somma 〜5〜

※みんなの服装について
※ 変 態 で す










「ギアッチョさん、ペッシさん、ジェラートさん、ソルベさんはこっちで、イルーゾォさんも……かな?」


「名前ー? なにみんなの名前並べてるわけ? あ、子作りならオレに任せry」


「メローネさん……実は、今皆さんの暗殺時の服装について検証していたんです」


「はは、スルースキル上がったね」



手をわきわきと動かしながら、近寄る彼をなんとか躱す名前。


「服装? ああ、そっか……よし! オレが協力してあげよう!」


「え? そんな、私のただの興味ですから――」


「みんなー! 名前が仕事着見たいってーッ!」


「ひい!」


まさかとは思っていたが、叫ぶとは。


名前は、すでにメローネへ正直に話してしまったことを後悔し始めていた。







「ったくよオ、休みだってーのに、どうしてこれを着なきゃなんねーんだよ」


「まあまあ、落ち着けよギアッチョ」


「これだからお子ちゃまは……文句言ってねえで、さっさと来るのが男ってもんだろ?」


「兄貴ィ! 髪、髪!」


徐々に皆が二人のいる部屋へ集まり出す。


ちなみに、かなり焦ったのか、プロシュートの髪は降ろされたままの状態だった。



「皆さん……なんだか、ごめんなさい。せっかくの休暇なのに」


「気にするな、名前。オレたちは、いつでも仕事に入れるよう、普段から素早く着替えられるようにしているんだ」


「あの、リゾットさん……一つ、いいですか?」


「ん?」


「……その、上半身ななめベルトだけはやめてくださいッ////」


そう。リゾットは今、黒いコートを着ていないため、いつも以上に筋肉をさらしまくりなのである。


当然、名前の顔は真っ赤に染まっている。


「ふ……」


――そこまであからさまに照れられると、余計虐めたくなるな。


頑張って目をそらそうとしている姿を、ただただ眺めていると――


「笑ってないで着てください!」


怒られてしまった。








数分後、名前とメローネの提案により、順番を並び替えられることになったメンバーたち。



「えっと、ソルベさんとジェラートさんは左で……」


「やったね、ソルベ! オレたち、服装でも一緒だ!」


「ああ」


そんな二人を名前だけが微笑ましく思いながら、次にギアッチョ、ペッシと並べていく。


「次は、イルーゾォさんですね」


「了解」


「えーっと、ここで……プロシュートさんかな」


意外かもしれないが、彼は胸元をかなり開けているだけなので、ホルマジオより露出は少ないと思われる。


「んー……問題は、メローネさんとリゾットさんか……」



二人を見比べるが、判断が難しいのだ。


――前だけだったらリゾットさんだけど……うーん。



「……そうだ、名前」


「? はい」


「気になるならさあ、自分で試してみたらいいんじゃない?」


「へ?」



――試すって、いったい何を……。


頭上にはてなマークを浮かべる名前に対し、メローネは自分の服を摘まんで見せる。


「オレとリーダーの服! 両方着てみなよ」




・・・・・・。




「「「「「「なんだってええええッ!?」」」」」」


「いい、かもしれないな」


「リゾット、正気かおい! そんなもん……めちゃくちゃイイに決まってんじゃねえか」


「……テメーらにまともな意見、期待した俺がバカだったよ」


腕を組み頷くリゾットに、ぐっと親指を立てるプロシュート。


安定した二人の姿に、ギアッチョは人知れず泣いた。


「ベネ! じゃあまずはオレの服だね!」










「あの……もう、着替えてもいい、ですか?」


「ダメダメ! んっんー、名前の肌って、白いねえ」


「ちょ、メローネさん! その顔怖――」



次の瞬間、長い脚が見えたとともに、メローネが遠くへ吹っ飛んだ。


「出し惜しみしてねえで、さっさと見せやがれ! …………!」


「ぷ、プロシュートさんも、そんな見ないでください……!」


恥ずかしい。

まさか、自分の小さな関心がこんな形で返ってくるとは。


普段、黒い修道服で全身を包んでいる名前にとって、この右半分露出した服は、かなり新鮮味がある。


そして異様に通気性が抜群なのだ。



「こ、これが見ずにいられるかよ! ……おい」


「はい」


「その胸元にある手はなんだ」


「え? だって……」


メローネの服はかなり着づらかった。


ズボンはいいのだ。

問題は、上着。


――押さえとかなきゃ、見えちゃうかもしれないし……!


しかし、そんな言い訳が伊達男に通じるはずもなく。


「だってじゃねえ! チラリズムってもんが、男のロマンだろうがァァ!」


「ええッ!?」


先程吹き飛ばされた彼も帰ってこないうえに、ほかの皆は隣の部屋でくつろいでいる。


絶体絶命――掴まれた手首に、思わずぎゅうと目を瞑ると――


「名前、遅いから心配したぞ」


「り、リゾットさん!」


「……チッ」


――い、今! プロシュートさんが舌打ちした……!


どうやら、リゾットがこちらへ来てくれたらしい。


ホッと息をつきながら、早く着替えたいと自分の服を見下ろす。


すると――


「次は、オレだな」


と、当然かのように彼は呟いたのである。



「へ? あ、あのリゾットさん! もう、十分にわかりましたから!」


「? それではダメだ。まだオレの服を試していないんだからな」


「〜〜ッ、そうですけど!」


「安心しろ、オレが着方を教えてやる」



――それが一番危ないような。


抱き寄せられ、直接感じる男の腹筋に赤面しかできない名前。



「ハン、ならリゾット。お前の部屋へ行こうぜ」


「……プロシュートも来るのか」


「当然だ。なんだってオレは今、まさに≪おあずけ≫状態だからな」


――本当にダメな気がする……!


頬を伝う冷や汗。


本人の意思を無視して、二人が話を進める。


「わかった」


「ふ、二人とも!」


なんとか止めよう――腕の中で暴れながら声を張り上げれば、頭に温かい感触。


「名前……大丈夫だ。リゾットは知らねえが、オレは優しくしてやる」


「そうじゃなくて――」


「何を言い出すかと思えば……プロシュート、それはオレに対する宣戦布告か?」


「ハン、どう捉えても構わねえぜ? やれるもんならやってみろよ、この朴念仁」






「だっ、誰か助けてください――――ッ!!」




その後、偶然トイレに行こうとしていたギアッチョによって、男二人は退治されたとか。


さらに、もう安易に興味のあることを口にしないと、名前は身を以て感じたのである。




「名前……今度ぜひ≪こすぷれ≫とやらをしてほしいのだが」


「……え」


しかし、彼女が暗殺チームのリーダーの中にあるスイッチを押してしまったということは、どうあがいても変えようのない事実だった。




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