quattro



「は、ぁ……はぁっ、ん」


初めての絶頂。



身体も動かず、名前がぼんやりと天井を見上げていたそのとき。


カチャン


「……?」



耳に届く金属音と、布の擦れる音。


不思議に思い、そろりと視線だけを動かせば――



「!」


チームの中でも特に鍛えられているであろう、彼の身体が視界に映った。


晒し出されたそれに子宮が疼いてしまい、おぼろげに自分を叱咤する。



そして、同時に悟ってしまった。


リゾットが次にしようとしていることを。



「名前……」


「ぁ……そんなの、入らな……っ」



いやいやと首を振ってみるも、ベッドがギシッと嫌な悲鳴を上げ、それが無駄なことだと知る。


「……」


「やぁ……おねが、い……リゾット、さん」


覆い被さられ、どうしようもできない。


ただ、続きをしないでほしい――そう思い、必死に男を見上げるも――



「っ、挿入れるぞ」


「ひっ……や、ぁああっ!」



不運にも、それがリゾットの残っていた理性を消し飛ばしてしまった。


熱いモノが、一気に膣内を圧迫する。

その大きさと強烈な痛みに、名前は喉を晒して、嬌声を上げた。



「ぁ、っいや……痛い、いた、いぃ……ッ」


「っく、名前……力を、抜くんだ」


追い出すように、いや、引き込むようにうねる少女の膣内。

気を抜けば、すぐに絶頂を迎えてしまいそうなそのナカに、顔を歪めたリゾットはそっと彼女の頬をなでる。


しかし、襲い続ける痛みに名前はただ混乱するばかり。



「ひぅっ……いや、ぁあッ、ぐす」


「名前……っ」


「んんっ!」



刹那、唇を覆う柔らかい感触。


そして、口内を荒らし回る舌に、彼にキスをされているのだとわかり――少女は先程とは違うナミダを流していることに気が付いた。




――どうして。


どうして、こんなに優しくキスをしてくれるの?



名前は困惑していた。


抱くだけなら――しなくていいはずなのに。



本当にわからなかった。


「はっ……、名前」



自分の名を、ただ愛おしそうに呼ぶ彼が――





キスで力が抜けたのだろう。


享受するかのように、少女のナカは自分の性器を飲み込んでいる。


しかし、名前の悲しみを帯びた瞳――それだけが、リゾットの心にひどく焼きついた。


「……」


「ぁ、はぁっ……リゾット、さん……ッ?」



締め付けてくる感覚に、今すぐにでも腰を振ってしまいそうなのをなんとか抑え付けて、彼は自分の首筋を彼女へと晒した。


「ぇ……?」


「名前、飲むんだ」



オレの血を――男が取った行動の意図を理解し、目を見開いた名前が首を大きく横に振る。



「っい、や……!」


「名前」


何をそんなに拒む必要があるのか。


違う男のモノは飲めて、なぜオレのはこんなにも飲みたがらない?


落ち着きを取り戻していた嫉妬心が、再び燻り始める。



そして、気が付けば彼女の鋭い歯を、首筋へ無理矢理押し付けている自分がいた。


「飲むんだ」


「んっ、んん……やあ!」


「名前!」






「リゾット、さんをっ……殺したくない……!」


「――」



叫ばれた想い。


驚き目を見開く彼の肩で、何度も首を横へ振った少女は声を振り絞った。



「失いたくない、失いたくないの……っ」



まさか。

押し寄せる嫌な予感に、ゾッとした。



自分の知らないところで、名前は何かに悩まされていたのではないか、と。




「ッ、名前……!」


「ひああっ」



――なぜ、言わなかった。


――なぜ、オレを頼らなかった。


――なぜ。



自分の中では出ない答えに囚われながら、リゾットは腰を揺さぶり始める。


先が捉える子宮口。

それすらも貫いてしまう勢いで激しく動かせば――より高くなる悲鳴。



「ぁっ、やぁッ……ひぁっ、あ!」


「名前……名前、は……っく」



細い腰を掴む両手に力が入る。


「ぁん、あっ……ぁッ、ぁあ」


響く嬌声と、肉と肉がぶつかり合う音。



「ひぅ、っ……リゾ、トさ……わた、し、またっ」


限界を示し、締め付ける力を無意識に強める彼女のナカ。


「ッ、オレも――」


そう小さく呟いた瞬間、男が抉るように最奥を突き上げ――


「ぁあっ、やあっ……また来ちゃ……ッひあ、あああん!」


「くッ……!」


熱いモノが、子宮へ流れ込む感覚。



それを受け入れつつ、名前は沈み始める意識に身を委ねた。


眉をひそめるリゾットに、手を伸ばすことすらできない自分をもどかしく思いながら――







散らばった衣服。

乱れた吐息。

事後特有の香り。



少女の膣内から、おもむろに己の性器を引き抜けば――ドロリと溢れ出した白の中に交じる、初めてを表す赤。



「ッ」


心を占めたのは、罪悪感。


だが同時に、仕事では見慣れているそれに――美しさ、そして喜びを一瞬でも見出してしまった自分はおかしいのだろうか。



「名前……」


両手首に縛り付けてあった布を解くと、目に映る赤い傷。


痛かったに違いない。


それでも、謝罪の言葉は吐きたくなかった。


そうすれば、この想いも、この行為でさえも否定してしまう気がしたから。



「なぜ」



何も自分へ告げなかった名前に、湧き上がる小さな怒り。





しかしそれ以上に――




「オレは……」




何も知らなかった自分が、一番憎くて仕方がない。



to be continued...



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