が縋るようにリゾットの精悍な胸元へ顔を寄せた。
ふるふると少しだけほどけた黒髪を揺らす名前の可愛らしさに、焦熱に苛まれた身体の芯がズボンの下で首をもたげる。
「そ、な……ぁっ、ん、だめ……っぁ、っあん、ふ……だめ、ぇっ!」
「今前にあるのは≪ジュバン≫だけだ。普段通り、はしたなく潮を噴けばいい」
「! でも……っ」
彼女の顔に現れる躊躇い。
ところが、包皮が剥かれ硬くなった陰核を刺激され――
足のつま先からつむじへ走った中毒性のある電撃。次の瞬間少女は、白い喉を惜しげもなく晒していた。
「っはぁ、っは……やら、っそこだめ……、んっ、ぁっ……イっちゃ……っぁっぁ、ン、やら……出ちゃ……っ、ゃ……ひぁっ、ぁっ、ぁああん!」
甘美な嬌声が響き渡った途端、トプリと溢れる愛液と尿道から勢いよく飛び出す体液。
潮を噴くという行為自体に、快感はないと言われている。
「ぁ……はぁ、っん……はぁっ、はっ、ぁ」
しかし、絶頂を経験するたびに時々この妙な開放感に囚われてしまうことから、もはや快楽に直結しているも同然だった。
ガクンと崩れ落ちそうになった名前。
刹那、力の入らない身体を彼に抱きとめられると、荒い息をこぼしながらも彼女は安堵の色を見せる。
深紅の瞳に唯一映る、自分の姿。
「は、っぁ……りぞっ、とさ、ん……、っ」
「(可愛い……)ふ、まさか腰が立たなくなるとは」
「っ////」
ますます真っ赤になった顔。恥ずかしそうに俯いた少女を一瞥した男はそのままベッドへ近付き、細身の女体を白いシーツの上にそっと下ろした。
足、肩とずいぶん柔肌を晒している振袖。いまだ朦朧とした脳髄。遠くで聞こえるのは、金属や布が擦れる音。
しばらくして、耳に優しさと熱情を含んだ声が届く。
「名前、おいで」
「? ……ぁ」
振り返ると同時に視界を埋め尽くした、今にもはち切れんばかりに天井を見上げる性器。
この凶器に似た男根がいつも自分を乱している――そう改めて認識した瞬間、火が出たのかと勘違いするほど熱を持った頬。
いきり立ったそれを見ないよう目線を巡らせつつ、恋人との距離をしずしずと縮めた名前。
だが、リゾットにとってはその仕草が気に入らなかったらしい。
「!?」
顎へ静かに指を添えられたかと思えば、少々強引に彼の方を向かされてしまった。
一瞬たりとも瞳をそらすことを許さない黒目がちの双眸。全身を縫い止める肉食獣のような鋭い眼差しに、バクバクと自己主張を繰り返す心臓。
「ふむ(名前をベッドに押し倒せば、当然帯が潰れてしまう。となると……)」
「……?」
「オレに背を向けて膝立ちになれるか?」
「っ……は、い」
コクンと頷き、自然と前へ両手を付く形になる。
だが男の意図が読めず、彼女の頭上に生まれたいくつものクエスチョンマーク。
まるでこの状態でお辞儀をするような――緊張に震えた唇から漏れる、小さな呟き。
「りぞっと、さん?」
ぺらり。
そのとき、広がった孔雀の羽を象るかのごとく、淡い水色の着物の裾が腰元まで捲り上げられた。
加虐に口元を緩めたリゾットの眼前には、丸みを帯びた白い双丘。
一方、突然局部に風を感じた少女は反射的に瞠目するが、下半身を固定されいやいやと首を横に振ることしかできない。
「! ひっ……や、ぁ////」
「嫌? 内腿に愛液を滴らせておいてよく言う」
「〜〜おねが、っ……はぁ、っは……まくるのやら、っ、ん……ぁっ、あん!」
なんてはしたない格好なのだろう。膨れ上がるそうした羞恥心に苛まれ、今以上に頬が朱に染まっていく。
両膝が揺らぐほどビクンと跳ねる下肢。対して、桃のような尻をしげしげと眺めていた彼は、熱に浮かされた名前の視線と己のモノを不意に交差させた。
そして次に紡ぐのは、
「そのまま腰を下ろせ」
という一言。
内心快感を乞う情動。それに急かされた彼女は覚束ない腰つきで実行を試みるが、煌びやかな布に視界を遮られてしまい、上手く見つけることができない。
「はっ、はぁっ……りぞ、とさん、ぁっ……見え、な……っ」
「ん……? 下半身を揺らして直接探ればいいだろう」
そんな――抵抗の念をあっという間に掻き消す、有無を言わせぬ男の眼光。
どれほど濃厚な行為を経ても、慣れることのない自分主導に近い挿入。言わずもがな少女はナミダぐむ。
とはいえ、相手をより深く感じたいのはお互い同じで――ついに意志を固めた名前は、しっとりと濡れた睫毛を震わせながら、背後に待ち構えているであろう肉棒を探し求め始めた。
断続的に密室を劈く、吐息と喘ぎ声。
「っん……ぁ、っぁ……、ひぅ」
いじらしく身体が揺蕩い、絹のような肌が鈴口を掠めるたびに、昂ぶりを示す先走りの蜜が淫らに臀部をテラテラと濡らしていく。
ここじゃない、ここじゃないと試行錯誤を繰り返して、数秒。
赤黒く膨張した焦熱を、愛液に塗れた薄紅色の襞が捉えるや否や、それに連動して肩がぴくりと微かに動いた。
「!」
「ふむ、秘部がヒクついているな。……そんなに待ち遠しかったのか?」
「ち、ちがうのっ……ん、ぁっ、あっ、はぁ……まちど、しくなっ、か……ぁ、やんっ!?」
「名前、嘘をつくんじゃあない。今もココをこんなに濡らして」
身体を仰け反らせるようにして、真っ白のシーツに手のひらを預けていたリゾット。
そんな彼が潤った外陰唇を刺激すれば、クチュクチュと体液が交ざり合う。
惹かれるようにぶつかる赤と紅。
その奥に見出した、欲情の色。
「はぁっ、はっ、ぁっ……」
「……どうするんだ? オレはこのまま出しても構わないが、キモノが汚れてしまうぞ?」
「え……? 〜〜っそん、な……んっ、ふ……りぞっ、とさ……っぁ、はぁ……いじわるしな、でぇ」
必死に懇願するも、躾けられたに等しい躯体の芯はすでにわかっているのだ。
私が動かなきゃ――よく熟れた肉と肉とが擦れる触感をひしひしと突き付けられつつ、恐る恐る降りていく彼女のたおやかな腰。
「ぁっ……! っは、っはぁ、や……んん、っ」
「ッは、名前……今日はずいぶん焦らしてくるな。まだ半分も入っていない」
「! だめ、ン、っぁ……らめっ……見ちゃやら、っぁ///」
「無駄だ。こちらからは飲み込んでいく姿が丸見えだと言うのに」
あえて辱めの言葉を吐く恋人に嫌がる素振りを見せるものの、無意識に秘境を締め付ける扇情的な聖女。
仕草、声色、面持ち。それらに耐えかねたらしい。喉仏を上下させた彼は、血管が浮き出た一物を根元まで勢いよくナカへ結合させた。
まるで元々1つであったかのように、隙間なく密着した膣肉と陰茎。
ズンと鈍い振動が内蔵を圧迫すると共に最奥へ伝わった刹那、性感という名の甘美な痺れを帯びた柳腰が婀娜やかにしなる。
「やっ、ぁあああ!?」
「く……!」
「ん、はぁっ、はふ、っぅ……はぁ……、あんっ」
強烈な快感にただただ粟立つ背筋。
一方で、苦悶に満ちた短い音をこぼしながら、静かに眉をひそめた男。
そして脳裏を過ぎった限界の予感に、深く息を吸った。
「名前。……ッ出すぞ」
「へ? ぁっぁっ、んっ、――ッ!?」
ビュクリ、と鋭い音を際立たせて、最奥で爆ぜる焦熱。
リゾットからもたらされるその射出すらも恍惚で――背中を弓なりに反らした名前。
「はっ、はぁ……」
胎内、全身、心を侵すように染み渡っていく濃厚なぬくもり。
コポリ。しばらくして彼が下肢を引けば、女の膣口がヒクつくたびにいやらしく溢れ出す白濁液。
もったいない、とでも考えたのだろうか。早くも復活し始めた先端を再び飲み込ませたことで、亀頭が充血した膣肉を押し拡げる。
あらわになる驚愕。彼女が大きく見開いた目を白黒させていると、疲労を一切感じさせない彼がにやりと口角を吊り上げた。
「ずいぶん驚いているが、≪終わり≫だと思ったのか?」
「……っぁ、ん、っはぁ……っそ、れは……その」
「フリソデ姿の可愛くいやらしい名前を前にしているんだ。むしろ一度で終わらせるはずがない」
嬉しいような、気恥ずかしいような男の宣言。
その言葉に気を取られていたことで、突如始まった激しい蹂躙に数秒遅れて反応する女体。
「きゃう!? りぞっと、さ、ぁっぁっ……まって、っん……ふ、ぅ……まっ……、?」
ミチミチと恥肉が窮屈そうに絡み合う音。後ろからテンポよく叩き上げられ、名前は再び淫らに喘ぐ。
しかしふと、律動が止まった。
表情に浮かぶ困惑の色。加えて、無意識のうちに落胆で眉尻を下げていた彼女は、おずおずと振り返る。
「ぁ……はぁっ、はっ……んっ、りぞ、とさん……?」
「どうした、モノ欲しそうな顔でこちらを見つめて。名前が動かなくては始まらないだろう」
「!?」
「……君の好きな場所に当てればいい」
理性ともどかしさで移ろう美しい瞳。
ナミダの薄い膜によって覆われた少女の深紅に、乾いた唇が自ずと描く円弧。そして伏せ目がちになった名前のなだらかな腰元が少しずつ動き出せば、男もまた下から揺さぶり始めた。
「ん、っん……はぁ、はぁっ、あん……や、ぁっ、ぁっあっ!」
「はッ……いい子だ」
強靭な裸体に流れていく汗。
幾度となく仰け反ったしなやかな四肢。
軋むスプリングと共に、さらに甘い吐息が部屋中を支配していく。
「ふ、ぅ……りぞっ、とさ……っだめ……ぁ、はっ、はぁ……やらっ、ぁっ……ン、ひぁ……!」
大量とまでは行かないが、注がれたことで子宮内から膣壁を伝い落ちてくる陰液。
それを男根が奥へ奥へと掻き戻すように蠢き、その生々しい音が彼女の胸中にある羞恥を育んでいた。
「なかっ、ぁっ……せ、えき、あるのに……っそん、な混ぜちゃ、やぁあ!」
「ん? なぜだ。この音が名前の興奮を煽るのか? 確かにいつもより息が荒いな」
「ひぁ、んっ! っは、っはぁ……らめ、っぁ、あん……はっ、ぁ……言わな、っで……っ」
少女と耽美な快楽を共有しつつ、リゾットは普段から秘めている1つの≪衝動≫に駆られる。
――この子のすべてを自分で埋め尽くしたい。
心中をこみ上げる溢れんばかりの感情。振動に沿って舞う振袖。グチュリ、パチュンと室内に充満する卑猥な音。
だがそれが、ベッド上で激しく目合う≪まぐわう≫男女の興奮を尚更高めた。
「名前……ッ」
「はぁ、っは、りぞっとさ……っおねが、ぁっ、あっ……ひゃ、っぁあん!?」
快楽に正直な二つの性器。
一本。眉間にシワを増やした彼が、それらをねっとりと緩急つけて重ね合わせていく。
そして膣のもっとも狭い箇所、すなわち肉襞に包まれた胎内の入口へ亀頭を潜り込ませた次の瞬間、烈々たる痺れが神経を走り抜け――産毛が一際震えた。
「! らめっ……ん、ぁっぁっ、あ……ッあん……そこ、やら、ぁ!」
すると、深い色の目を細めた男がそっと囁きかけてくる。
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