Revenge Embrace
※ヒロインは、メローネに仕返しをしたいようです
※ギャグ裏
※目隠し・拘束など注意





メローネの部屋。

彼のテリトリーは、≪何が起こるかわからないので入るべからず≫と仲間内で言われるほど危険な場所である。


だが今日は、なぜか椅子に拘束された部屋主がそこにいた。



「え、ちょ……ハアハア、名前?」


「……」



目元を覆う布。

後ろ手に縛られた両手。

そんな状況にも関わらず、男が興奮ゆえに息を荒げている理由。


それは――



「ハア、ッまさか名前にこーんな性癖があったなんて……ディ・モールト、ベネ! でも……ハアハアハア、オレたちせっかくの初セックスなんだから、オレも名前の目を見てシたいんだけど……!」


「…………」


「……んんー? どうしちゃったのさ、名前!」



突然、己の部屋を訪れた同僚に、≪ついにこの日が来た≫と喜んでいたメローネ。

さらに、無言の彼女が自分を椅子へ縛り上げたことに対して、興奮はこれでもかと言うほど高まっている。


そう。この状態は好意によるものだと、彼は信じているのだ。



「……(メローネって、なんでこんなにプラス思考なんだろ)」


しかし残念、腕を組みながら男の前で仁王立ちする名前はそういった感情で動いたわけではない。


身体の自由を奪った手錠に、視界を遮った布切れ。

室内に漂う独特の雰囲気。

彼女がある種の危険を顧みずこの計画を実行したのには、ある一つの理由があった。









「ひゃあ!?」


服越しの乳房を包む、手のひらの感触。

犯人は一人しかいない。


ゾワリとする感覚に瞠目した名前は、後ろを振り返りながら今も離れようとしない男を睨みつける。



「っ、メローネ!」


「んー?」


「≪んー?≫じゃない! セクハラはやめてって言ってるのに……!」



隙を見せた途端、いつもこうだ。

いくらアジトに女が私しかいないからって――彼女は悔しさを表情に入り交じらせたまま、声を張り上げた。


一方、ターゲットの明らかな拒絶にメローネがへこたれるはずもなく。

相変わらず手をわきわきと動かしつつ、彼は飄々と口を動かす。



「あはは、ごめんごめん! 名前を見ると、触れたくなっちゃうんだよ」



見ると触れたくなるって、どんな言い訳だ――眉をひそめ、内心で悪態をつく名前。


まるで挨拶のように行われるセクハラや盗難。

もはや、下着が盗まれることは日常茶飯事だった。



「(信じられない! いつもいつもセクハラしてきて……っ)」


なんとか男を追い払った彼女は怒り心頭なのか、唇を尖らせている。


心を支配する想いは一つ。

≪どうにかして、あの変態に一矢報いたい≫。


何か策はないか――と何度目かの案を練り始めた次の瞬間、蔓延っていたはずの靄が晴れた。


「(……そうだ)」



脳内に浮かんだ名案。それを成功させるには≪用意すべきもの≫がいくつかあるが、メローネの部屋を探せばあるはずだ。


今までの策として殴っても無視をしても、正直彼を喜ばせるだけだった。


「よし! セクハラなんてしたこと、後悔させたげるんだから……!」





こうして、仕返しは決行されたのである。

一方、名前の心中を一切知る由もない男は、溢れ出る期待を胸に言葉を連ね続けた。



「ッハアハア、無視なんてひどいなあ……でもベネ! でもこうして緊縛プレイを始めたってことは、オレに何かする気なんだよね? ナニ? 今からナニをしてくれるんだい!?」


「はあ……間違っても、あんたの考えてるようなことじゃないから」


どこまでも前向きに考え、椅子をガタガタと揺らして嬉々とするメローネに、思わずこぼれるため息。


そんな哀れな同僚を目にして、いい眺めだ――とまではさすがに思わないが、悪くないとも思う。

とは言え、彼女は決してサディストなわけではない。



「……」



さっさと終わらせよう。彼の声をBGMにしばらく逡巡していた名前は、ふとポケットからあるモノを取り出した。


「これ」


右手に握るのは、絵画や習字で使う筆。

もうおわかりいただけただろうか。彼女はふさふさなそれを男の耳元へ近付け――



「いや、これって言われてもさ……見えないからわからな――ッちょ、ぎゃはははは!」


「わかったでしょ?」


「ハアッ、は……わかった! わかったよ! でもまさか擽りプレイを盛り込んで――ぶふっ!」



それ以上喋ることを禁じるように、耳の中へ筆の先を差し込む。

少しの間先端で奥を蹂躙した名前は、焦らすかのごとく首筋へ毛先を伝わらせた。


集中へ向かう思考。


「(首とか、大体の人が弱点だよね……)」


「ちょ、そこは……ぶはっ、あははは!」



何度も身を捩りつつ、メローネはゲラゲラと笑い続ける。


そろそろ反省の意も窺えるだろう――彼女はそう踏んで、彼を静かに見下ろした、が。

相手は変態で知られる男。強者だった。


目隠し越しでもわかる、恍惚とした表情。



「はあ、はあ……たまらないね……ははっ、はあ……ベネ……!」


「(ダメだ、こいつ。正真正銘の変態だ……)もういい」


「……あれっ、やめちゃうの?」


ピタリ


ワキや脇腹も実行しようと計画していたが、無駄だ。

一人悟った名前は不思議そうなメローネに対し、不満げな顔のまま口を開く。



「あんたを喜ばせたいわけじゃないからやめる。……でも、その手錠はまだ解いてあげないから。しっかり反省するまで、しばらくこのまま――――ひ!?」


刹那、ある箇所へ視線を移して、彼女はギョッとした。

ちょっとしたお仕置きで済ますつもりが、とんでもない方向に発展しそうである。



「め、メローネ……あんた――」











「な……なななんで下、反応させてるの……!?」


そう。彼のズボンのファスナーあたりが、妙に盛り上がっていた。

名前も、これが何を意味するかわからないほど、幼くはない。


セクハラ以外基本動じない同僚が小さな悲鳴を上げた理由を理解したらしい。

にやにやと口元に笑みを湛えながら、男は楽しそうに音を紡ぎ出す。



「なんで、って生理現象だよ。ハア、ッ……名前に握ってほしいなあ」


「にぎっ……ば、バカ! どうして私がっ」


「あっれー? 身体を存分に擽って、オレのペニスをビンビンに勃ち上がらせちゃったのは、どこの誰だっけ?」



投げかけられる卑猥な言葉。

眼前に立つ彼女がそれにボッと肌を赤らめたと大体把握しているメローネは、ハニーブロンドの髪を揺蕩わせた。


発言と仕草に潜んだ挑発。



「後始末も、名前の役目だと思わない?」


「う……っ」


確かに、正論と言えば正論だ。


本当ならば立ち去りたい。

しかしながら、それでは後が怖い。

名前は、もう自棄だと叫んだ。


「〜〜わ、わかった! 扱けばいいんでしょ、扱けば!」


ニヤリ

次の瞬間、彼の顔に滲んだ薄い笑み。



「ベネ! その言葉を待ってたよ……さあさあ! ズボンの中で窮屈そうなオレの息子を出してあげて!」


「ッ、どうして一々そういう気持ち悪い言い方するのよ、あんたは……!」



≪恐る恐る≫。

まさにその単語を体現するように、彼女の指先がチャックに伸びた。


そして、すでに張り詰めた男性器をシミのできた下着からそっと抜き取る。



「こ……これでいい?」


「ハアハアハア、イイ。すごくイイ……じゃあ名前のそのちっさなお手々で包んでくれ!」


「//////」


「……ん」



イヤでイヤで仕方がない。

でもやらなきゃ。


胸中で織り交じる二つの感情。

そうした葛藤を抱きつつ、名前は腫れモノを扱うように左手でその一物を握り締めた。



「〜〜っ」


しばらくして、男が命令するより先に手のひらが上下へ動いていく。

ヌチャリ――室内に静かに響いた水音。擦られる感覚に、気持ちだけでなくますます物理的に肉棒を高ぶらせるメローネ。



「ハア、ッベリッシモいい……どうせなら、舐めてほし――」


「絶 対 い や」


「あは、だと思ったよ」


容赦なく願望を遮られ、甘い吐息に重なる笑声。


一方、早く終わらせたい一心でひたすら上下していた彼女の手のひら。



不意に、彼の男根がドクリと脈打った。



「ああ……イイ。すごく、ベリッシモ……ハアッ、イイよ……そろそろ、オレ……」


「え? ……えっ?」



≪そろそろ≫。

放たれた言葉に、聞き返そうとしたそのとき。


「うッ」



亀頭の先から、パタタと白濁液が飛び出したのである。


「きゃあ!?」


当然、その瞬間を悟っていなかった名前は、手の甲に降りかかったそれに悲鳴を上げた。


肌がひしひしと捉える熱。

徐々に紅潮していく頬。



「〜〜も、もう! 最悪……!」



なんて災難な日だろう――慌てて陰茎から手を離した彼女は、ベッドの上にあったタオルで体液を拭う。

すると、射精ゆえの疲労感が交じりつつも飄々とした声が背後から届いた。




「ねえ名前」


「何?」







「続き、シないの?」


……。



「……メローネ。あんたいい加減に――」


「名前も今の状況で≪感じて≫るんだろ? 仕事のときでさえ呼吸が一定なのにさ……息、乱れてるよ」



思いもしなかった指摘。

いい加減にして。そう言おうとして開いた口が、唖然と図星によって塞がらない。


さすが相手も暗殺者である。

一切反論のない状況に、勝利を確信したのだろう。男の唇は動かされ続けた。



「心優しい名前はなんでかんだ言って、そろそろ目隠しと手錠をやめてあげようと思っている。つまり、オレはこの場で解放されるワケだ……その瞬間、あんたを襲う自信しか、オレにはないけどなあ」


「なっ」


「どう? レイプまがいなことされるより、自分から動いた方が名前のためだぜ?」



相変わらず楽しそうな声色。

断ればいいはずなのに、なぜ断ることができないのだろう。


「……っ」


名前もこの状況下で、強いられるのがどの体位かということぐらい把握している。


≪目隠ししてるし≫。もはや諦念に近い心持ちで下着と共に脱ぎ捨てられたボトム。

布と肌が擦れ合う音。メローネの興奮度が高まっていく中、彼女は彼の膝上に腰を下ろそうとするが――そこで襲う羞恥心。



「ハア……どうしたんだい? 焦らしプレイ? ハアハア、それはそれでベネだけどディ・モールト苦しい!」


「ちょ、ちょっと! 今だけでいいから黙っててよ……!」



あと数センチ。

重力に従えば――しばらくして意を決したのだろうか。名前のすでに潤った秘裂が焦熱の先端を捉えた瞬間。


「ぁっ……ぁ、っや、ぁあああ!」



グチュリ

生々しい音が響き渡ったと同時に、膨張した肉棒が熟れた肉襞に飲み込まれていった。


鮮明に感じる互いの性器。その妙に居心地のよい窮屈さに息を荒げながら、彼が密着した彼女に囁きかける。



「ね、名前。目隠しは取ってもいいんじゃない?」


「んっ、はぁ……ぁっ、あん、え? でも……ひぁっ」


「いいから」


有無を言わせぬ声音。

――従わざるを得ない。


きゅうきゅうと締め付ける膣内を意識したまま、名前はそっと男の後頭部に手を回し、布の結び目を解いた。


すると、久しぶりにかち合った翡翠。



「んふふ、やっと見えた」


「ふ、っん……はぁ、はぁっ……や、ぁっ、んんッ」


「はッ……にしても、ベリッシモエロい顔だねえ」


「っ! ……ばか、っぁ……このへんたいっ、ばかぁ……ひゃんっ!」



再びつこうとした悪態。

そんな彼女を性的に弄ぶように、膣道以上に狭い最奥を下から突き上げると、トプリと蜜壷から蜜を男根の根元へ滴らせつつも鋭くなった視線。


強気な態度、たまらない。ほくそ笑んだメローネは露わになっていない乳房を少しでも拝もうと、服の形も顧みず眼前の胸元へ顔を埋め始める。



「! や……ダメっ! 襟、伸びちゃ……っぁあ、ん……!」


「ハア、ハアハア……名前の白くて滑らかな肌……ハア……ンッ!? どうして乳首はこんなに赤くなってるのかな?」



言わずもがな肌蹴てしまう胸元。

グチュグチュと勝手にナカを蹂躙され、果実のような乳頭も唇によって食まれ、快楽に囚われ身動きができない名前。


自然と上下前後に揺れる腰。

存分に胸の先端を味わった彼の次の標的は――晒け出された彼女の鎖骨。



「っ!? 何、っはぁ、ぁ……あと、付けて……ん!」


小さなリップ音と共に押し寄せる微かな痛み。恋人でもないのに――そう呟いた途端。

きょとんとした瞳と目が合った。



「あれ? 気付いてない?」


「っはぁ、はっ……気付く、って何が……」


「オレ……他の女が目に入らないほど名前のことが気になるから、あんたにセクハラしてるんだけど」


「!」



トクン

刹那、自ら跳ねた鼓動。


それをはっきりと自覚した名前は、恥ずかしさのあまり――



「ヘブッ!」


赤く染まった頬を見せないよう、男の顔を胸部へ勢いよく押し付けた。

一見≪美男≫と勘違いされがちなメローネ。外見がイイからこそ、その一言一言、その一挙一動に惑わされそうになる。



「(そうだ、動揺しちゃダメ。こいつはいつもそうやって――)ひ、っあん!?」


「ハアハアハア、息が止まって死にそうなのに……名前のちょっと汗ばんだ谷間……ディ・モールトベネ!」



ジュブ

グチュン


肉と肉がさらなる快感を求めてぶつかり合う音。

より一層下から激しく突き上げられ、彼女の肌には生理的な涙が伝った。


「ぁっ、ぁっぁっ……めろ、ね……ダメ、っはげしくしちゃ、ぁっ……んっ、らめぇ!」



そんな拒絶の言葉とは裏腹に、ねっとりと絡みつく婀娜やかな粘膜。もちろん、それを理解した彼が律動を止めることはない。


むしろ、甘やかな絶頂を迎えさせるように、膨らんだ陰茎の根元を包皮が剥けた陰核へ擦り付けていく。

襲い来る鋭い痺れ。ビクビクと性感を享受する肢体。



「ひぁああ!? やらっ……んっ、はぁ、はっ……くり、いじめられたら……あん、ッふ……わたしイっちゃ……!」


「ベリッシモ可愛い……遠慮する必要はないんだぜ、はッ……オレに名前のイき顔見せて……、ほら……ッ」


「ひぅっ!? ぁっ、ぁっあっ、ぁ……めろ、ね……っ、めろ、ねぇ……! ひゃん、っん……おねが……や、っぁああん!」


「くッ」


次の瞬間、秘境の最奥――胎内にとめどなく注がれる体液。


内部から侵され、染み付けられていく感覚。

悔しいのだろうか。それとも嬉しいのだろうか。

そうした複雑な感情を隠すように、名前は案外逞しい同僚の肩口に顔を埋めるのだった。









Revenge Embrace
近付いてみて――彼の心と自分の心を理解する。




〜おまけ〜



「んっ」


しばらくした後。

ドプリと膣口より溢れ出る白濁液はあえて無視して、メローネの膝から離れた名前はいそいそと服を纏い始める。


その胸には、疲労と自責。


「(な、成り行きでメローネとあんなことして……ああ、もう! 私のバカ……!)」



そんな彼女の背中をじっと見つめながら、彼はいまだ取られることのない手錠を示すように身を捩ってみせた。


「ねえ名前……オレのこと、まさか放置プレイするつもりなの?」


ちらり。こちらを一瞥する名前。

そして、返ってきた≪Si≫という答えに、男は冗談だろうと目を丸くする。



「え、ホント!? 本気で言ってるワケ!?」


「最初から言ってるでしょ、≪反省して≫って」


「反省した! ちゃーんとオレ、反省したぜ! ハアハア、このままだと名前以外の誰かに見つかって、オレの命が危なくない? ディ・モールト危ないよ……!」


「……」


とか言って、興奮してるくせに――そういつものように、名前は内心で変態の同僚へ悪態をついていた、そのとき。



「なーんてね」


「へ……、っ!」



次の瞬間、自分の背中を覆うぬくもり。

さらに、腹部にしっかりと回った二本の腕に彼女は双眸をぱちくりさせることしかできない。



「名前……一応確認だけど、オレのスタンド能力、忘れたわけじゃないだろ?」


「スタンド…………、あ! もしかして……!」


「そ」








「手錠、息子に分解させちゃった」


サー

その音通りに、眼前の可愛い同僚の顔が青ざめていく。


一方で、名前は≪ヤバイ≫と切実に感じたのだろう。すぐさま部屋を飛び出そうとした。



が。




「おっと、逃がさないぜ?」


「!?」


羽交い締めされた上半身。

どれほど身動ぎしても、メローネもなんだかんだ言って男なので力では残念ながら敵わない。


むしろ、彼女が抵抗すればするほど、荒い息が赤くなった耳を掠める。



「ハアハア……まさかこんなに早く名前とできるなんて思わなかったから、オレのナニの勢いも止まりそうにないんだよ……だ・か・ら! 名前にはもっと付き合ってもらわないと!」


「ば、バカ! そんなの……いいって言うわけないでしょ!?」


「えー、名前も満更じゃないくせにさ!」


「〜〜っ」





「というわけで、いっただっきまーす!」


ちょ、待って――制止の言葉すら効かないそこは、彼のテリトリー≪危険区域≫。

扉の鍵が閉められたその場からは、名前の後悔のこもった悲鳴が轟いたんだとか。












申し訳ございません……大変長らくお待たせいたしました!
メローネに仕返しをするヒロイン、ギャグ裏でした。
リクエストありがとうございました!
メローネは基本何をされても喜び(悦び)そうなので、ヒロインも大変です(笑)。


感想&手直しのご希望がございましたら、お願いいたします!
Grazie mille!!
polka



prev next

25/52

back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -