somma 〜16〜

※みんなと再会しました(暗チ)





〜メローネの場合〜



「〜〜っ名前!」


「あ、メローネさん!」



ようやく部屋から出る許可をもらえた名前が、そろりとリビングへ顔を出せば――何かに勢いよく包まれた。



「ああっ、やっと会えた……! この香り、ベネ! ベネ!」


その正体――メローネに驚きながらも、心配してくれていたのだと、少女は小さく微笑んだ、が。



「さてと、名前」


「? はい?」


「早速だけど、身体検査しようぜ」



にっこり。


晴れ晴れとした彼の笑顔に、ふっと青ざめる名前。


「しんたい、けんさ? ……ふあっ!?」


「ほらほら〜、まさかあーんなことやこーんなこと、されてないだろうな〜」


「ぁ、ちょ……メローネさ、んんっ////」



さまざまな場所を男がねっとりとまさぐる。


彼女の着るパジャマへ手を伸ばす彼に、容赦なく≪メタリカ≫が発動されるまで、あと三秒。






〜ホルマジオの場合〜



「もう、どこも痛くねェのか?」


「はい。ごめんなさい、ご心配おかけしました……」



申し訳なさでそっと俯けば、ガシガシと頭をなでられてしまった。



「わっ」


「おいおい。何遠慮なんかしてんだよ……名前は俺たちにとって仲間――いや、家族みたいなもんなんだから」


「! ホルマジオさん……っ」


「って、なんで泣いて……! ったく、しょォがねェな〜〜」



さらに強くなる彼の手。


いつもの口癖を紡ぎながらも、優しく笑っているであろうホルマジオに、名前は心地よさを感じる。



「……おっ、そうだ。今度、猫のたまり場見つけたから、夜にこっそり行ってみようぜ」


「ぐすっ……はい」


やはり猫に弱い少女。


嗚咽を上げつつ懸命に頷く彼女を見て、男はお父さん(リゾット)の説得をどうするか考え始めるのだった。





「あ、でも……瓶詰で誘拐は、ダメですよ?」


「……はい」






〜ギアッチョの場合〜



「……」


「……あ、あの、ギアッチョさん」



ドカッと隣に座った男に、名前が思わず背筋を伸ばす。


アジトへ戻ってこられて以来、彼とは一言も話せていないのだ。



――でも、謝ってお礼を言いたい……。


かなり車で駆け回ってくれたというギアッチョ。


グッと自分の手を握り、彼女はおもむろに口を開いたが――



ゴツン




「痛っ」


頭へ飛んできた軽い拳骨に、驚くことしかできない。


しかし、そんな少女を無視して、男がぽつりと呟く。



「…………えよ」


「え?」


「……ッ、心配させんじゃねえって俺は言ってんだアアアア!」


「! は、はい!」


「クソッ」



立ち上がり叫んだかと思えば、再びソファへ座り込むギアッチョの優しさに、自分の口元が緩まったのを感じていると――




ゴツン



「あいたッ」


「テメー、笑ってんじゃねエエエエッ!!」


再び拳骨。


だが、消える間もなく訪れた二度目の痛みに、涙を浮かべている名前は知らないのだ。


怒声を上げる彼の耳が、これでもかと言うほど赤いことを。







〜ペッシの場合〜



「あれ?」



今日こそ自分が料理をしよう。


そう思い至り、リビングへ足を踏み入れた名前は、キッチンから聞こえた音に首をかしげる。



「誰だろう……あ」


「……あ! 名前!!」


「ペッシさん!」



見えた特徴的な髪型。



「よかった、元気になったんだね」


「はい。ペッシさんもありがとうございます!」



彼へ歩み寄り、下げていた頭をそっと上げる。


すると、そこで見えた景色に、少女は大きく目を見開いた。



「ぺ、ペッシさん」


「どうしたの?」


「こ、これ……!」



テーブルに並べられた、肉じゃがや魚の煮物。


明らかに和食だ。



「あ……名前が好きって言ってたから、見よう見まねで作ってみたんだけど……」


「……」


「え、名前?」



黙り込んでしまう彼女。


嫌だったのだろうか――と不安になりながら、ペッシが近づけば――




「〜〜っペッシさん!!」


「うわッ!?」



小柄な身体が、自分に抱きついているではないか。



「えっ、ちょ、名前?」


「……ごめんなさい、もう少しこのまま……」


「!? あ、もちろんいいけど……いいん、だけど(兄貴とリーダーの視線がぁああ!)」


嬉しさと恐怖の狭間で、ペッシは恐ろしく長いと感じてしまう数分を過ごすのだった。







〜イルーゾォの場合〜



「名前、おいで」


「でも……」


「大丈夫、リーダーなら今買い物に出かけてるから」



静かなリビング。


そこにある鏡へ片足を入れつつ、イルーゾォは少女を自分の世界へと招いていた。


一方、リゾットの言葉を思い出し戸惑う名前。


しかし、目の前で笑みを見せてくれている彼にもお礼を言いたいと――伸ばされた手を取った。



「!」


次の瞬間、何もかもが反転する世界に降り立つ。



何度訪れても新鮮味のあるその場を、彼女がきょろきょろと見回していると――


「え……イルーゾォ、さん?」


「名前」



視界を覆う、先程見たばかりの服の柄。


名前はイルーゾォに強く抱きしめられていた。



「……心配、した」


「っ」


「オレたちを……もっと頼れよ」



悲しみと安堵の入り交じった声。


それにドキリとしつつ、少女はこの温かさを享受しようとした、が。



「……えっと、イルーゾォさん」


「何?」


「逃げた方が、いいかもしれません」



ザ・グレイトフル・デッドさんが、鏡越しにこちらを見てます。


今にも入ってきてしまいそうなスタンドにぽつりと呟けば、彼のいつもの絶叫が世界中に轟いた。



「きょ、許可しないィィイイッ!」







〜プロシュートの場合〜



「はあ、やっと名前をこうして抱き寄せられるんだな」


「えっ……やっと?」



彼がこうして、スキンシップを図るのはいつものことだ。


しかし、ため息とともに吐き出された言葉に、名前は首をかしげた。



「ああ、やっとだ。リゾットが、なかなかオレたちを部屋に入れなかったからな」


「あ……なるほど」



納得してしまう少女。


確かに、リゾットはかなり過保護な節がある。


それはもちろん、彼女が考えている以上に。



「……というわけだ」


「ん? 何がどういうわけで……きゃっ」



グッと顔を彼の胸元へ押し付けられる。


そして、髪に落ちてくるリップ音に、嫌でも名前は肩を震わせてしまう。



「オレをこんだけ待たせたんだ。相応の罰を受けてもらわねえとなあ」


「ば……罰?」


「そうだ。罰として――」





「今晩は、オレの部屋で過ごせよ」


「……へっ?」



プロシュートの言葉の意味を数秒遅れて把握した少女が、慌てて身を捩る。


だが、そんな初心な彼女を男は楽しそうに見下ろすばかり。


「もちろん、一夜限りの恋に留めるつもりはねえ。ずっといたいと思っちまうほど、名前を満足させてやる」


「ぷ、プロシュートさん! あの……!」


「あ? 拒否はなしだぜ」



そっと囁いた彼は、おもむろに少女の細い腰へと手を伸ばすが、別のモノ――人物を見ている名前はそれどころではない。



ゴゴゴゴゴ



「ぷ……プロシュートさん、後ろ! 後ろ――っ!」



終わり



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