『暗殺チームに入ったきっかけ』
※少々シリアス
連「えと、次のご質問は差し支えがなければ、ということになるんですが」
イ「……もしかして、≪きっかけ≫の話?」
連「はい。『暗殺チームに入ったきっかけはありますか?また、どういう過去がありますか?』」
イ「うーん、チームに入ったきっかけは特に覚えてない……というより上が決めたことだから、わかんねえんだけど」
連「そうなんですね(メモを取りながら)」
イ「……」
イ「まあ、この組織に入ろうと思ったきっかけは、ちゃんと覚えてるよ」
連「? それは……」
イ「オレにとって、ギャングになることが≪自立する術≫で、≪過去を振り切る術≫だったから」
連「過去を振り切る、術……?」
イ「うん。オレの母親が、いわゆる≪いい母親≫とは呼べない人でさ」
連「! はい」
イ「父親は最初っからいなくて、母親も毎回違う恋人と遊びに出かけて。母親がそいつらを家に連れ込むときは、いるって気付かれないように息殺してたし」
連「……」
イ「ま、食事代置いてってくれただけマシだったのかも」
イ「けど同時に、≪オレはこの人から金をもらわないと生きられないのか≫って悔しくもあった」
イ「そんな生活を10代後半まで続けて……ある日、母親が病気になって、あっという間に死んじまって」
イ「残ってた金も家も渡したのに、借金取りはまだ追いかけてきてさ。あいつらの目から逃れるのは――隠れるのは得意だったけど、≪このままじゃダメだよな≫ってふと思ったんだ」
イ「普通の会社に入っても鬱陶しい借金取りは追い払えない。というか入れる気もしなかった。だから、オレの住んでた地域でも力があったパッショーネの入団試験を受けた」
イ「スタンドが見えるようになって、合格して……いざ組織に入ってみたら、≪暗殺≫チーム行きなんて、とんでもない展開だったけどさ。やっとオレ自身の足で立てた気がしたんだよ」
連「イルーゾォさん……」
イ「ごめんな、名前。こんな話しちゃって」
連「(首を横に振り)いえ、話してくださってありがとうございました」
イ「……(じっと名前を見つめ)」
連「ど、どうしました?」
イ「オレ、さっき名前のこと≪お母さん像と重なる≫って言ったけど、なんでそんなこと言ったのか今わかった」
連「!」
イ「うん。(母親関係でいい思い出がないオレにとって、名前が理想のお母さんなんだ)」
連「えと、イルーゾォさん? お話の続きは、教えてくださらないんですか?(そわそわ)」
イ「……やっぱ秘密」
連「え!? そんな……っき、気になります!」
イ「(可愛い……)」
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