somma 〜18〜

※ヒロイン、ふと思い至る(リゾット)




風が少し冷たい日、名前はきょろきょろとあるものを探していた。



「ん? 名前、どうかしたのか?」


「ホルマジオさん……ちょっと、探し物をしていて」


「探し物?」



喜んでいる(ように見える)猫を抱いて、首をかしげるホルマジオ。

彼女が見渡している場所――そこは洗面所である。



「はい。実はドライヤーを探しているんです」


「は?」


「ここにあったはずなんですけど……」


うんうんと悩みながら、様々なところを覗き込む姿に、彼は頭上にはてなマークを浮かべる。


ちなみに少女の髪は、まったく濡れていない。


だが、困った様子の名前を放っておけるほど、ホルマジオも腐ってはいない。



「あー……もしかしたら、プロシュートかメローネが持ってるかもしれねェな」


「え、お二人がですか?」


「おう。あいつら、髪にこだわりあるだろ?」



確かに――男二人を思い浮かべた彼女は、大きく頷き笑みを見せた。


「本当だ……ホルマジオさん、ありがとうございます!」


「いや、いいけどよォ……いったい何のために――」


「後でお見せしますね!」



すぐさま走り出してしまった少女。


その背を見送りながら、彼はますます首をかしげるのだった。








「リゾットさん! お待たせしました!」


「名前……待つのは構わないが、何をするんだ?」


「ふふ、ちょっとした写真撮影です!」



部屋へ戻った名前の視界には、私服にもかかわらずいつもの頭巾を被ったリゾットが。


デジタルカメラとドライヤーを手に、彼女は彼の元へ近づく。



「写真? そういうものはあまり――」


「ごめんなさい。この一枚だけは、どうしても撮らなければいけないんです」


――他の写真が≪彼≫へと渡ってしまわないように。



「……わかった。ただし、後で名前の写真も撮るぞ」


「へ? 私のですか? ……わかりました」



なぜ自分のを――きょとんとしつつも、男から撮影の許可を得たので、そそくさと用意を始める。


「えっと……首の周りは黒で……」


「?」


「よし、できました!」



にこにこ。楽しそうに作業を進める名前は可愛くてたまらないが、いかんせん理由が理由だ。


首に何か黒い布を巻かれ、ただ無表情で困り果てていると――



「それでは、前をまっすぐ見ていてくださいね」


自分の背後に回り込む少女。


そして、突然やってきた温風に、リゾットはギョッとした。


「名前……!?」


「だ、ダメですっ! 今は、振り向かないで……!」


「!?!?」



ブオオオオン


ドライヤー特有の音が耳を突き抜けていく。


さらに、顔の横で漂う頭巾の端が正直うっとうしい。


だが、彼女にとってはこれがポイントだった。



「位置よし、視線よし……はい、チーズ」



パシャリ


今度は左耳が捉える、カメラの音。



「……名前?」


「撮れました! ご協力ありがとうございます!」


「いや、気にするな」



だから理由を――さっと彼が振り返れば、ホッとしたように微笑む名前。



「……」


「リゾットさん?」


「……名前に協力できてよかった」



その笑顔に一瞬で癒されて、リゾットは理由なんてどうでもいいか、とすぐに考えを改めてしまうのだった。









〜写真を見せた反応〜



メ「あっはっはっは! 何コレ!? 一瞬、リーダーロン毛になったのかと思ったよ!」


ホ「あの時ドライヤーを探してたのは、これを撮るためだったんだな」


イ「けど、なんでこの方向から名前は撮影しようと思ったんだろ」


ギ「チッ、さあな。そもそも、なんで俺らはリゾットの写真で盛り上がらなきゃならねえんだよ! これって納得いくかアアアアッ!?」


プ「ハン、今回ばかりはお前に賛成だぜ、ギアッチョ! わざわざドライヤーを貸してやったのに、なんで出てきたのが名前の写真じゃねえんだ!?」


ペ「……あれ? 待ってください、兄貴! これ、まだ次が……あっ」




「「「「「名前?」」」」」



そこには、安心しきった顔ですやすやと眠る、名前の――



リ「……気付かれてしまったか。だが、お前らには断じてやらないぞ……なんせ、オレの秘宝だからな」



リビングに湧き上がるブーイング。


それによって目を覚ました名前が、自分の寝顔写真を目撃し、羞恥ゆえの悲鳴を上げるまで後十秒。




原作のドッピオさんが持っていた写真にギョッとしつつも、一体どうやってできたのか――と考え抜いた結果。




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