「ぁっ、そこ吸っちゃ……あんっ」
部屋に響き渡るリップ音。
されるがままの口内を念入りにねぶった男は、不意に少女を深い口付けから解放し、その白い陶器のような肌に紅い華を咲かせ始めた。
首筋から鎖骨に。
鎖骨からふるんと揺蕩う乳房に。
無防備な脇腹に。
両手を置くと、これからのことを予想しビクリと反応する細い腰に。
「名前……、ん」
ついに辿り着いた内腿を両手で掴み上げ、制止の声も聞かず名前の秘境を目前へと晒す。
すると、膣口からはすでにテラテラと光る蜜が溢れているではないか。
一方、カアッと頬を紅潮させた彼女は、あらゆる性感帯を攻められ力が入らないのか、ただただ視線をあらぬ方へ移すことしかできない。
「〜〜っ/////」
精悍な顔つきをカーテンの隙間から覗く月光が照らし、より彼特有の妖艶さを醸し出す。
トクトクと跳ねる心音。
腿にすら刻まれていく所有印。
乱れた息を空気に滲ませた少女は、快感に堪えるためキュッと噛み締めていた下唇を静かに解き、音を紡ぎ始めた。
「っ……リゾットさん、はぁっ、ん……いっぱい付けすぎ、です……!」
「すまない。んっ、だが……いつも不安になるんだ……ん」
「不安、ですか? っぁ、い、言ってる傍から、っ」
コントラストを魅せる、どこまでも透き通った白に散らばった赤。
その鬱血した痕に嫉妬心は消え、充足感で満たされていく。
もし――あくまで、もしもの話だが。
名前が誰か、他の男の元へ行くことがあれば、自分は言うまでもなく気が狂ってしまうのではないだろうか。
彼女にだけ発揮される独占欲の強さ。
そんな胸の内を察知したのか、名前は相変わらず己の体躯に釘付けなリゾットを見据え、
「……私は、今までもこれからも……リゾットさんしか見てません」
と、ぽつりと本音を呟いた。
「!」
当然、それを彼が聞き逃すはずがない。
深い赤を湛えた目を大きく見開いた男は小刻みに震える柔肌から唇を少しだけ離し、静かに口元を緩めた。
「本当に可愛いな、名前は」
固く閉ざしたオレの心に、こんなにも優しく入り込んでくれる。
吹き抜ける一陣の風。
自分を捕らえて離さない彼女の心。
想いを伝えるように内股へと口付けを落とせば、少女の顔はさらに赤くなった。
「////そん、なこと言わな、でくださッ……ひぁっ!」
「ふ……まだ何もしていないぞ?」
秘部の近くで声を放ったからだろう。
吐息までもが小陰唇を刺激し、開かれた襞をヒクつかせる。
それを理解しながら、ふっと口端を吊り上げたリゾットは指先で皮から陰核を剥き出しにした。
「こんなに赤くして……何か期待したのか? 名前」
「っ……ちが、違います! ぁっ、や……ぁああッ」
「ならこの止めどなく溢れてくる愛液も、違うのか?」
「ひぅ、っ……ん、はぁ、はぁっ……ぁっぁっ、やらっ、言わな、でぇ!」
焦らすように左右の皮膚、薄紅色の溝を舐め上げる。
そして、時折チロチロと肉芽を舌先で弄ると、弓なりに背を反らせた名前。
「ぁっ、いや、ソコ……ふ、ぁ、あっ……ひゃ、あんっ!」
幾度となくその手順を執拗に繰り返した彼は、不意に舌をクチュリと膣へ忍ばせた。
当然、先で内壁にある≪弱点≫を攻め立てられ、彼女はいやいやと首を横へ振りながら喘ぎ続ける。
その姿に、男は静かに笑み、ナカの粘膜を舐ったまま口を開いた。
「いつも思うが、名前のココは本当に狭いな……」
「は、ぁっ、はぁ……へ、っ? ぁ、やらっ、ひぁっ、ぁあ!」
「わかるか? この蜜壷がしっかりオレの性器を咥え込むんだ」
グチュグチュ
ジュブ
ぐるりと膣内を掻き乱されることで、ドプリと新たな蜜が入口から零れ、白いシーツにシミを作っていく。
そして、耳を犯す卑猥な水音が羞恥心を急き立てるのか、叫びに近い嬌声を上げる少女。
「リゾ、トさ、っぁ……らめ、っいじわるしちゃ、らめぇ……!」
「意地悪? ふむ……オレは事実を言ったまでなんだが」
「ぁっ、はぁっ、やだ……っああ! ふ、ぅっ、また……、っぞくぞ、くするのきちゃ……やぁあっ」
「……そろそろか」
≪絶頂≫を知らせるかのように収縮する膣壁。
それを捉えたリゾットが、あまりの快楽で腰を引こうとする名前の両手首を掴み、おもむろに肉質のある舌のスピードを速めた。
刹那――
「我慢するな……、果てるときは≪イく≫と言えばいい」
「は、ぁっぁっ、あっ……だめ、っ恥ずかし、のに……わた、し……っぁ……も、イっちゃ――ひぁ、ぁああああ……ッ!」
三半規管を劈いたテノール。
弛緩する筋肉。
痙攣する肢体。
達した後特有の疲労感に身を任せ、彼女はトロンとした深紅の瞳を天井へ向ける。
しかし、当然ながらこれで終わりではない。
「! っぁ……」
「名前、挿入れるぞ」
「っ//////」
陰裂へ宛てがわれた亀頭の熱に――少しばかり、だが確かに少女が首を縦へ振った。
そっと背中へ回された細く小さな両手。
名前のそんな仕草に誘発され、ゴクリと喉を上下させた彼は滾る己のモノをゆっくりと動かし、
「ひ、っ……ぁ、やっ、ぁああ!」
「くッ」
短くも苦しげな声と共に、ビクビクと蠢いたナカを押し拡げていく。
しばらくして、最奥まで埋め込まれた一物。
脈打つ感覚に囚われてしまう。
「……名前」
「ぁっ、ぁっ……はぁ、っん……リゾット、さん……、ひゃぁッ」
肌寒さも忘れ、視線を交わらせる二人。
根元から動かせば陰核に痺れが伝わるのか、ますます彼女は目を蕩けさせた。
「ふ、ずいぶんこの形と質量を覚えたようだな……肉襞が嬉しそうに絡み付いてくる。追い出そうともしない」
「っそ、れは……、!! や、ぁあっ……揺するの、いや、ぁっ!」
「嫌? ……抜こうとすれば、名残惜しそうにしておきながらよく言う」
「ぁ、っやら……ぁっ、あん、っ……ちが、のぉ……!」
わざとらしく耳元で囁く男。
それに対し、少女はあくまでも違うと否定を示す。
だが、快感に翻弄されると同時に、露にされていく心の奥の感情。
「っ、リゾットさ……ひぁ、っぁ」
「ん?」
「……すき……っリゾット、さん……すき、です……っ!」
拒否はいつしか、彼が伝えてくれたように自分も伝えたいと思っていた≪告白≫へと変わっていた。
「! 名前?」
その二文字の言葉に、リゾットの腰は勿論止まる。
「ぇ……、あっ!」
言ってしまった。
どうして今――無意識で紡ぎ出した自身に叱咤し、名前は慌てて口を噤んだ。
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