事情聴取はお早めに
※20000hit『S×Mロールプレイング』続編
※Mヒロイン
※裏
※コスプレ注意






ダンッ



「いい加減にしなさい! ≪やってない≫や、≪オレは無実だ≫の一点張りで……元は取れてるのよ?」


「だから〜。それはお姉さんたちの勘違いで、オレはなぁんにもヤってないんだってば!」



アジトの一室に響く、手のひらを机へ叩きつけた音。

対峙するのは飄々と笑う容疑者と、襟元を色っぽく肌蹴させた婦警。


なぜ名前がそのような格好をしているのか――時は約30分前に遡る。



「名前! 名前名前、ッ名前ー!」


「(十分聞こえてるんだけどな……)どうしたの?」


「むふふ、実はね……やっと届いたんだよ!」


「?」



突然、勢いよく開かれた部屋の扉。

その騒々しさに、仕事の資料を確認していた彼女が何事かと振り返れば、女と同じくここの主であるメローネが大きめのダンボール箱を手にほくそ笑んでいた。


不思議そうに首をかしげる名前。

可愛くてたまらない恋人の仕草に思わず熱が一箇所へ集まっていくのを自覚しながら、彼はそそくさとガムテープを剥がす。すると、中から現れたのは――



「じゃーん!」


「これ、は……」


「ハアハア、ハアッ……どうだい!? この強かでありながら清楚な≪ミニスカポリス≫! 名前がこれに包まれると思うと……ベリッシモ、イイ! 名前も興奮してきただろう!?」



スカートであることを疑うほど短い≪スカート≫。見せつけることを目的とするのか、谷間あたりまでボタンが施されていないブルーのシャツ。帽子に手錠。


想像すらしていなかった衣装に、少しばかり眉根を寄せた彼女は数秒の間を置いて、一人テンションが高い眼前の男をじっと見つめた。



「コスプレ……? 私、着たいなんて言ったっけ?」


「え。前に言ったじゃん。≪次の設定考えとくね≫って」



次の瞬間、全身から引いていく血の気。

≪設定≫。その単語から言わずもがな女の脳内で連想させられるプレイ。


一方愛しい恋人の顔色が悪いにも関わらず、爛々と翡翠を輝かせたメローネは徐々に迫ってくる。



「思い出したかい? じゃあすぐ着てくれるよね? ね?」


「い、今から? さすがに急すぎるよっ! 大体あの手のプレイには、心の準備が……!」


「はいはい、照れなくていいから早く着替えような。ほら〜、≪着替えようと心の中で思ったならッ! そのときすでに行動は終わってるんだ≫ってプロシュートおじいちゃんもよく言ってるし」



なんならオレがじっくり時間をかけて着せてあげるよ――何かを企んだ笑みと共にさわさわと揉まれる肩。

これに従えば、一体何をされるかわからない(言ってしまえば、今彼の手を回避しても後々捕まってしまうのだが)。頬をカッと紅潮させた名前は、己の上着に手をかけてもなお居座ろうとする男を慌てて部屋から追い出した。










で、リアリティーの追求を望んだメローネによって、婦警が殺人事件の容疑者を尋問するという設定が生まれ、現在に至るのである。


ほぼ強引にもたらされた状況にこぼれる文句。

とは言え、彼女は根がかなり真面目なため、しっかりと警察に対するイメージを膨らませ、彼の提案通り役割を忠実にこなしていく。



「無実を訴えることが悪いとは言ってないの。でも、それには相応の証拠を示してもらわないと」


「証拠ねえ。あったようななかったような……にしてもお姉さんの怒ってる顔すっげー可愛い。その制服も最高だし……ハアハア、オレお姉さんのこと好きになっちゃったみたい!」


「はあ。あのね……人のことナンパしてる場合? いつまでもここに居てもらうわけじゃないのよ?」



どこまで行っても余裕綽々を貫く男。女の桜色の唇から自ずと溢れるため息。

婦警という役に入っていることも関係するのか、恋人の薄ら笑いに自然と苛立ちが募った。



「(実際こういう容疑者がいたら、大変なんだろうな……警察って)」



室内の窓をぼんやりと見据える遠い目。そんな名前と時折組まれる艶っぽいストッキング越しの美脚を交互に観察しながら、メローネはおもむろに口を開く。


「ところでさあ」







「これ、オレに嵌めなくていいの?」


「!」



机の下から顔を出した彼の指先に引っかかるのは、先程まで腰元に携えていたはずの手錠。

うっかりしていた。


思わぬ失態。何より、変態と謳われるこの男の手に渡っていることが危険すぎるのだ。



「ちょっ……いつの間に! 返して! 返しなさい!」


「んふふふー、それはできないなあ」


「っ」



すかさず奪取を試みれば、メローネの反射神経の方が上ということもありひょいと仰け反られる。

続く攻防戦。ついに痺れを切らした彼女がカツカツと靴音を立てつつ机の横を通り、椅子に座るメローネの傍に立った瞬間。


「なんてったって」






「オレはこれから、この手錠を使ってお姉さんを縛るんだからね」


「あ……!?」



ドサリ

刹那、背中に走る衝撃。


気付かぬうちに瞑ってしまっていた瞳をやおら開くと、ほくそ笑む彼の端正な顔と無機質な天井が映った。

自分の置かれた状況を悟り、すぐさま身を捩る女。



「ちょ、っ……やだ! 何するの!」



プレイの詳細までは知らされていなかった名前が、頭上で己の両腕を束ね始める男をキッと睨みつける――が、その間にも手錠で身動きを封じられてしまう。



「はあ……ッすごく、ベリッシモ……イイ眺め」


「っ変態! ふざけるのも大概にして!」


「んふふ、そう言われてオレが≪はい、どうぞ≫なんて頷くと思う? お姉さん、シニョリーナにしては結構力ありそうだし、暴れないようにしなきゃ」



値踏みするように彼女の全身を舐め回す視線。メローネからそっと目をそらし、改めて逃亡を目論んだ途端、どこからか持ち出された黒い紐によって腹部とテーブルがあっという間に固定された。


絶体絶命という言葉もあながち間違いではない状況。だが、自分にはまだ足が残っている。

下唇を八重歯で静かに噛んだ女は、スカートで履いていることも厭わずに右足を振り上げ――



「ッ、ふざけるのも大概にしなさい……!」


「おっと」



空を切った美脚。同時にカタン、と音を立てて床に落ちるハイヒール。そして、恋人の攻撃をするりと避けた彼がそのもう片方を抜き取ったかと思えば、両足首をいとも簡単に抱えられてしまった。

布が重力に従って捲れ上がり露わになる太腿。当然ながら、狼狽と不信を宿した名前の双眸がギョッと見開かれる。



「!?」


「んん、ディ・モールトお行儀の悪い足だなあ」


「〜〜≪メローネ≫! ほ……本当にここでするの? 私、何も聞いてな――ひゃっ」


「どれどれ、お姉さんのパンティはどんな感じか……ン!?」



ついに、胸中を攻め立てる羞恥に耐えられなくなった彼女がおずおずと男の名前を口にした瞬間、強いられたのはいわゆる≪まんぐり返し≫と呼ばれる姿勢。


見る見るうちに朱に染まる絹のような頬。

一方わざとらしく声を出しつつ、ある一点を凝視していたメローネ。

自身の視界に毅然と佇む官能的な≪赤≫に、彼は憚ることなくにやりと口角を吊り上げた。



「ベネッ! 真っ赤なレースだなんて、わかってるじゃないか。今晩、ご予定でもあったのかい?」


「っ、それは貴方が……、……」


「んー?」



何かを訴えかけるかのような、女の潤んだ眼差しに素知らぬフリをする男。実は、名前の下着はこの恋人に管理されていると言っても過言ではない。

今やタンスにおける一番下の引き出しは、セクシーなランジェリーにほぼ占領されている。



「ま、相手のことはどうでもいいや。今日はお姉さんがクタクタになるまで、オレが犯してあげるんだから」



物騒な表現にひどく驚いたらしい。と――

ビリッ。ストッキングが裂ける妙に小気味のいい音と共に、曝け出される秘境。内腿をできる限り閉じ、即座に腰を引こうとしても、揺蕩う絶景はメローネにとって誘っているようにしか見えない。


ショーツ越しの陰裂をなぞられれば、甘い快感を熟知している女体はふるりと刺激に震えた。



「! や、ぁっ……はぁ、っは、ぁ……おねが、い……だめっ」


「それホント? 残念だけど、ダメとは思えないなあ……パンティが少し濡れてる。無理やり押し倒されて、さらにはストッキング破られて悦ぶなんて、もしかしてマゾなの?」



控えめな嬌声をこぼした彼女がぶんぶんと勢いよく頭を振るう。しかし、恥ずかしさゆえの嘘は、彼には通用しないのだ。

本人以上に女の性感帯を知り尽くしているから。



「ハア……イイね。ますます興奮してきた」


「っん、ぁ、っぁ……いや……っそこ、さわらな、でぇ!」


「ダーメ。我慢なんてしなくていいから、お姉さんのベリッシモ可愛い啼き声を聞かせてよ」


「ひぁっ、あん、ッ……っふ、ぅ……だめっ……ぁ、っぁああ!?」



恋人が乱れていく様を想い気分が高揚するのか、空気に交じる男の甘美なため息。

さらに、下着が剥ぎ取られた次の瞬間、左右へ拡げられる愛液に濡れた花弁。

そして膣口を襲った――ぬるりとした感触に名前は白い喉を晒した。


チュクチュクと部屋に響き始める水音。身体の奥深くまで開拓されていく感覚。必死に身を捩れども、快楽という名の責め苦は続く。



「はっ、はぁっ、はっ、んん……やぁ、っ……した、っぁ……かきまぜちゃ、っぁ、あん!」


「へえ……≪いや≫なのに蜜垂らしてるワケ? エロいなあ……」


「っひゃ……ん、ぁっ、ぁっ……やっ、ん……ぁっ、あ……!」



今までの性交が蘇るのだろう。自然と充血した粘膜を舌が荒らす状況はまさに蹂躙。

再び首が小さく振られるのに対し、彼女の肉襞はヒクヒクと愉悦を叫んでいた。


そうした最中、内腿の最奥に埋めていた顔をふと上げたメローネは、口の周りをテラテラと光らせたまま飄々と音を紡ぐ。



「にしても、仕事か何かで忙しかったの? ずいぶんご無沙汰みたいだね。お姉さんのココ、ディ・モールト狭い……オレの入るかな」


「ぁっ、貴方には……ふ、っぅ、関係な……んっ」


「ふーん。まあいいや。……クリトリスも皮から顔出しちゃって」


「んん! ぁっ、ぁああ!?」



翡翠の瞳が捉えたのは、赤くぽってりと腫れていた陰核。

神経が集まるそれを執拗に舌先で弄べば、彼の動きに合わせて甘やかな喘ぎ声が断続的に室内を劈いた。



「ひぅっ、ん、ンっ……はぁ、はぁっ、やら……ぁっ、ぁっ……やらっ」


「あは。拒絶してる割にはナカ、すごくビクビクしてるぜ。そろそろ、かな?」



凛々しさから一変、想像がつかないほど艶やかさを帯び始めた眼。


自由の利かない腕をただただ動かし、快感ゆえの涙を静かに流す女は今、確実に絶頂へと上り詰めている。

にんまりと三日月を描いた唇。


一纏めにした足首を片手でさらに持ち上げつつ、名前の興奮をさらに高めさせようと人差し指と中指をおもむろに膣へ挿入する男。



「あ、っ……!? っは、っはぁ、っ……ぁっぁっ、らめ、ぇ……イっちゃ、っぁ、や……あん……っ」


「イきたい? もしなら、お姉さんが≪イかせて≫って言えたら、そうシてあげるよ」


「! ぁっ、ふ……そん、っな……っぁ、ん、っぁあ!」



指の腹が掠めそうで、もたらされない恥骨側にある弱点への刺激。焦らされ、ジクジクとオーガズムを求める躯体。

ならば自分で――無意識のうちに腰を小刻みに揺蕩わせてみるが、メローネは上手く避け彼女が達することを許してはくれない。


心を支配していくジレンマ。満たされたいという欲求に女が躊躇いを浮かべる中で、彼は急かすように言葉を発した。



「ほら、いいの? 舌止めちゃうよ?」


「っ」



垣間見えた≪限界≫。

まるでそれを見越したかのごとく、ほくそ笑んだ男が肉芽を強く吸い上げる。



「どうする? ハアハア、躊躇する必要はないんだぜ。言ってごらん」


「ひぁ、っぁ、っあ……ん……ふ、ぅっ……、〜〜おねが、っ……あん、ぁっ……もう、イかせて、っぇ!」


「――ベネ。ふふ、もっと掻き混ぜられたいんだろう?」


「ッはぁ、んん……ぁっ、そこ……はぁっ、ぁ……も、と……っくちゅ、くちゅされた、いの……ぁっぁっ、ぁ、っやぁあああ!」



刹那、途方もない痺れが骨盤へ焚き付けられる同時に、机上でビクリビクリと跳ね上がる細い腰。

一際甲高い啼き声を漏らしながら、襲い来る快楽の波を甘受し続ける名前。

疲労感で自ずと浸ろうとした微睡み。


ところが、視界の端に映り込んだ光景に眠気は一瞬にして吹き飛び、彼女は瞠目するしかなかった。



「ハッ……、く」


「!? はぁっ、ん……なに、して……っ」



なんの前触れもなく、メローネがズボンから取り出した自身を右手で慰め始めたのだ。

上下に動く手のひらの中で一層熱を持つ陰茎。目撃して快適とは決して言えない、生々しい状況。


女の自分以上に漂う色気に対し、ただただ唾をのんでいると、少なからず眉をひそめた恋人が吐息をこぼしつつこちらをじっと見つめてくる。



「いやあ。仕事中に、しかも仕事場で恥ずかしげもなくアンアン言ってる淫乱なお姉さんにそそられて、思わず……ね」


「っ……/////」


「ッむふふ、ベリッシモイイ顔。そうだなあ、せっかくだし今から胎内にオレの子種注いで」



重力に沿って垂れた左右非対称のハニーブロンド。途切れた滑らかな声。すると、相変わらず捕まっていた名前の足が不意に解放され、



「膣から出てこないようにそのままぐっちゃぐちゃに掻き回して、お姉さんのこと孕ませたげるよ」


「!? え、っぁ、何言って……ひっ、ぁあああん!?」



ガタイのいい肩へ膝裏を乗せる形となり、二人の身体が密着した次の瞬間、ズチュリという音と共に潤った恥丘へ男根が食い込んでいった。


圧迫される膣肉。その深さに弓なりになった彼女のしなやかな背中。

だが、女はもはやそれどころではない。なぜなら――



「やっ、ぁっぁっ、まって……っめろ、ね……んっ……らめ、っ……きょう、あぶな、っ……ん、っひぁ!」


「なんだって……? ディ・モールトベネ! まさかお姉さんが≪危険日≫とはねえ……オレってばナイスタイミング」


「っあん! やら……んっ、ぁ……お、きくなっ、ちゃ……ふ、っぅ……っぁ、っぁ……やああ……!」


「ッ……う」



ひょうきんな声を上げたかと思えば、額に汗を滲ませた彼が静かに笑みを深める。

よくよく考えるとわかるが、現在こうして腰をしっかりと掴んでいる男は愛しい名前の身体のサイクルをすべて把握しているはずだ。


しかし、それ以上思案を巡らせないと言うかのように注がれた焦熱に、彼女は先程果てたにも関わらず二度目の絶頂を受け入れてしまっていた。

一方、全身を伝っていく強烈すぎる快感にゆるゆると腰を前後させながら、メローネは脈がうっすらと浮かぶ首筋にヘビのように長い舌先を這わせる。



「は、っぁ……はぁっ、はっ……ぁ」


「甘い香りと汗が交じり合って……んん、ベネ」


「っん!」



ひたすら息を乱し、擽ったさゆえに抵抗を示すための力すら入れることができない女。

そんな、されるがままになっていた名前はふと、自分の膣内で硬さを取り戻した肉棒に気付きヒュッと喉を鳴らした。



「!」



慌てて交わらせた視線。もちろん、それを自覚している彼は≪てへぺろ≫と状況に似合わず茶目っ気を醸し出してみせる。


「お姉さんがもうパンパンになっちゃったよ」


「やっ……も、だめ……っぁ、っぁ……だめなの、っ……ぁっ、ぁ、きゃあんっ!」



刹那、再開された律動。

熟れた肉襞を容赦なく抉る、張り詰めた熱。

ぽろぽろと目尻から零れ落ちていく生理的な涙。



「ぁっぁっ、あっ、ふ……ッ、ん、ひぁ……やら、はぁっ……はぁ……おく、っやらぁ」


「くッ…………あ、イケね。カメラのこと忘れてたよ」


「へ……?」



きょとん。わけがわからないのか、淫靡に歪む顔。

彼女のその悩ましげな面持ちに舌なめずりを見せつつ、男は自分にとっては≪当たり前のこと≫を平然と打ち明けた。



「そうそう部屋につけてるカメラ。この位置からだと、ちょうどオレのモノを美味しそうにチュパチュパしてる、お姉さんの下のお口が撮れてるかな……ハアハア、あとで確かめないと」


「なっ」



衝撃と絶望。

丸くなった女の目に浮かぶ二つの感情。

日常会話のように告げられた言葉は真実か、それとも演技のうちか――そのとき、改めて子宮口に向かって捩じ込まれる膨らんだ陰茎。


静寂が広がろうとしていた部屋に、もう一度悲鳴に近い嬌声が響き渡る。



「――ひゃああっ!?」


「あ、きゅうって締まった。……おっかしいなあ。犯されて、悦んでんの?」


「んっ、ふ、ぅ……っぁ、っあ……はぁ、はっ……ひぅ!」


「ッ……最高に、イイよ」



ジュプジュプと互いの体液が入り交じる結合部。


小さく息を吐いたメローネは、名前の性感帯へ焦熱を的確に宛てがいながら囁きかけた。

細められた双眸に宿る加虐。



「ほら、こんなに咥え込んで……オレのペニス受け入れてる」


「っぁあ、んぅ、っぁ……言わな、っでぇ」


「ふふふ、素直になりなって。セックスっていうのは、二人で楽しまなくちゃあ意味ないだろ? どう? 精液まみれの膣、奥までズブズブとオレに侵食されて気持ちい?」



彼はあえて自分の唇から紡がせようとしている。

視線を外すことを試みても、どこまでも追いかけてくる眼差し。


「名前」――と優しく呼ぶ、こうしたプレイを楽しむときは絶対に口遊まないはずの≪名前≫。

ついに、男にすべてを囚われた彼女は自ら見上げた。



「ぁっ……ぅ、んっ……はぁ、っはぁ……っぁっぁ、きもち、ぃ……の、っぉ!」



いい子だね。

案外、メローネは子育てが上手かもしれない。


呟かれた一言にそんなことを考えていると、こちらに集中させるかのごとく、今まで一切手を付けてなかった乳房を彼が突然揉みしだき始める。



「! やっ……もんじゃ、っぁ……ひぁっ、ぁ、っあん!」


「はッ、ちょっとちょっと〜。≪揉んでくれッ!≫と言いたげに、揉まないワケないでしょ」



たゆんと男の大きな手のひらに翻弄される、青いシャツから溢れ出さんばかりの谷間。

より激しさを増す振動。


何度も性器がぶつかり合う中、互いの脳内に姿を表す一種の終末感。

気付かぬうちに、女は襞をヒクリと絡みつかせた。



「ホント可愛いなあ。嫌がったフリしちゃって」


「っん、ふ、っぅ……めろ、ね……っぁっぁ、っあ……らめ……、んっ……わた、し……っ」


「大丈夫、わかってるよ。またお姉さんのナカに出すからね……?」


「ぁっぁっ、ぁっ、あんっ! や、っぁ……ン……ひっ、ぁっ、ぁあああ!」



共有する二人の熱。胸に押し寄せた幸福感。終わり、だと信じる心。

しかし少し時間を置いたかと思えば、なぜか瞳を爛々と輝かせるメローネ。



「さ、もう一発。子宮、タプタプにしちゃうから」


「ひ……っ! はぁ、はっ、ん……うそ、待――っぁ、やあん!」


「……ッベネ」



もうしばらくコスプレはいい――破り捨てるという選択肢すら、名前の頭の中には浮かぶのだった。









事情聴取はお早めに
そうしなければ、足元を掬われる。




〜おまけ〜



「(はああ。また私、あんな恥ずかしいことをやったり言ったりして……!)」


息をゆっくりと整えた名前の胸に押し寄せる羞恥と自己嫌悪。

だが、変態と誰もが頷くこの恋人にいやらしく触れられるたび、チームに入った頃はそれなりにウブだったはずの身体の芯が疼いてしまうのは確かで――



「――あ! メローネ!」


「ん? もしかしてまだ足りない? んもーッ、名前ったら……い・ん・ら・ん!(ハート)」


「なっ、そうじゃなくて……その……途中でカメラがどうって言ってたけど、あれも演技のうちだよ……ね?」



不意に思い出したメローネの発言に、おずおずと紡ぐ言葉。

≪演技≫。机に寝そべったまま、懇願を秘めた瞳で彼を見据える彼女はそう信じていた。



しかし。



「え、何言ってるのさ。名前とこの部屋で過ごし始めたときから、ずっと付けてるけど」


「……え?」



ヒクリ、と勝手に引きつる頬の筋肉。

それにしても、危ない日なのに今慌ててないってことは、名前はもうオレのお嫁さんになる準備ができてるってことだよね!? ね!?――という男の声は残念ながら届くことはなく、女の脳内を衝撃が埋め尽くしていく。


まったく気付かなかった自分も自分だが、これではプライベートもクソもない。

上体を起こしてから形のいい眉をおもむろにひそめた刹那、ハッとある嫌な予感が名前の心を掠めた。



「(つまり、今までしてきたプレイも全部撮られてるんじゃ……)」


「Va bene(もちろん)! 恥ずかしそうに「メローネのモノにして、ほしいな」って言ってヴァージンをくれたときも、調教が功を奏して自分から腰を振るようになったときも、ご想像通りぜーんぶ残してあるよ? 名前と会えないときなんかは、いつもオカズに使ってるし。あっあっ、本音を言えばできるだけ名前のナカにぶちまけたいんだぜ? なんてったって、愛してるからね!」


「! 〜〜っ信じられない! メローネ貴方、その言葉で私が許すと思ってるでしょ! もう別れる……!」


「あは、突然何を言い出すかと思ったら……ま、オレがあんたに伝えてることはぜーんぶ正真正銘のモノだし、≪別れる≫宣言が冗談だって理解してるから安心してよ。それに名前だって愛しい、≪ディ・モールト愛しいオレ≫に欲情されて実は満更じゃあないんでしょ?」



その自信、どこから――たった一言、されど一言の疑問を尋ねてみたくてたまらないが、おそらくこの男は調子のいいことばかりを意気揚々と吐き出すに違いない。

当然彼女もメローネを嫌悪しているわけではないのだ。そうでなければ、ここまで二人が恋人関係を続けることは不可能だっただろう。


精神を捕らえ決して離すことのない≪ジレンマ≫。女の中にあるそれを把握しているからこそ、笑みを深めた彼は眼前から去ろうとした恋人をすかさず抱きしめ、ぎゅうっと腕の力を強める。そして、見る見るうちに赤らんでいった白い肌を見て、にやり。



「ハアハアッ、ハアハア、こーんなにほっぺた上気させて……オレの恋人はホント可愛いなあ。……そうだ、今から≪鑑賞会≫しようぜ」


「っ……か、鑑賞会ってなんの――ひゃう! ぁ、っん……はぁ、っは、ぁ……まさか」


「そ。名前との初夜からアブノーマルなセックスまで、内容はかなり多種多様だしディ・モールトいい案だと思わない? って言っても、お互い興奮して≪観る≫だけじゃあ終わらないだろうけどね」



男の吐息に小さく震える華奢な肩。柔らかな髪の隙間から覗く耳の後ろをねっとりと舐めたメローネは、狼狽する名前を問答無用で横抱きしつつ、全記録から素早く厳選するために脳をフル稼働させ始めるのだった。

その後、ホルマジオから「ったく、しょーがねェな〜〜。おーいお前ら、そろそろ夕飯だってよ」という声がかかるまで、二人が出てくることはなかったらしい。












すみません、大変長らくお待たせいたしました!
メローネで『S×Mロールプレイング』の続編裏でした。
リクエストありがとうございました!
今回はコスプレも交えさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。


感想&手直しのご希望がございましたら、ぜひお願いいたします^^
Grazie mille!!
polka



prev next

50/52

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -