somma 〜3〜

注意!
※この話はヒロインがアレッシーモードになります
※圧倒的ひらがな率
※チームの変態度上昇(特に粥とハム)
※君誰、状態です!












朝、鳴り響いた目覚ましに、リゾットはゆっくりと瞼を開く。


「ん……もう朝、か」


そこで、ふと胸元に感じる体温。

――名前もぐっすり眠っているな。


吸血鬼ゆえに身体が冷たいことを気にしているのか、直接肌を重ねたがらない彼女。


――そんなこと気にせずとも……温かいのにな。



見える黒髪をそっと右手でなでていると――あることに気づいた。


――髪、こんなに短かったか?


仲間によってよく遊ばれる彼女の髪は、さらさらで長いはずだが、今はなぜか肩ほどまでしかない。



不思議に思い、名前の顔を覗きこもうとしたそのときだった。


「んー……ふあああ」


「え」



大きな欠伸をするのは――幼女だった。


「……? おはよーございます」


「あ、ああ……おはよう」




一応少女への日光を避けながら、リゾットはおもむろに起き上がる。


それにつられて、その幼女も小さな身体を起こしたのだが――



パジャマがぶかぶかなのだ。


――これは、(オレが選んだ)名前のパジャマ……つまりこの子は。


「……君、名前は?」


「名前、です……! おじしゃんの、おなまえは?」


「……」


――おじしゃん、おじしゃん、おじしゃん……。




次の瞬間、彼は天井を見上げ――



「萌え―――――――――――――ッ!」


バタンッ


二十六歳にしておじさんと呼ばれる衝撃と、少女のあまりの可愛らしさといったダブルパンチに、男は悶え倒れた。


「リゾット! 朝っぱらから何騒いでやがんだ……」


「おきて、おじしゃん! おじしゃん!」



金に輝く髪をセットしながら、ドアを蹴破ったプロシュートは絶句した。

薄暗い部屋の中でさえはっきりとわかる、リゾットの大量の鼻血(もちろんメタリカつき)と、彼を懸命に揺さぶる可愛らしい幼女。



「おいいいいいいい! お前なあ! いくら名前に手え出せねえからって、越えちゃあいけねえ線ってもんがあるだろおおおおおッ!」


「お、おじしゃんをおこらないで! 名前がわるいの!」


出血多量にもかかわらず男を揺さぶる彼に、慌てて少女が詰め寄る。


「……悪いな、バンビーナ。だが、大人としてこいつは踏んじゃあならねえものを…………名前?」


「あい?」


今、この子は何と言っただろうか。

目を凝らせば、瞳が深い琥珀色であること以外、確かに彼女の面影があるが――


「お前……名前、なのか?」


「そーですよ……?」




――ああ、オレも、こいつのこと言えねえなあ……。





「萌え―――――――――――――ッ!!」




数分後、駆けつけた仲間が見たのは、泣きそうな顔で困惑する幼女と、鼻血をだらだらと流した大の男二人の姿だった。










「よし! いやあ、ぴったりな服があってよかったよ〜」


うんうんと頷くメローネの前には、人形のようなドレスを着た名前。


「おふくかわいー! ありがと! おにーしゃん!」


「ふふふ……オレのことは、メローネって呼んでごらん?」


「め……めろーね?」


「〜〜ッディモールト・ベネ!」







「犯人、絶対アイツだろ……」


「でも、ある意味名前本人でよかったよ……オレはてっきり名前の子どもかと」


「イルーゾォ……その冗談だけは、やめてくれ」


「え? あ、ごめん、リーダー」


本当に悲しそうに呟く男に、イルーゾォは引き気味で頷くしかなかった。



「名前! 次はこれも着てみよーぜ」


「お、ホルマジオも買ってたんだ……って、ネコミミパーカーなんてあんたらしいな」


「まあな! いつかリトル・フィートで名前を小さくする気だったからよォ」



珍しく意気投合するメローネとホルマジオ。

それを見て、このチーム大丈夫か――とギアッチョは一人思い悩むのだった。




「名前! 俺はペッシって言いやす!」


「んー……ぺっ……ち……ぺっち?」


「グハッ!」←リゾット


「グラッツェ!」←プロシュート


「おいおい、しょォがねーなああ〜。なんだかんだ言って、こいつらが一番重症だよな」←ホルマジオ


「リーダーなんて、貧血起こすんじゃない? 仕事でもそうだし」←イルーゾォ


「あ、そうだ! 名前、ちょっと耳を貸してごらん?」←メローネ


「? あい」



ゴニョゴニョゴニョ、ゴニョゴニョ




「おい……名前は何を話しているんだ? まさかあの変態に、変なことを吹き込まれているんじゃあないだろうな!?」


「ちょ、リーダー落ち着けって!」←イルーゾォ


「これが落ち着いてられるかあッ!」


(((ダメだこいつ、早くなんとかしないと)))



「おいおい、リゾット……男はそんな慌てた姿を見せるもんじゃねえぜ」


「プロシュート……」


「いいか? 最初は優しさ全開で近づく。そして、じわじわとあの未発達な名前に快感を覚えさせていきゃあいいんだ」


「お前の脳内が一番心配だよ!」


「そうか……イイ、かもしれない」


「「もうイヤ、こいつら」」


――こんなにも、ここから家出してえと思ったことはねーぜ。

ギアッチョのため息は静かに消えた。




「あの、えっと……」


「! 名前! どこも触られてないか?」


「うん……ありがと、おとーしゃん」


「おと……!?」


ピッシャーンッ


刹那、駆け巡る妄想。


――お父さん、だと? い、言われてみれば、そうだ。もし……もしも、だ。オレと名前の子どもならば、きっと……きっと……愛しくて仕方がないッ!


少女越しにいるメローネを見て、思わずGJとしてしまうほどの、重症っぷりである。


「……くっ、可愛い……!」


「リーダー、鼻からメタリカ出てる」


「おい、リゾット! ……いや、お父さん。オレに名前と娘さんをくださ――」


「だが断る。プロシュート、お前はどれだけ欲張りなんだ!」


「いや……人妻の名前もいいな、と」


「グハッ!!!」


「もうやめたげて! リーダーのライフはゼロよ……!」










数時間後、ようやく薬の効果が切れたのか、名前は無事戻れたのだ、が。



ボンッ


「おお!」


「これはもしや……」


「あれ? 私、今まで何を………………きゃああああああッ!」



パジャマがぶかぶかだったように、小ささに合わせていた服が広がるはずもなく、名前は恥ずかしさに絶叫した。



その後、当時いなかったソルベとジェラート以外、約三日は口を利いてもらえなかったらしい。




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