somma 〜44〜(↑の続き)

※裏
※リーダーと猫になったヒロイン
※もはや獣かn……ゲフン






リビングを後にしたリゾットは、廊下を淡々と歩き自室へ赴く。

そして、一日ぶりの部屋へと足を踏み入れた。


残念ながら遠い目をした彼らの読み通り、自分の両腕の中に大人しく収まっている名前をしばらくの間寝かせるつもりはない。

かと言って、今も彼の眼前でゆらゆらと左右に揺れる黒い尻尾のことを考えれば、仰向けに押し倒すこともできない。



「名前……大丈夫か?(そう言えばペッシがマタタビのようなモノを持っていたな。アレの影響もあるのか……?)」


猫に変化、さらにマタタビと彼女にとって今回の事態が災難であることは理解しているが、脳内を支配した一つの感想――「ああ、なんて愛くるしいんだろうか」。


とりあえずベッドの脇に腰掛け、小さく息を乱す恋人を膝に跨らせたと同時に、すぐにでも組み敷いてしまいそうな細いくびれへ添えた両手。

だが、少女と出逢えたことで彩られた心を過るのは、食べてしまいたい、気遣いたいという二極の感情。



「んっ、……はい、にゃんとか……っは、ん、はぁっ」



一方、受け答えはできるが猫語を気にする余裕がないのか、甘やかな吐息をこぼしながらボーッと名前は男を見上げる。



「……はぁ、っん……りぞ、とさん、っ」


「ん?」


不意に普段の凛としたモノとは違う、艶やかな声色で途切れ途切れに紡がれる名前。

そのどこまでも蕩けた、熱っぽい視線に――沸き立つ情愛や劣情でふっと彼が頬を緩ませた。




しかし刹那。



「……んっ!」


「!」



押し付けるように自分の口を塞いだ、薄紅色の唇。

しっとりと柔らかな感触。

かち合った赤と紅。


リゾットが思わぬアプローチに呆然としていることによって、自ずとできた彼の唇の隙間から、彼女は赤く濡れた舌先を割り込ませ、ぎこちなさはあるがそのまま舌をねっとりと動かし始める。


「ん……ッ」


すると、ようやく我に返ったのだろう。

扇情的なうなじから後頭部にかけて右手を回しながら、男は恐る恐るといった仕草を見せる少女の舌を、自身のそれでいとも簡単に絡め取ってしまった。



「っ、ふ……ぁ、んんっ……りぞ、とさっ、ぁ」


「はッ……もっと、舌を突き出してみろ、名前」


「はぁっ、ん……ふぁ、ぃ……っ、ふ、んん……ッ!」



無防備な口内全体を丹念に蹂躙され、ふるりと小刻みに震えるカラスの濡れ羽色の髪。

くぐもった声をこぼす名前の口端から、どちらのものとも判断のつかない唾液が顎先へ伝う。


いつの間にか、瞼を閉じていた彼女はリゾットの上半身を横切る黒いベルトを控えめに掴みながら、おずおずと口付けに応え始めた。



「んっ、はぁ、っ……ふ、ぅっ……ん、っん」


「ふ……そうだ」



低音で囁かれ、ゾクゾクと疼く子宮。

二人だけの時間をしばらく過ごし、名残惜しそうに離した二つの唇を銀の糸が繋ぐ。



「は、ぁ……っはぁ、ん…………はふっ」



ひどく乱れた、淫靡な表情。

だが、少女を襲うのは――もっとほしいという、いつもらしからぬ物足りなさだった。



そしてやはり、猫としての本能で発情期に突入しているのか、名前はぎゅうっと縋るように細腕を首に回し、再び熱を帯びる肌を彼の胸板から腹筋へと擦り付けていく。



「りぞっとさん……わた、し、っん……ぁっ!」


「ッ、名前……ずいぶん大胆だな」



己の膝元へ下りてくる彼女の柔らかな内腿が、すでにズボンの中で肥大した焦熱を時折掠めるのか、少しばかり苦悶の表情を浮かべる男。

今の光景が傍から見ればどれほど官能的か、気付いていないのだろうか――トロンとした顔で体躯を上下させる恋人に、舌なめずりをしてしまいそうになりながら、この魅力的な姿を改めて目に焼き付けようとリゾットはしばらく不動を試みた。

艶めいた吐息が筋張った鎖骨を突き刺す。


ところが、彼女にとっては彼の判断が焦れったく感じられたらしい。



「〜〜っ(かぷっ)」



いつまでも動かない男に対してついに痺れを切らしたのか、首筋に狙いを定めて脈の行き交う皮膚へと少女は甘噛みを始めた。

だが、溢れる欲求に従うまま鋭い八重歯を立て、吸血してしまわないよう必死に堪えているところがまたいじらしい。


一方で、リゾットはその健気さにますます頬筋を弛ませるばかり。



「(……ダメだ可愛いすぎる。)名前、どうした?」


「ぁっ……あの、ごめんにゃさっ……ん、でも! ……もっと、っぁ……リゾット、さんに、っ……さわってほしく、て……、あんっ」


「!」


咎められる――そう勘違いしたのか、名前が慌てた様子で切なげな息と共に吐き出した言葉。


それが奇しくも、彼の理性にある最後のタガを外す。



「……まったく、イケない子猫だ」


「はぁっ、ぁ……りぞっと、さん?」



しかし、主導権を握らせるつもりはない――



「ふあっ!?」


にやりと口端を吊り上げた男は、おもむろに指先で常にヒクヒクと震える三角の耳を弄った。

すると、反応した産毛に一瞬遅れて、それまでくねくねと揺れていた尻尾が突然動作をやめる。


こちらを見つめるナミダで潤んだ彼女の双眸に味を占めたのか、さらに擽りを続けるリゾット。



「ふむ……猫の耳は左右別の動きをするのか」


「やっ、ぁ……耳触っちゃ、ぁっ、ん!」



一方、突然もたらされた快感に驚いたのか、少女は小さく首を横へ振った。

とは言え、劣情をひどく煽り立てるその動作に、彼が悪戯を終わらせるわけもなく。


「ぁっぁっ、あ……りぞっ、とさ……、っひゃん」


「名前、嫌だと言いながらオレの腕に尻尾を巻き付けてくるんだが……これはどういう意味なんだ?」


「! んっ……わ、たし知らにゃ、っぁ……」



相変わらず名前の腰へ回っていた逞しい腕には、なぜか黒い尻尾が。

それを指摘され、大きく見開かれる美しい眼。


慌てて素知らぬふりをしても、薄笑いを浮かべた男はゆっくりと口を彼女の赤くなった耳元へ寄せる。



「……知らない? そんなはずはないだろう」


「ひゃっ……ぁ、うっ……//////」



鼓膜を揺さぶるテノール。

自分を貫く赤い視線に観念したのか、少女はおずおずと「相手に対する親愛の意味らしい、です」とか細い声で呟いた。



「なるほど、な」



親愛。つまり、この状況で言えば行為が嫌ではない――意訳するならば≪続けてほしい≫。


ふっと柔らかくも質の悪い微笑をこぼしたリゾットは、己の膝上で縮こまる名前にそのまま背を向かせる。

さらに、首筋に顔を埋めつつ、しっかりと止められていたボタンを徐々に外していき、襟元から右手を侵入させた。



「!? やらっ、ぁ……いきにゃ、り……はふ、んっ……ダメ、ぇっ」


「……ふ、すでに乳首をこんなにも硬くさせておいてよく言う」


「ひぅっ! や、っ……さきっぽ……ん、クリクリしちゃ、っやぁ!」


「こうされるのが、名前は好きだろう?」



胸の頂きから芯を犯す背徳的な痺れ。押し寄せる快楽から目前の彼女が逃げないよう、腹部へ添えた左腕に力を強める。

そして、鼻を甘い香りのする黒髪に押し当て、ふと耳の裏を舌先でなぶれば――



「や、ぁんっ!?」


「ん? どうした、猫耳をピクピクと反応させて……まさかここも感じる場所になってしまったのか?」



違います――そう反論したくとも、少女の口から漏れるのは喘ぎ声のみ。



「ふむ、そうか……身体を重ねれば重ねるほど、名前の弱い箇所がどんどん増えていくな」


「ん、ぁっ……ちが、っ弱くにゃ、んか……ひぁあっ!?」


「これを弱いと言うんだ」



一つ一つ、丹念に教え込まれた快感。

否定しようとした途端、それらがどうしても顔を出す。



一方、「意地を張るところもまた可愛いな」と緩みそうな口元をなんとか引き締めながら、そっと彼女に囁きかけた。



「……ところで、下はどうなっているんだろうな」



ハッとこちらを振り返った恋人が抗うより先に軽々と抱き上げ、薄い生地のズボンをするりと脱がせる。

すると、床へと落とされた哀れなパジャマ。


少女は露になった陶器のように白い素足を閉じようとするも、すかさず股座へ這わされた大きな手のひらによってあっという間に開脚させられてしまった。

刹那、彼の指の腹が捉えた湿った感触。



「ふ……名前、下着越しにでもわかるぐらい、濡れているぞ」


「っ/////ぁっ、あんっ……はぁ、はぁっ……ぁ、言っちゃ、やぁっ!」


変えようのない事実を示され、どうすることもできずに閉口する。

だが、やはり胸中にある羞恥が邪魔をするのか、快感と恥じらいの狭間で身を捩ろうと動く名前を、男は紅潮する耳たぶを唇で食むことによって阻んだ。



「ひにゃっ!?」


「こら、逃げるな」


「ぁ、っ……りぞっ、とさ……ふっ、ん……」


「名前。快楽に身を委ねるんだ……もっとも、そんな可愛い顔をするのはオレの前だけにしてほしいが」


「! んん……っ/////」



苦笑を交えたリゾットの眼差し。

そこに秘められた≪願い≫に、抜けていく身体の力。


ようやく腹部から腕を退かせた彼は、するすると器用に巻きつく尻尾に微笑みつつ、彼女の瞼へそっとキスを贈った。


「いい子だ」



喉を優しく、まさに猫へするように撫でる。

さすがにゴロゴロと鳴りはしないが、少女はとても心地が良さそうだ。

しばらくそれを続けていた男は、不意にシミのできたショーツを左の指先で腿の付け根の方へとずらした。


すると、微かな冷気を帯びる秘部。

ところが、パクパクと小刻みに震えた入口からは、止めどなく蜜が溢れ出している。


「ぁっ……ん、見ちゃ、ぁ……らめ、ぇっ」


「ダメ、なのか? 何度もこうして見られているはずなんだがな……。ところで、名前はこの指で擦ってほしくて仕方がなさそうに赤くぽってりと腫れ上がったクリトリスと、今もヒクヒクと蠢いて愛液をこぼしている膣、どちらを攻め立てられるのが好きなんだ?」



思わぬ言葉攻め。

その音が三半規管を刺激した瞬間、かあっと頬を赤らめつつ名前は唇を開いた。



「……、……りょうほ、っがいいです……んっ」


「両方? ちゃんと言ってくれなければわからないぞ」


「!? ……あ、っう、その……〜〜っ突起も、にゃ……ナ、カも……さわって、ください……っ!」



羞恥との格闘の末、喉から出た自棄半分の叫び。




「――わかった」


「ひぁっ!? や、っぁ……そ、にゃっ、ぁ、ぁあああッ」


刹那、包皮を丁寧に剥かれ、親指で刺激を加えられる陰核。

一方で、クチュンといった水音と共に人差し指と中指の二本で弱い部分を攻められる膣内。


腕の中でふるふると小さく快楽に震える彼女に、再びリゾットは低く甘やかに囁きかける。



「どうだ? 両方を弄られる感覚は」


「ぁっぁっ、ん! はぁ……やらっ……りぞ、とさ……息、ふきかけにゃ、でぇっ!」


「ふ……この可愛い名前の尻尾が嬉しそうに揺れているんだ。これも気持ちいいんだろう?」



視界の隅で揺蕩う黒。

どれほど恥ずかしさで否定を喘いでも、その尻尾が正直に答えていた。

付いたものは仕方がない、と吹っ切れ始めていたそれが今は少しばかり憎たらしい。


だが、思考をそちらへ遣ったのも束の間――恥骨側の粘膜をクニクニと集中的に攻め立てられ、少女は躯体の芯を電撃となって駆け上がる感覚に酔いしれてしまう。



「ひゃんっ、んっ……ぁ、ぁあっ! わたし、ぁ、わた、ひっ……あん!」


そして、朦朧とする意識の奥底で悟ったのだろう。


名前は連続的に嬌声を上げながら、背後の彼を生理的なナミダによって潤んだ瞳で見上げる。



「っぁ、らめ……はげしくし、ちゃっ……はっ、はぁ……ぁ、んん」


「名前、気にするな。イっていいんだ」


「ぁ、っん……でも……ぁっぁっ、はぁっ……やらぁ、イっちゃ……ぁっ、ぁあああんッ!」



次の瞬間、彼女が絶頂に筋肉を弛緩させたと同時に、尿道からピュッと吹き出る半透明の体液。


しかし、そのまま与えられる更なる刺激に目を大きく瞠った。

肩口へ顎を乗せる恋人を一瞥しても、攻め立てる指は止まらないのだ。


「やっ、待って……ん、待っへ、ぇっ……りぞっとさ、っまたれちゃ……ぁ、また、っやぁああ!」



一層甲高い声と共に、液体がピュッピュッと連続で飛び出していく。

妖艶な吐息を空気に滲ませつつ、驚きと快感と羞恥でぱちくりとさせる深紅の瞳に対し、微かに痙攣する少女をぎゅうと抱きしめる男。



「……感じてくれたんだな?」


「! ……っ/////」



その問いに小さくではあるが、確かに頷いた名前。

おずおずとした素直な反応に、リゾットは喜心でますます顔を綻ばせた。


だが、これで終わりではない。

ここまで丹念に愛撫を続けていたが、自分もそろそろ限界に近い。



「はぁ、は……、にゃっ……!?」



突如持ち上げられた躯体。

彼女が驚く間もなくパステルカラーのショーツを剥ぎ取られたかと思えば、


「え、ぁ……っ」



ベッド上で四つん這いにさせられてしまった。

二人分の体重でスプリングが軋む。


そして、恥ずかしくてたまらない場所を好きな人からまじまじと見られている感覚に猫耳をぺしゃんとさせ、ちらちらと後ろへ目を向ける少女。



「名前……」


「あ、あの……えっと……りぞっと、さ……、ひぁっ!」


「ナカは物欲しそうにヒクついているな」



――欲しいか?

膣口に息を吹きかけられながら、情欲を潜ませたテノールが耳を掠めた。

心を襲うのは羞恥ばかりだと言うのに――名前は自ずと首を縦に振ってしまう。


それを確認した彼は不安げな彼女の頭を優しくなでてから、テラテラと愛液で濡れた秘境へと向き直った。



「ふ……先程イったばかりだと言うのに、秘部がビショビショだ」


「! ぁ、やら、っ……ふ、っん……ひぅ、言わにゃ、っでぇ//////」



内腿を伝っていく蜜を凝視していると、悦びに揺蕩う黒い尾が視界を過ぎる。

すると何を思ったのか、微笑んだ男はそれをそっと右手で掴んだ。



「――ひにゃんっ!?」


猫の尻尾は、痛覚が鋭いらしい。

自称愛猫家の丸坊主が話していた事実を思い出し、柔く握ったことが功を奏したのか、ますます恍惚とした表情で甘い声を上げる可愛い恋人。


元々存在した加虐欲が、さらに煽られていく。



「はっ、はぁ……りぞ、とさ、っ……ぁ、しっぽ、にぎ、ちゃ……っぁ、やらぁ……!」


「名前、本当にそうなのか? こうして上下に擦ると、秘部から愛液が溢れてくるんだが。……先を挿入してみよう」


「……ぇ、っ? にゃに……? ぁっ、らめ、っ――や、っぁああん!?」



小声で呟かれた後半部分に首をかしげた、次の瞬間だった。

クチュという生々しい音と共に、淫らな陰裂へ挿入されたのは――自身の脊髄から繋がっている黒い尻尾の先。



「ふ、ぁっ……はっ、はぁっ……やらっ、やらぁ、ぁ……ぁっぁっ、ぁ……ッ、あん……っ!」


膣口を拡げる先端。


思わぬ衝撃に、抜いてもらおうと少女が己の意思で動かしてみれば、余計に膣壁の弱点を掠め性感を喘いでしまう。

左右に振られる首と、前後に動かされる腰。

そのいやらしい姿にリゾットは、左手で尾を手にしながら名前の顔つきを一瞥して、おもむろに口角を上げた。



「まったく……淫らな顔をして、そんなに尻尾で攻め立てられるのがイイのか?」


「ぁっ、や……ふ、ぁ、ちがっ……あん、っ……ちが、のぉ!」


「違う? そうか、なら抜くことにしよう」


「ぇ……ん、っぁ、ぁああんッ」



引き抜かれる己の尻尾によって、もたらされる強い快感。


しかし、本当に≪欲しいモノ≫を彼女はまだ与えられていない。

一方、ますます誇張する自身に胸中で自嘲していた彼は、ふと視界を埋め尽くした光景――ゆらゆら、ゆらゆらと己を誘うように尻尾を揺蕩わせる少女の姿に薄く笑う。


「どうした? そんな風にオレを誘惑して」


「んっ……ひぁ、らって、ぁ……りぞっと、さんのが……っ早く……その……んっ、ほしく、て……っ」


「ッ! …………名前」



耳を劈いた金属音と布の擦れる音。

それらが消え、突如己を覆った温かな肌を背中で捉えながら、名前は小首をかしげた。



「? にゃん、ですか……? ぁっ/////」


「前々から言っているが、オレをそう煽らないでくれ。……今以上に激しくしてしまいそうだ」



耳元で紡がれた苦悶を窺わせる声色と共に、重なり合った鼓動。

添えられる、パンパンに張り詰めた男根。


今以上に激しい――その単語に彼女が少しばかり青ざめた刹那。



「ッ! ひぁっ、ぁああああ!?」


「くッ……、名前」


「んっ、ぁ……りぞ、とさ……ぁっ、ぁ……っあん!」



先程の尻尾とは比べ物にならないほど、愛撫によって熟れたナカを押し拡げていくひどく熱い性器。

少女の鼓膜を揺さぶる、男の色っぽい吐息。


そして、背後から守るようにしっかりと抱き込まれつつ、激しい律動が二人の間で繰り返されていく。

後背位は初めてだった。



「ぁっ、やら……はぁ、ん、っ……にゃ、か……っ変にゃ感じが、っぁっぁ……やぁあっ」


「変? なるほど……いつもと違う場所にオレのモノが当たるんだな?」


「ひぁっ!? ん、ふっ……ぁっあっ、ソコらめぇ……!」


「ッ……名前、ココがダメだと言うなら、なぜ締め付けてくるんだ」


教えてくれ――そう囁かれ、名前は白く霞む脳内で≪リゾットさんにはお見通しなんだ≫と悟る。


肉と肉とのぶつかりは速度を増し、グチュグチュ、パンパンと朝に似つかわしくない音が質素な室内を支配していた。

それらに耳ともう一つの耳を犯されながら、彼女はただただ啼き喘ぐ。



「ふ、ぁっ……あん、っ、ぁ……ひゃっ、ぁああ!」


「ッは、本当に猫の交尾のようだな……背後から覆い被さられながら腰を振って」


「! ちが、っ……や、ぁっぁっ、ぁあん、ッ」



先端までズルリと抜かれたかと思えば、根元まで勢いよく埋め込まれ――これでもかと言うほど悦びにうねる膣内。

さらに、左手で尻尾に触れ、右手ではパジャマ越しに乳房を弄りつつ、リゾットはふっと耳元で問いかける。



「……猫らしく鳴いてみるか?」


「っ、にゃ、く……? ぁっ、ん……っん、ふ、ひぁんっ」



穏やかな口調に込められた小さな命令。

トクンと嫌でも跳ねてしまう心臓。


そして、彼の指先で背筋を尾骨側から項へそっと撫ぜられた瞬間、少女は走り抜ける鋭い快感に白い喉を晒した。



「ぁ……ん、にゃ、ぁっ、や……はぁ、は……っにゃ、ぁああん!」


「ふ……悩ましい雌猫だ……鳴き声一つでオレを……、雄をこんなにも虜にして、ッ」


「ひぁっ……ふ、っん、はぁっ……りぞっ、とさ、ぁ、あん……ぐちゃぐちゃ、っふ……しにゃ、で、ぇ……!」



コンコンと子宮口が容赦なく突かれ、徐々に本能として子宮が膣側へ下りていく。

口端から溢れる唾液に気付くことなく、背を弓なりにさせる名前。


薄闇の中、男は揺れ動く黒髪の間を縫って、白い柔肌へといくつもの紅い華を散らした。

刹那、彼女が先端だけ愛液で濡れた尻尾をピクッと強張らせる。



「ぁっ、ひぅっ……ん、っぁっぁ……りぞ、とさ……っ、りぞっとさ、ぁッ……もう、っ!」


「名前、名前……、ッ」


「にゃんっ、ふ、ぁ……やっ、ぁっ、あっ……イっちゃ……イ、ひゃ……ぁっ、ぁあああん!」


「くッ……!」



上り詰めていた性感が弾け、肉襞をうねらせた途端、ドクリと爆ぜる焦熱を帯びた体液。


居心地は良いものの、このままというわけにはさすがに行かず――止まらない快感に眉をひそめつつ、リゾットはゆるゆると前後させた腰を静かに引こうとした。

が、突然性器を細い膣道にきゅっと締め付けられ、亀頭だけを残した状態で動きが止まる。


不思議に思った彼が後ろから覗き込めば、こちらを見据える熱に浮かされた深紅の瞳が。

やはりマタタビ効果だろうか。


「んっ、はぁっ、ぁっ……つづき、しにゃいん、っですか……?」


「…………いや、シよう」



部屋へ連れて来た当初の気遣いはどこへ行ったのやら。

だが、可憐で愛しくてたまらない恋人の誘いを断るほど、自分はそうできた男ではない――今度は視線を交わらせることのできる体位にしようと、ふっと微笑んだ男は少女を優しく抱き上げていた。



「っぁっぁ……りぞ、とさ……ぁっ、りぞっとさ……っふ、ぁ……ぁあッ」


「名前……ッ、く、出る……!」


「は、いっ……、っあん……も、おにゃか、いっぱ……っひぁ、ぁっ、ぁ……、ぁあああんッ!」



それから、冷ややかな笑みを浮かべたプロシュートの予想通り、二人の≪睡眠≫はかなり長丁場となったようだ。





そして、ひと眠りした名前が目覚めた時には、黒い耳と尻尾は忽然と消えていた、が。



「//////(わ、私……リゾットさんをあんな風にさ、誘ってしまうなんて。しかも欲しがっちゃうなんてっ……穴があったら入りたい……!)」


性交に対して常にある羞恥が今回は最高点に達したのか、彼女は過去の自身を思い返しては顔を赤らめるという、自己嫌悪に数日間ほど陥っていたらしい。

さらに。



「いやー……もうちょっと、せめてあと二日三日ぐらい名前にゃんこを拝めると思ったんだけどなあ……まさか≪半日でお腹いっぱい≫にさせちゃうなんて。さすがリーダー……さすが半端ない絶倫」


「……どういうことだ。そう言えば、ある条件がどうたらと言っていたが、それと関係があるのか?」



そう尋ねるリゾットに、にやりとする口元を隠そうともせず頷くメローネ。




「あはっ、ご名答! ほんのちょっとだけ、にゃんこになった名前が≪栄養たっぷり、夢たっぷりのミルク≫を満タンになるまで欲しがるよう、ちょこっと細工した≪お薬≫をリーダーが仕事でいなかった日の名前の夕飯に仕込ませてもらったのさ! だから、それなりの量のミルクを頂かないと戻らな――」


「『メタリカ』」


「ブベネッ!」



名前はおそらくこの話を聞いても、怒らないだろう(むしろ顔を真っ赤にするだろう)。

だからこそ自分が――彼は淡々と三度目になる制裁を部下へと加える。



「ハハッ、メローネ……お前も懲りねえなァ(ま、こいつのおかげで、名前のにゃんこ姿なんていいモン見させてもらったけどな)」


「はあ……オレはこいつをアジト出禁にすべきなのだろうか(……なるほど、そういうことか。だからあんなにもいやらしく普段以上に求めて…………、困った。思い出しただけで下半身が反応しそうだ)」



しかし、いつもの恥じらう姿はもちろんだが、自ら性交に臨む名前も、やはり≪イイ≫。

というより可愛い。可愛すぎる。メローネによって、という経過が気に入らないが、機会があればもう一度――と期待で胸を少なからず膨らませた。


すると、男のその思惑に何かを感じ、ビクッと肩を揺らす少女。



「ッ!(今、寒気が……)」



その後、しばらくアジト内では、気を抜いた途端すぐさまにやついてしまうリゾットと、その度に周りをきょろきょろと見渡す名前が目撃されたんだとか。



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