uno

チャオ!


オレの名前はメローネ。


青春満喫し放題な、男子中学生だよ!


今日は、せっかくだからオレの家族について話すね。


あ、ちなみにみんな変人だから!





え?


変態のオレに言われたくないって?




あは、照れるなあ。



本当ならこの喜びを、全身を使って表現したいんだけど、そろそろ誰か来そうだから、紹介に移らせてもらうよ。















「おーい、イルーゾォ! メローネ! ギアッチョ! いつまで寝てんだッ!」


オレたちの朝は、階段の下から届くマードレの雄叫びから始まる。



「プロシュートは……なぜいつも叫ぶんだ?」


「ふふ、お母さんのあれが一番みんなに効き目があるんだよ。はいお父さん、コーヒー」


「近所の目も気にしてほしいものだな……ああ、ありがとう、名前」


一方、リビングでは新聞を読むパードレと、オレたちの大好きな名前姉さんが楽しそうに会話していた。





……え?


なんで二階にいるのに知ってるかって?


ふふふ、それはねえ。




「おいおい、メローネよォ……起きてんなら、返事しろよな。母ちゃんマジかんかんだぜ?」


「あ、おはよーホル兄。いやあ、ちょっと≪音楽≫を聞いてて、ね」


片耳のヘッドホンを外し、スーツ姿の兄に笑って見せる。


もちろん、音楽なんてのはウソだ。


オレが学校に行ってるときとかには、なかなか楽しませてもらってる。


盗聴を、ね。



「ったく、しょォがねーなあ〜! 片づけて、すぐ降りて来いよ?」


「はーい」


疑うことなく部屋を出ていくホル兄に適当な返事をしながら、もう一度ヘッドホンを耳に当てる。


あ、イルーゾォがリビングに来たみたい。






「名前姉さんー」


「おはよう、イルーゾォ」


「イルーゾォ、おはよry」


「オレの髪……結んでほしいんだけど」



パードレの言葉を無視して、姉さんに近づく男子高校生。


お年頃だし、微妙な気持ちになるのもわかるけどさ……お父さん泣いてるよ?



「……ぅっ」


「(お、お父さん……)うん、わかった。じゃあ、洗面所に行こうか」


「りょーかい」



さらに姉さんを独り占めできることが嬉しいのか、パードレに勝ち誇った笑みを浮かべて、イルーゾォがリビングを出ていく。



「クソッ、雨でもねえのに髪がくるくるしやがって……パードレ?」


「! ギアッチョ……!」


二人と入れ替わるように入ってきた、イライラ中の弟ギアッチョ。


さすがに小学生の息子に対しては父親の威厳があるのか、父さんはすぐさまいつもの≪無表情≫へと戻った。


でも威厳って、そもそもあったっけ?


まあ、父さんの場合、泣いた後でも元から目が赤いし、バレはしないんだけど――





「ッメローネェェェエ! テメーはオレに何回叫ばせれば、気が済むんだァァア!」


「あ、ごめーん、マードレ! てへぺろ」



よし、盗聴はここまでかな。



オレも名前姉さんに髪梳かしてもらおっと!




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