※ベッドについて
「おいおいおい! リーダー、あんたなァ」
「あの、私! どこでもいいので……たとえば、その、ソファとか」
「ほーう……意外に積極的なんだな、名前は」
にやにやとした笑みを見せるプロシュートに首をかしげていると――
「ねえ、名前? それって、つまり……≪襲ってください≫って言ってるんだよね?」
「へっ……!?」
なぜそうなるのか――驚きに口をパクパクさせながら周りを見ると、皆が頷いているではないか。
「そういうこった。だから、諦めてオレの部屋に来いよ」
「ぷ、プロシュートさん!?」
「忘れられねえ夜にしてやるから……な?」
ヤバい。
何が、とははっきりと言えないが、心の奥がそう叫んでいる。
――ど、どうしよう! 顔が近い……!
色気のある声と近づく端整な顔に、どうしようかと慌てていると――自分の身体が後ろへ傾いた。
「ダメダメ。プロシュートの部屋になんか行ったら、やっらしーことされまくりだぜ? オレの部屋にしときなよ」
「メローネさんの、部屋ですか?」
「ちょっと待て! やましいことがねえならよォ、その手にある変態表はなんだ!」
さすがに、お断りします――そう口を開こうとしたとき、ホルマジオが叫ぶ。
彼が指し示すのは――原作でも見た、あのキスの仕方が描かれた表である。
「まったくわかってないなあ、ホルマジオは。これは変態表じゃなくて、愛の営みへのry」
「テメー、いい加減黙りやがれ! イルーゾォ、テメーの鏡ン中にでも入れてやれよ!」
「鏡……」
うおおおと激昂するギアッチョに対して、艶やかな黒髪を弄るイルーゾォ。
「……うーん、そうだなあ」
「あの、無理しないでくださいね? ソファが無理でも、どこか探しますので」
「……いや、そういうわけじゃあないけど」
「?」
なぜか少し頬を赤くしてそっぽを向いてしまう彼に、きょとんとしていると、突然何かに引き寄せられる。
「わっ……リゾットさん?」
「お前ら、何か勘違いしているようだが……名前の寝る場所は決まっている」
――よかった、まともな人がいた……!
「オレの部屋に決まっているだろう」
「え、えええッ」
「ちなみに、拒否権はない」
「また、ですか……!?」
こうして、リゾットの権力濫用によって、彼女は彼と一緒に寝ることになったのである。
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