※例の約束について
※本当に短いです
「そういえば」
「? どうされたんですか?」
二人でベッドに腰をかけながら、のんびりと過ごす。
そんな穏やかで欠かせない時間の中、ぽつりと呟いたリゾットに名前は小さく首をかしげた。
「……≪濃厚なキス≫をするんだったな」
「え!?」
「今回、オレは約束を破ってしまったんだ……百回、しっかりとさせてもらう」
以前、確かにその約束は交わした。
しかし、なぜ彼はこんなにも≪嬉しそう≫なのだろうか。
「……あ、えっと……私、用事を思い出し――」
ガシッ
「逃がさない」
「!」
そそくさと立ち上がろうとした少女の腕を引き、自分の元へ引き寄せる。
そして――
「んっ……!」
容赦なくその薄く色づいた柔らかい唇に、リゾットは食らいついた。
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「っは、はぁ……リゾット、さんッ!」
「ん……名前、何をするんだ。まだ半分も――」
「そ、そんなにされたらっ、唇が腫れちゃいます!」
グイッと胸元を強めに押してくる名前を見つめれば、確かにほんのりと先程より赤い。
「……」
「はぁっ、はっ……、……?」
その吐息が漏れる唇。
普段白いからこそ頬に映える赤。
己のキスで浮かされ、潤む瞳。
困ったように下がる眉尻。
抱き寄せていることで、改めて実感できる彼女の細身の身体、体温。
名前自身、そして名前の持つもの。
すべてが扇情的で――リゾットの心を掻き立てる。
「確かに、腫れるのは痛い、な」
「!」
「……なら、≪違う場所≫にキスをしよう」
「えっ……きゃあ!?」
ドサリ
少女の背中を包む、感じ慣れた――ベッドの感触。
どれほど目をぱちくりさせても、こちらを見下ろすリゾットと天井は変わりはしない。
「名前……ん」
「っふ、ぁ……こしょばい、です……ッ!」
「……残り、七十一回だな」
「!? ちゃんと数えて……あっ」
日が暮れたころ、ようやく名前は深い色の瞳に熱情を宿したリゾットから解放されたらしい。
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