uno

注意!
※これは完全な裏です。
※護チ、暗チ全員生存している設定。
※媚薬。












「よオ」


「!? 貴方、は……っ」



突然呼びかけられ、びくりとしながらも振り返る。


背後にいた人物が誰かを悟った瞬間、名前はすでに後悔し始めていた。



「久しぶりだなァ……名前は確か、名前だったか?」


「……お久しぶりです、レオーネ・アバッキオ」


頭上に不思議な卵の殻。


忘れられるはずがない。



「で? 暗殺チームのテメーが、なんでここに来ていやがる」


「ジョルノ・ジョバァーナ……いえ、ボスへ書類を出しに来ただけです」



そう。ここはパッショーネの本拠地。


普段ならメールで済むもののはずが、なぜか直接届けろと指令が出たのだ。



――そうじゃなきゃ、私はここに来ない。



和解はできたものの、まだ組織内で自分のチームを見下す輩は多い。


さらに、女性という理由でちょっかいをかけてくる奴も少なくはないのだ。



――早くアジトへ帰りたい。


ジョルノがボスとなり、待遇も変わりはした。



しかし、なかなか人の心は変えがたい。



――それはきっと、この男も同じ……。



「……何こっちにガンつけてんだ」


「!」


――ダメ。こんなところで騒ぎは起こしたくない。


いつの間にか凝視していたアバッキオから、名前が視線を外す。



「オイ」


だが、少女のその態度が逆に彼の気に障ったらしい。


ぶらりと下がっていた彼女の腕を強引にこちらへ引き寄せる。


「ッ、何を」


「そうやって睨んでやりてーのはオレの方だってんだ。テメーらには、ずいぶん好き勝手やられたからなァ……」


にやり。


いつもへの字に曲がっている男の口が、上がっている。


しかし、そう言われて「ハイそうですか」と納得できるほど自分もできていない。



「……そういう貴方たちだって、イルーゾォ先輩やみんなを!」


「えらく突っかかるじゃあねーか。なんだ? そのイルーゾォが恋人かなんかか?」


「! そんな意味で言ったんじゃないっ//」


――私は、仲間みんなに憧れているんだから。


憧憬と尊敬。



暗殺という仕事を生業としている割にはまっすぐで、嘘のない名前の瞳に、アバッキオは笑みを深める。



「ほう……」


「も、もういいですか? 私、帰りたいんで!」


隙を見て彼の手を振りほどく。


そして男へ大雑把に一礼し、ずんずんと歩き始めたそのとき。



「まあ、待てよ」


「うぐッ」


「……ハッ、色気のねー声」


首に後ろから腕が回され、引き寄せられてしまった。



「〜〜ッ、まだ何か!?」


「そうカリカリすんじゃあねーよ。ただ、オレはテメーと親交を深めてーだけだ」


「親交ですって!? 私は深めたくありません!」


それより早く離してほしい。


背中に感じる、認めたくはないがたくましい筋肉が名前の心を急き立てた。



「いいじゃねーか。な? ちょっと付き合えや」


「っい、いや――――――!!」



あいにくその場には誰一人おらず、名前の悲鳴だけがしばらくの間轟いていた。












「あ〜、だいたいー……ひっく! なんれすかッ、この殻!」


「……よし、もうお前黙れ」


「あなたの! 指示は……受けまひぇん!」



酒が弱そうではあったが、ここまで≪ひどい≫とは。


バーのカウンターで一人盛り上がる名前に、アバッキオは静かにため息をついた。


だが、強くても≪彼の計画≫が潰れていたので、ある意味良かったのかもしれない。




「オイ。そろそろお開きだ……名前?」


「……すう」


「ハア? まさか寝てやがんのかッ!?」



顔を覗きこめば、穏やかな寝顔。


――なんて世話のかかるヤツだ!




「マスター。お代、ここに置いてくぜ」


バンっと紙幣をカウンターに叩きつけたアバッキオは、軽々と名前を俵担ぎにし、バーを去って行った。




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