※歓迎会を開いてくれました(イルーゾォ・リゾット寄り)
「えー、改めまして! 名前、ようこそ! こうして会えたのも縁だし、一つ屋根の下末永く――」
「「「かんぱーい」」」
メローネの言葉を遮って、グラスを鳴らす暗殺チーム。
「ちょっとー、みんなさあ、ひどすぎない?」
「テメーの場合、なんでも卑猥に聞こえんだよ」
「さ、名前さんは何にしやすか?」
「ありがとうございます……私はジュースで。あと、さんなんてつけなくていいですよ?」
「くーっ、いいねえ、たまにはこういうのも……な、リゾット」
「プロシュート……そうだな」
――残念だ、名前の酔った姿をぜひ見たかったんだが……。
ペッシと嬉しそうに話す少女をまじまじと見つめながら、飲み進めていくリゾット。
「はい、ソルベ。あーん」
「あーん」
「お前らなあ、こんなとこでいちゃつくんじゃあねえよ」
「あれ? ホルマジオ、オレらの仲に嫉妬?」
「ちげェよ!」
「……あげないぞ」
「ソルベもそんな反応すんじゃねェ!」
――なんか、平和だな……。
はあ、とため息をつく彼の隣で、ぽつりぽつりとグラスを仰ぐイルーゾォ。
彼は知らなかった。平穏と言えるこの席が、思わぬ波乱に満ちてしまうとは。
ましてや、その渦中に自分がいるとは想像もしていなかったのである。
数時間後。
「あの、イルーゾォさん、イルーゾォさん?」
「んー? なんらよ〜、名前もメルヘンやろーってからかいにきたのかよー」
「え? いや、そんなことは」
他のメンバーが騒ぐ中、この男だけは完全に酒に飲まれていた。
それを見かねて、名前が静かに介抱しに来たのだが、どうやら泥酔状態らしい。
「……なー」
「は、はい?」
「名前は、酒飲んら?」
「へ? 私は、ジュースだけですけど……」
「ふーん……」
「あ、あの!? その、手に持つビンはいったい……!」
引き寄せられる肩。
消極的なイメージのある彼からは予想もつかない強引な行動に、ただただ驚いていると――
「んんんー!」
悲鳴とも言える少女の声に、騒いでいた皆がそちらへ目を向ける。
「……おい、誰だあ? イルーゾォのそばにマッコリを置いてやがったのは!」
まさにビンでそのまま飲まされているという光景に、誰もが止めようかと逡巡するが――
「あ、イルー、ゾォさん! もう、飲めら……んん」
「ははは〜、まららいじょーぶ(まだ大丈夫)!」
(((((口端から伝い落ちる白い液体……ベネ!)))))
「よくやったぞ、イルーゾォ!(何をしているんだ、イルーゾォ!)」
「バッカ、リゾット! せめて本音は隠せ!」
しかし、そう叫ぶプロシュートも目だけはあちらに釘付けである。
「兄貴ィ……見えねえんすけど……」
「ペッシ! お前にはまだ早いぜ……くっ!」
皆、なんだかんだ言って期待していたのだ。
――名前が酔うとどうなるのか、と。
しかし、彼らの予想は思わぬ声で裏切られることになる。
「……」
「ん〜? 名前〜?」
「ふふ……ふふふふふふ」
ドサッ
「あれれ〜、天井が見える……」
「「「「「イルーゾォォォォォォォ!?」」」」」
「あ、兄貴! 目強く押さえすぎっす! ちょ、痛い痛い!」
そう、今押し倒されているのは男の方であり、上に乗っかっているのは――
「ふふ、イルーゾォさんって……とーっても、美味しそう……食べて、いいですか……?」
「おい……あれ、ほんとに名前か?」
「……そのようだが」
熱に浮かされた深紅の瞳と舌なめずり。
光る鋭い八重歯が、より一層危険なことを示している。
「おい! だ、誰か止めろよ! なあ!」
「あれ〜? もしかしてギアッチョ、名前の酔った姿にどぎまぎしてる〜?」
「バッ、ちげーよ! つーか、くっつくんじゃねえこの変態!」
ギャーギャーと騒ぐ二人を背に、リゾット、プロシュート、ホルマジオの年長組は、黙々と男女の今後の動きを観察していた。
――くっ、なんて羨ましいんだ……!
――やべえ、オレもぱくっと名前を食っちまいてえ。
――ぜーったい、こいつらとんでもねえこと考えてるぞ……しょォがねーなああ〜〜。
「ね、イルーゾォさん……いい、でしょ? 私……我慢、できない」
「ん……いいよ〜? ただし――」
「……ッきゃ」
「≪食べる≫のは、名前じゃあなくオレだ」
形勢逆転。
近づく二人の距離。その瞬間――
「「させねえよおおおお!」」
なぜか一致しているリゾットとプロシュートの声とともに、男女の意識は暗転した。
翌日。
「あ……おはよ、名前」
「! あ、い、イルーゾォさん……ごめんなさいッ!」←覚えている人
「え? ちょ、どうしたんだよ!」←まったく覚えていない人
ピャーッ
「ん〜? 逃げられるなんて……オレ、なんかしたっけ? あと、身体の節々が異常に痛いんだけど……ホルマジオ知ってる?」
「……忘れといた方がいいこともあるぜ」
ちなみに、名前の泥酔状態を各々がどう予測していたかというと――
リ「もちろん、甘えて眠りこける(オレの肩に頭を寄せるようなry)」
プ「ハン、決まってんだろ。(規制音)に突入するような積極性とエロさ倍増だ」
ホ「そうだな〜〜あ、キス魔とかも可愛いよな」
ぺ「笑い上戸かなと思ってたっす」
イ「……泣き上戸って予測し」←「「それはお前だ!」」
メ「んー、まあせっかくだし? 母たry(言わせてもらえませんでした)」
ギ「酔っぱらったらどうだとオオオオオ? 知るかよ、んなこと……べ、別に何も期待してねー!」
ソ・ジ「「独裁者タイプ」」
オワレ。
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