おゆうぎは終わらない
※一般人ヒロイン
※微裏ギャグ
※二人がアレッシー化したようです





「まったく……連絡がつかないと思えば、こういうことか」


ターゲットが二人以上ということで、別行動を取っていたリゾットの呆れを滲ませたため息が、路地の隅にこぼれ落ちる。

かなり下げなければならない視線。


そこには、ずいぶん大きな服に包まれた子供が二人。



「……」


「あ、りーだー!」


「……困ったことになった」



のんびりと手を振る幼いメローネ。赤いメガネが首元までずれ落ち、ふてくされた顔の幼いギアッチョ。

推定4歳。特徴的な髪型や服装がなければ、彼らに気付かず通り過ぎるところだったほどである。

前例のない事態がさすがに堪えるのか、男も大きな手のひらで己の目元を覆ってしまう。


しかし、そこはやはり暗殺チームを率いるリーダー。しばらく逡巡してから、彼はおもむろに口を開いた。



「とりあえず任務完了が先決だ。ターゲットを仕留めてくる。オレが戻ってくるまでここを一歩も動くな……わかったか」


「うんわかった! ばいばい、≪おじちゃん≫!」


「(コクリ)」


「……」



大丈夫だろうか――二者二様の反応に言い知れぬ憂慮がリゾットの胸を埋め尽くす。このとき彼は、メローネが普段から自分のことを≪おじさん≫と揶揄するので、今もただふざけているのだと考えていた。

ところが、彼らは本当に、眼前にいる大男が≪誰か≫わからなくなっていたのである。











「あら……?」


「! ちゃお、べっら!」



数分後、買い物袋を抱えた若い女性こと名前は、道の隅っこでうずくまる幼子たちに首をかしげた。

刹那、心配そうな眼差しで自分たちを見つめるシニョリーナに気が付いたのか、挨拶を紡ぎふにゃあと笑うメローネ。幼児と言えどもイタリア男、ベッラという褒め言葉がすでに身に付いているらしい。


イタリアに渡って以来、よく耳にする決まり文句に彼女は穏やかな微笑をこぼす。



「ふふ、チャオ。貴方たち……」


「おれ! ≪めろーね≫っていいまっす! えーっと、こっちは……、あれ?」


「(こいつ、めろーねっつーのか。)……≪ぎあっちょ≫」



そうそう、ぎあっちょだよ――と他人事のように紹介するところから考察して、二人は血縁関係でもないらしい。(そもそも外見において類似点がまったくと言っていいほどないのだが)。

だが、どうも彼らの風貌には親しみがあった。



「(名前も一緒……こんなことってあるのかなあ)」



名前がアルバイトとして働かせてもらっているバー。眼前の幼児にそっくりの二人はそこの常連客なのだ。

なぜ≪仲良し≫と呼ぶには、疑問ばかりが残る男たちが足繁く通っているのかというと――同じ≪目当て≫があるからこそ互いを牽制するために来ているのだが、当の本人は≪面白くて素敵な人たち≫と向けられている好意にまったく以て気付かないのである。


とまあ、そんな事情はさておき、クエスチョンマークを頭上に宿しながら彼女はきょろきょろと周りへ視線を移すものの、親らしき人は一切見当たらない。

やはり≪迷子≫だろうか。確信に近い推測を胸に、にこりと口元を緩めた女がしゃがみ込む。



「メローネくん、ギアッチョくん。貴方たちのお父さんとお母さんもきっと探してるから……おまわりさんのところに行きましょうか」


「えーっ、やだ! おじさんよりおねえさんのおうち! おうち〜!」


「わ、私の家……?」


「おいめろーね! ここをうごくなって、あいつにいわれただろうが!」



次の瞬間、今まで滅多に口を動かさなかったギアッチョが、眉を吊り上げると同時に叫んだ。

思いのほか声量のある言葉に名前が目を丸くしていると、不意に捉えた何かが抱きついてくる感触。


そして、ぎゅうぎゅうとストッキング越しの足に小さな身体を押し付けたまま、メローネがだだを捏ね始めた。



「ええ〜!? おねえさんのおうちいーきーたーいー! というかさー、ぎあっちょのいう≪あいつ≫ってさっきのおじさん? ぎあっちょのしりあい?」


「はあ!? んなもん、り……り……、り?」


言おうとした名前が脳内に浮かばず、グッと詰まる少年。

自分にとって先程の男は見覚えがあるはずなのに、初対面のような気もする。



「……おれもしらねえ」



結局、おぼろげな記憶を頼ることはやめたらしい。

うんうんと悩む姿は可愛らしい。しかしどこか溢れる違和感。服の問題もある。もしかしたら家に帰りたくないのかもしれない――心打たれた彼女は何の気なしに≪お父さん、お母さん≫と宣ってしまった自分を叱咤しつつ、カーリーヘアの頭をそっと撫でた。


そして放つ了承の一言。



「うん、わかった。今日だけはお姉さんのお家においで」


「なっ!」


「いいの!?」



正反対と言っていいほど両極端な反応。

それを再び微笑ましく思った女は、野菜などを購入した袋を肩に下げてから「なんでそんな≪ちょうし≫いいんだ、てめーは!」、「いたっ! うわーん、ぎあっちょがなぐったー」となんだかんだ言って仲の良い(?)二人に向かって手を差し出す。



「じゃあ……今度は迷子にならないように、手、つなごっか」



左右で握った柔らかく小さな手。こうして傍から見れば親子に間違えられなくもない三人は、わいわいと騒ぎながら歩き始めた。










「はい、できた! 二人とも、ちゃんとふーふーして食べるんだよ?」



それからというもの、一人暮らしが続いていることもあり自宅に着いた途端、名前がてきぱきと準備するのは夕食のカレーライス。

食べてくれる人がいる――その有り難みを認識しつつ、彼女は丸テーブルに白いプレートを三つ置いた。


すると、スプーンを持ったまま翡翠の眼をキラキラと輝かせるメローネ。



「うわあ! うまそ〜! いっただっきまーす!」


「…………いただきます」



一方、いまだに空腹より緊張が優先するのだろうか。

俯き気味のギアッチョがぽつりと呟く。



「ふふ……召し上がれ。おかわりはたくさんあるからね」



と促したのはいいものの、≪火傷をしないか≫や≪二人の口に合うか≫と妙に慌ただしい心。


とは言え、それは女の杞憂だったようで。


眼前に咲く彼らの笑顔。

パクパクと食べ進める様子に、安堵した名前は自分が食べることも忘れて顔を綻ばせていた。



「〜〜ぼーの! ぼーの! 名前さん≪てんさい≫!」


「ん……うめぇ」


「ほんと? 二人が喜んでくれてお姉さん嬉しいなあ……ギアッチョくん、おかわりいる?」


「……いる」



少しだけ縦に動いた頭。受け取ったカレーを黙々と食べるギアッチョは、先程声を張り上げた少年と同一人物とは思えないほどずいぶん大人しい。人見知りなのかもしれない。

一方、メローネは可愛らしい外見に反してかなりやんちゃだ。たとえば――






楽しい食事を終え、食器を洗っていると突然下肢に感じた風。


「きゃっ!?」


「ぴんく! 名前さんのぱんつ、ぴんくだ〜!」


「……もう」



自ずとこぼれる苦笑。スカートを捲られ、羞恥はあるが怒りは当然ない。

そう。まさか二人が自分と年齢の近い≪男性≫とは思いもしない名前は、完全に心を許していた。



「メローネくん、ギアッチョくん」








「二人とも、お姉さんと一緒にお風呂入ろっか」









彼女の家の浴室は珍しく日本式。子供たちだけで入るには危ないだろうと判断した上での発言。

その後、なぜか必死に抵抗するギアッチョを二人で引きずり、ようやく辿り着いた洗面所。


まずはこれまた異様にうきうきしているメローネだ。女の繊細な手つきで元々緩かった服を脱がしていく。



「やっほーい! 名前さんとおっふろー!」


「あ、メローネくん! 足を滑らせないように気をつけてね……!」



さて、残るはもう一人。小躍りしながら風呂場へ入る幼い背中を見送った名前が、やおら後ろを振り返った。



「さて……次はギアッチョくんだけど」


「おい名前! それいじょう……ち、ちかづいたら……かみつくからな!?」


「うーん。どうしてもダメ?」



懇願に似た言葉と共にこてんとかしげられる小首。

そして眉尻を下げた彼女に罪悪感を抱きつつも、拒否を示す表情。


困った――嫌がる理由も聞けず迷いあぐねていた刹那、ふとある≪技≫を思いつく。

それは、



「よし。言うことを聞かない子は……こうだ!」


「わ、ちょ!? やめ……ぎゃはははッ、くすぐ、てー!」


「こちょこちょこちょこちょっ(今のうちに……!)」


「うわ……!?」



つるん。

あ、と擽りから我に返ったが最後。ギアッチョは細腕に抱え上げられ、風呂場に送り込まれてしまった。







数十秒して、名前がバスタオルすら巻かずに扉を開くと、メローネがバシャバシャと浴槽で泳いでいる。それを見とめた彼女は、眼前で硬直している男の子のカーリーヘアを先に洗うことにしたらしい。



「かゆいところない……?」


「〜〜ッ」



ところが、いつまで待っても少年から反応が返ってこない。

それもそのはず。


ギアッチョは今、逃げないよう膝の上に乗せられているのだ。

捕らえられた身体。泡だらけになった頭を柔らかく包むのは、予想以上にふくよかな乳房



「ギアッチョくん? もしかして眠たくなっちゃ――」


「ない! かゆいとこなんか、ぜんぜんねえから、はやくしろ!(な、な、なんかあたまにやわらけーもんが……!)」


「ふふ、はいはい」



言葉の端に垣間見える照れ臭さ。それを理解し始めた女はにこにこと笑っていた。

しばらくして、髪がさっぱりとした途端、そそくさと湯船に浸かったギアッチョと交代するかのように上がってきたメローネ。



「ギアッチョくんの髪もふわふわしてて可愛いけど、メローネくんの髪はすごくさらさらだねー」


「ぐらっつぇ! うへへー、じまんの≪かみ≫なんだぜ!」



美しいブロンドに付いた泡をお湯で流しながら、のほほんと会話を続ける二人。


すると、少年が不意にボディーソープを指し示す。

視線をそこから元に戻すと、自分を貫く期待に煌めいた双眸。



「おれも名前さんの≪せなか≫とかあらったげるー! ね、いいでしょ!?」


「いいの?」


「もちろん! おれにまかせてよ!」



なら任せちゃおっかな――油断という二文字すら浮上せぬまま下された決定。だが、それこそが≪始まり≫だった。

ゴシゴシと背中を洗っていたスポンジが離れた次の瞬間、細い指先が尾骨の名残をなぞるようにうなじへ滑らされたのである。



「ひぁ……!?」



驚愕と快感がそれぞれ半分を占める甲高い嬌声。

浴室によく反響したその悲鳴に、メローネだけでなくギアッチョでさえも名前を見つめてきた。


不思議そうな二人の眼差し。



「どしたの?」


「んっ、ぁ……ううん、なんでもないの」



危ない。背後から覗き込んでくるこの子に悪気はないのだ。


≪気にしないで≫、と女は慌てて首を横に振るが、手伝いという名の愛撫はどんどんエスカレートしていく。

止めてもらえる気配は一切ない。


そしてついに、膝上によじ登ってきた幼子。胸の膨らみにぎゅむと顔を埋めたかと思えば、ペロペロペロと赤く腫れた果実を舐め始めてしまった。



「(べね……なんだか! いけないことのようなきがするけど、すっごくいいかんじ!)」


ピクリ、と時折跳ねる肢体。

感じてはいけないのに――そう自身を戒めれば戒めるほど、微かな喘ぎ声が嫌でも漏れる。



「ぁっ、あっ……ふ、っぅ……めろ、ねくん……はぁっ、だめ、ぇ……ン!」


「ん……んっ、ん」



気付くと擦り合わされている内腿。

快楽に身を委ねたくない。しかし洗おうとしてくれたメローネの好意をないがしろにもできない。


そうした二極の感情がせめぎ合う中、ふと「ぎあっちょもどう?」という声が遠くで聞こえた瞬間――



「……ん」


「!? ぎあ、ちょくっ……なん、っで……ぁっ、ひぁ、ッぁあ」


「(なんでだ? わるいことのはずなのに、やめらんねえ……)」



神経を麻痺させる電流。一見、自分が子ども二人に乳頭を吸わせていると勘違いされてもおかしくない光景に、恥ずかしさと罪悪感ばかりが募る。



「ひ、っん……はぁ、っはぁ、っぁ……ふたりとも、ぁっ、あん……も、そろそろ……!」



刹那、片方から消えた口腔特有の感触。

おそらく飽きてしまったのか、離れていくギアッチョ。


≪助かった≫。少なからず安堵した名前は久しぶりに性感ゆえ以外の嘆息を吐く、が。


前触れもなく鼓膜を突き抜けたシャワーの音。それに言い知れぬ予感が彼女を襲い、ハッと目を見開いた。



「おいめろーね。これ、ためしてみよーぜ」


「いいね! たのしそう!」


「ぇ、っ……あ、あのっ……はぁ、はぁ……ふたりとも、待って? お姉さん、それは――きゃうっ!」



風呂椅子に座っていたことが運の尽きだったようだ。

噴出口から注いだ湯が無遠慮に犯す、曝け出された秘部。



「あれー? 名前さんのここ、ぬるぬるしてるー」


「せっけんがのこってたんだろ」



少年二人にとっては、目の前でヒクヒクと動く薄紅色の花弁が不可解でたまらない。

まるで研究を重ねるように、外陰唇へシャワーがぐりぐりと押し付けられる。


もはや、喉を反らしつつ喘ぐ女の矜持は掻き消されていた。



「っひ、ぁ、っぁっぁ……っあん、ふ……やら……っん、ぁああッ」



夕暮れ時の浴室。

そこで淫らな行為に耽る、三つの影。


興味で輝く子どもの瞳と荒く乱れた呼吸。

ゾクゾクと強烈な刺激が胎内から背筋を駆け巡る。




「だめっ、はぁ……だめなの……んん!」


激しくなっていく動悸。

ただただ酸素を欲する色めいた唇。

水圧の強まった湯水が勃起した陰核を震わせた瞬間、名前の中で途方もない快感が波のように押し寄せた。



「やっ、ん……らめ……わたし、っおとこの、こ……ふた、りにっ……イかされちゃ……っぁっぁ、ひ……や、っぁあああん!」



甘やかな嬌声が、水滴に滲む。

白い光が弾けた景色をぼんやりと眺め、ただただ溢れ出る吐息。



「はぁ……はっ、はぁっ……ん、ぁ……」


そのとき、朦朧とした意識下で唐突に狭く感じた風呂場。だが彼女には、視線を彷徨わせる余裕も残されていないのだった。










おゆうぎは終わらない
まだまだこれから、と二つの声がすぐ近くで聞こえたような気がした。




〜おまけ〜



絶頂の余韻が治まり、ようやく呼吸が整い始めた頃。

不意に名前が目線を上げれば――青年二人が自分を見下ろしている。


しかも素っ裸で。



「え!? メローネさんにギアッチョさん!?」



その正体は彼女のよく知る人物たちだった。

≪どうして≫。≪あの子たちは?≫。


背徳を帯びた快感を享受したまま、露わになっていた身体を慌ててタオルで隠しながら、湧き上がり続ける疑問にひどく狼狽える女。


すると、その絶景を逃さぬよう瞬きすらせずに、薄い笑みを浮かべたメローネがペラペラと喋り始める。



「んー、まあいろいろあってね。ディ・モールトややこしいし、面倒くさいから説明は割愛するけど。……それにしても、シャワーを股に宛てがいながらガキに乳首しゃぶられてイくなんて……名前がこんなにいやらしい子だとは思わなかったよ」


「/////あれは……その……。〜〜わ、私もう出ますからっ」


「ケッ! さっきまでヒンヒン啼いてたクセに今更逃げるつもりかァアアア? ≪名前姉さん≫よォ――ッ!」



刹那、背後から届いた怒声と共に落ちたスポーツタオル。名前が洗面所につながる扉を目指そうとしたそのときにはもう、ギアッチョに両手首を拘束され、否応なく彼らに乳房や恥部を晒す結果となってしまった。


あっという間に高まる動揺と羞恥。彼女は助けを乞うように潤んだ瞳でハニーブロンドの彼を見つめるが、眼前の男はまるで捕食する寸前のヘビのように艶めいた舌なめずりを見せるばかり。

――以前からこの子を自分のモノにしようと互いに張り合っていた。こうした形で交わることになるとは思いもしなかったが、いい機会だ。



「わかってると思うけど、あんたがエロすぎてオレたちも限界なんだ。ちゃあんと≪責任≫取ってもらわないと。ねえ? ギアッチョ」


「チッ……メローネ、テメーと同じ考えなのが気に食わねえが、コイツの言う通りだ。名前、オメーにゃしばらく付き合ってもらうぜ?」



硬く膨張した熱が柔らかな臀部を、吐息が紅潮した耳を突き刺す。わかりきった事実――≪逃げ場はない≫。

静かに歩み寄ってくるメローネと無防備な首筋へ歯を立てるギアッチョに、名前は自身が青ざめていくのをひしひしと感じていた。













すみません。長らくお待たせいたしました!
アレッシー化したメローネとギアッチョで、微裏ギャグでした。
リクエスト、ありがとうございました!
ギャグ要素が少なくなってしまい申し訳ございません……。
そして、この心優しいお姉さんがどのようにして二人に食べられてしまったのかどうかは、皆様のご想像にお任せ致します。


感想&手直しのご希望がございましたらぜひ!
Grazie mille!!
polka



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