somma 〜33〜(↑の続き)

※裏



透き通る声で紡がれた言葉。


その内容に自身を抑え付けていたリゾットは、ギョッとして己の腕に身体を寄せる名前を見つめた。



「名前……本気で言っているのか?」


「っ……(コクン)」



返ってきたのは、小さな頷き。

揺れる黒髪から覗く、真っ赤な耳。

愛しい彼女が自ら求めてくれている――それを実感した途端、彼の心を驚愕から塗り替えていく喜び。



――ああ……なんて可愛いんだ。


空いている左手で、静かに鍵を閉める。

その金属特有の音に、男の≪答え≫を理解し、少女はそろりそろりと顔を上げた。


交わる視線。

互いの瞳には、欲情が潜んでいる。

気まずさのない――むしろ居心地の良い沈黙の中、リゾットがふっと口元を綻ばせた。



「君が望むのなら……シようか、続きを」


「! は……い///」



抱き寄せていた腕をそっと解放すれば、降ってくる優しいキス。

名前ははにかみながらも、瞳を閉じてそれを受け入れる。



「名前……」


「んっ、リゾットさん……ぁ」



部屋を支配するリップ音と、二つの吐息。

感情、本能に従うまま、少女の色づく唇を彼は何度も奪った。

≪飽きる≫なんて概念は存在しない。



「ふっ、ぅ……、ッはぁ、はっ……」


「……名前、おいで」


「/////」



細い腰に手を添え、白いシーツの敷かれたベッドへと導く。


「?」


そして、なぜか自分だけ端に座った男に対し、いまだに行為となれば緊張するのか、胸の前で両手を握り紅潮した状態で俯く名前。

そんな彼女を愛おしく思いながら、リゾットはある提案――という名の命令を口にした。



「オレをあんな風に誘えたんだ……名前、自分で脱げるな?」


「えっ!?」



自分だけ立っていた理由――それを理解した瞬間、ブンブンと否定を示す首。


――じ、自分で脱ぐなんて……できない……!


しかし、どれほど懇願するように彼を見つめても、期待の込められた赤い瞳とかち合うばかり。



「〜〜っせ、せめて……電気を消しては、いけませんか……?」


「……ダメだ。せっかくの名前の裸体が見えないだろう」


「!? あ、う……っじゃあ! リゾットさんのメガネを――」


「同じ理由で却下だ」



名前が慌てた様子で男の顔に両手を伸ばすも、それはするりと掴み上げられ、阻止されてしまう。

その、力を入れれば簡単に折れてしまいそうな細い手首を握りしめつつ、リゾットは諭すようにゆっくりと口を開いた。



「名前……脱ぐんだ」


「……ッ」


「……それとも、オレに無理矢理脱がされたいのか?」


「!」



徐々に腕を上ってくる彼の大きな手。

それにゾクリと快感に似たものを覚えた少女は、ついに観念したのか「自分で、脱ぎます」と従ってしまうのだった。


リゾットの深い色の瞳が、拒否をさせてくれない。

快楽ではなく彼の虜になっている。


そんな小さな言い訳を心の中でして、名前は恐る恐る解放された手を胸元のボタンへと近付けた。



「ふ、そうだ。そのまま……シャワーを浴びるときのように脱げばいい」


「っ……はい」



まじまじと見つめられている。

逃れるように視線を彷徨わせながら、ぽつりぽつりとボタンを外していく。


そして、顔が入るほどのスペースを確保した彼女は、太腿あたりの布をぎゅっと握りしめた。



修道服は、いわばワンピースに近い構造である。

つまり、裾から捲し上げなければ脱ぐことはできない。



「〜〜っ、!」


覚悟を決めたらしい。

目をきゅうと瞑り、勢いよく服を上げる名前。

そこから現れた白い肢体、キュッと締まったくびれ、S字のライン、そしてパステルカラーの下着から覗くバストにリゾットは笑みを深める。



「こ……これで、いいですか……?」


床に落ちる黒。

少女はもはや羞恥で死んでしまいそうだった。



しかし――


「名前……下着を取らないでどうする」


もちろん、男がそれで満足するはずもなく。



「〜〜〜〜っ/////」


上と下。

自分の身体を照らす眩しい光。


なんとでもなれ――彼女は自棄になりながら、薄い布を二つそそくさと取り払った。


ぽとり、と黒の上に重なる薄く鮮やかな色。



「いい子だ……こっちに来い」


「っ、あ!」



とにかく隠そうと忙しなく動いていた手を取り、ベッドへ引き寄せる。

私服姿の彼と生まれたままの姿の自分。


その差がより、名前の頬を赤らめさせた。



ドサッ


「……リゾット、さん……っ」


「名前……」



肩をシーツに縫い付けられる。

鼻の先が触れ合いそうなほど、近いリゾットとの距離。

額を掠める彼の前髪が、少しだけくすぐったい。



「んっ……ふ、ぁ……」


そして、端整な顔がふと離れたかと思えば、鎖骨を突き刺す甘い痺れ。


「ぁ、っ……そんなに吸っちゃ……ひぁ!」


「乳首をこんなに色づかせておいて、よく言う」


「やぁ、ッ! はぁ、はっ……ぐにぐにも、ダメぇ……!」



揺蕩う乳房を念入りに揉みしだく。

時折思い出したかのように指で突起を挟めば、少女はふるふると首を横へ振った。


だが、自分の足元にある彼女の内腿は、快感を求めてひくりひくりと震えている。



「ふっ……ずいぶんと淫乱な子になったな、名前は」


「!? ちがっ、違うの……ッ、ひぁあっ!?」



赤くぽてっとした乳首をおもむろに口に含めば、嬌声とともに晒された白く細い喉。

一方で、その尖った突起を赤子のように吸い上げ、舌でぴちゃりと転がしながら、リゾットは余った右手を滑らかな肌に沿って下へ這わせていく。



「んっ、ぁっ……おねが、っやめてぇ……やあ!」


なんとか離してもらおうと両手を彼の頭に持っていくが、容赦なく押し寄せる快感で力が入らない。

男もそれをわかっているからこそ、わざとらしく音を立てて吸い、名前を蕩けさせようとする。


そして、右手が足の間にある秘境へ辿り着き、水音が聞こえた瞬間、少女は大きく目を見開いた。



「グショグショだな……これでも違うと言うのか?」


「あっ、やら……なぞっちゃ、いやぁ……っ」



ツーと割れ目に指を添わせるだけでも、溢れ出す愛液。

クチュリ、という生々しい音に名前は熱に浮かされた目でやめてほしいと懇願するが、それは逆効果だ。

ふっと口元を緩めたリゾットは、人差し指と中指で花弁を掻き分け、陰核を親指で弄り始めた。



「ひぁっ、あっ、あっ……そこ、いじらな、でぇ!」


「≪ソコ≫? それではわからないぞ」


「! えっ、あ……はぁ、っその……、ひゃあんっ!?」



――いつか、≪言わせてみる≫のもいいかもしれないな……。


広がる欲望。

それをしっかりと脳内に刻みながら、愛液を硬くなっていく突起に絡ませるように擦りつける。


ヒクヒク

誘い込むように小刻みに震えた秘部を指が捉え、男はようやく乳房から唇を離した。



「ぁ、っ? はっ、はぁッ、どう、し……やああ!」


「ふっ、膣内が蠢いているな……んっ、そんなに舌で掻き混ぜられるのが気持ちいいか?」


「ふあッ……息がっ、しゃべる、のらめェ……あんっ」



舌にナカを蹂躙され、より大きくなる水音。

すべてが彼に支配されている感覚。

駆け巡る鋭い痺れ。



「あっ、ぁっ、出ちゃう……っまた、来ちゃ……ひぁあああっ!」



プシュッ

一層彼女の身体が跳ねたかと思えば、口の周りに飛び散る液体。


秘部からそっと顔を離したリゾットは、おもむろにそれを舌で舐めとり、小さく微笑んだ。



「! はぁっ……はっ、ごめんなさい……」


「謝る必要はない」



半透明の液体を平然と含んでしまう赤い舌。

ちろりと見えるそれがあまりにも淫靡で――名前が息を切らしながら視線をそらしていると、布の擦れ合う音が耳に届いた。



「ッ、あ……」


「どうした、顔を真っ赤にして……オレの身体も、もう見慣れただろう……」


「〜〜っ(ブンブン)」


否定を込めて、首を横に振る。


慣れることなどありえない。

何度行為を重ねても、彼の引き締まった身体を直接目にした途端、きゅんと子宮は疼いてしまうのだから。


そんな少女の想いを悟ったのか、男は温かな気持ちでベッドに膝を乗せる。



「名前……挿入れるぞ」


「っ、はい……ぁ」



ギシッ

軋む音とともにゆるりとなでられる頬。

小さく頷き、膝裏がいとも簡単に抱え上げられた瞬間――名前は慌ててリゾットの肩に手を置いた。



「?」


「あのっ……もう、外してもいいです……よね?」



何を――寸止めのような形で止められ、不満気な彼の顔に彼女がそっと両手を伸ばす。

そして、するりと細い銀縁のメガネを自分の元に引き寄せた。


「!」


「えへへ……メガネ姿もいいですけど、やっぱりリゾットさんの綺麗な瞳を直接見たいから……」



少しだけぼやける視界。

だがそれでも、鮮明に映すことのできるはにかむ名前。


ドクリ、心臓が大きな音を立てた。




「名前……ッ!」


「ぇ、? ぁっ……ああ……ッ!」



無意識なのだろうか。

少女は時々、こうして自分の中の衝動を掻き立てる。


ズグリ

蠢く肉襞に意識を奪われそうになりながら、奥へ奥へと押し進めていく。


「んっ、はぁ……リゾッ、トさんの、あついよ、ぉ……っ」


「ッ、く……煽るな……!」


「ひぁっ、ふ、ぅっ……わたし、あおってなんか……やぁあ!」


一点を性器の先で擦れば、より震えるナカ。

そして、首に懸命に縋り付き、クシャリと名前の小さな手が己の髪を乱す。



「……ッ、名前、名前……!」


「! リゾットさ、ぁッ……あん!」



互いに激しく揺れる腰。

鋭い刺激をもたらす律動。

膝裏に差し込んだ手の力は、自然と強くなる。


「やっ、ぁっぁっ……はげしっ、の……!」


まさに≪打ち付けあっている感覚≫を味わいながら、下り始めた子宮口をグチュグチュと容赦なく攻め立てた。



「はぁ、っは……っらめ、突いちゃらめぇ……ッ」


「く、ッ……はっ……名前、そろそろ……っぅ」


「やっ、ぁあああ!」



ドクドクと最奥で溢れ出す熱。

男のそれに促されるように、少女は肉襞を波打たせて絶頂を迎えた。









「……あー!!」


「名前、どうした?」


「り、リゾットさん……っこの、歯型!」



部屋を支配する情事後特有の空気も変わった頃、鏡を見た名前の絶叫が響く。

彼女の人差し指の先には、もはやアクセサリー感覚で割り切っている首輪の上の、紅い華と歯型。


つまり、修道服でも隠せない場所に、リゾットは痕を付けたのだ。



「ああ、それか。(歯型の方は)≪お仕置き≫の痕なんだ、仕方ないだろう」


「〜〜っ(どうしよう……ストールで、隠せるかなあ)」



鏡とにらめっこしている少女に、可愛いな――と内心思いながら、シャツのボタンを嵌めていく男。

そして、机の端にあったメガネを手に、彼はそっと名前の後ろへ回った。



「? わっ……え? え?」


見開かれた紅い瞳を覆う銀縁。

彼女にとってそれは少し大きめだが、とてもよく似合っている。


――≪メガネっ娘≫か……通販で見たときはいまいちピンとこなかったが、これはいい。


当然ながら、ときめく心。

鏡に映る男女二人。

きょとんとする少女を背後から強く抱きしめて、リゾットはほんのりと赤い耳元へ囁きかけた。


「ちなみに。名前、ストールを着けることは許さないからな。着用したらその時点で……続きはわかるだろう?」


「!?(どうしてバレて……)」



その後、仲間にからかわれるハメになった名前は、もう絶対に≪お仕置き≫されるようなことはしない、と誓うのだった。


(ようやく)終わり



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