somma 〜13〜

※睡眠不足1(ソルジェラ寄り)
※短いです。




ソルベが買い物に行っている間。


暇を持て余していたジェラートは、誰かいるだろうかとリビングへ足を踏み入れた。


しかし、きょろきょろと周りを見渡すが、人の気配はしない。



「さすがに、みんな部屋か……って、名前?」


どうやら、彼女はソファで丸まっていたらしい。


そして、ジェラートの驚きを含んだ声が届いたのか、ガバリと起き上がる名前。


「……あ! お、おはようございます!?」


「あはは、大丈夫。まだ夕方だよ」



安心させるように呟けば、ホッとしたような笑みが返ってきた。


だが、少女がこの時間に昼寝とは珍しい。


「名前……寝不足?」


「……はい、最近眠れないことが多くて」


「ふーん」


恥ずかしそうに彼女が苦笑する。


そのとき、ジェラートの脳内に≪ある案≫が浮かんだ。



「そうだ。ね、名前」


「? どうかされたんです――」


か。


最後まで言葉を紡ぐ前に、少女は男に抱きしめられてしまった。



「え? あの、ジェラートさん……?」


「きっと、人肌が恋しんでしょ? だから、ぎゅー」


そういえば、仕事なのかこの頃リゾットがアジトへ帰ってきていない。


睡眠不足の≪理由≫を悟ってしまっては放っておけるはずもなく、ジェラートは戸惑いを隠せていない名前を休ませることにしたのである。



「ひ、人肌……恋しいんでしょうか?」


「うん、そうだと思うよ」


「ジェラートさんが仰るなら、そうかもしれませんね……ありがとう……ござい、ます……」



うつらうつら。


すでに小さくなり始めた彼女の声に、男はよほど眠かったのだなと改めて己の腕に力を込めた。













「ただいま……ジェラート?」


「シーッ」


十数分後、ビニール袋を手に帰宅したソルベの目に映ったのは、ジェラートと彼の腕の中ですやすやと眠る名前。


「睡眠不足みたいでさ」


「……そうか」


少女の顔を隠している、黒い髪をソルベがそっと左手で退ける。



その先に見えたあどけない寝顔に、二人は顔を見合わて笑った。



「ね、ソルベ。オレ思ったんだけどさ」


「奇遇だな、ジェラート。俺もちょうど考えていた」


彼らの手にあるのは携帯。


「「思い出、作ろうか」」


こうして、二つの写真フォルダにはにっこりと笑うジェラートと微かに笑むソルベ、そしてその間に挟まれて目を閉じる名前のスリーショットが保存されたのである。





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