somma 〜35〜(↑の続き)

※コスプレ
※裏
※……いろいろしているので注意










名前は、ひどく戸惑っていた。

それは条件として、身体を重ねることが挙げられたからではない。





問題はむしろ、そのあとだった。



「り、リゾットさん……本当に着なくちゃいけませんか? ……この≪ナース服≫」



ようやく腕を解放され、クローゼットの前に立つ少女の手にあるのは、スカートの丈が短い白のナース服。

そのハンガーには、ご丁寧にも聴診器まで付いている。


コスプレの醍醐味の一つであるそれと、ベッドにいるリゾットを交互に見ては、頬を真っ赤に染める名前。

そもそも、彼はいつ、どうやってこれを購入したと言うのだろうか。



「名前のメイド服を見て以来、どうしても気になってな……通販で買ったんだ。それと、アジトの財政を気にしているのなら安心しろ。ホルマジオが毎月購入している酒の今月分が、その服に代わっただけだ」


「え!? ぜっ、全然安心できないじゃないですか!」



ホルマジオさん、ごめんなさい――嗜好品を奪われさぞかし落ち込んでいるであろう丸刈りの彼に心の中で謝りながら、天然なリゾットに対して叫ぶ。

しかし、そんな姿も≪可愛い、抱きしめたいetc.≫といった感情に変換されてしまう男は、真顔のまま早くしろと急かしてくる始末。


はあ、と深いため息をついた少女は、諦めて着替えを始めるのだった。









数分後。


「うう……あの制服より短い……すーすーします……!」


艶やかな黒髪の上に被せられたナースキャップ。

いわゆる≪絶対領域≫を守った黒いニーソックス。

両手で必死に隠そうとしているものの、隠しきれていない白い太腿。


涙目で訴えかける名前に、リゾットはとにかく鼻から出そうなメタリカを止めようと踏ん張っていた。


――窮屈そうな胸元……タイトなものにしてよかった……!


と、口にすれば二度と着てもらえなくなりそうな言葉を呟きながら。



「名前……とても似合っている。まさに、白衣の天使だな……」


「ううう、恥ずかしいです」


「ふ、恥ずかしがる必要はない。ほら、こっちへおいで」



ちょいちょいと手招きされ、下唇を噛みつつ少女がベッドへと近付く。

すると、男は彼にしては珍しく朗らかな笑みを浮かべて、とんでもないことを言い出した。


「せっかくだ……オレの腹に跨って、診察してみてくれないか」


「!? 〜〜っわかりました!」



下着が露になってしまわないよう配慮しながら、先程の位置へと戻る。

だが、診察と言われても、具体的に何をすればいいのかわからない。


羞恥から早く抜け出したいあまりか、名前は悩んだ挙句――




「お、お体の具合は……いかがですか?」


と、それらしきこと――知らぬ間に目下の男を刺激するような言葉を吐いてしまったのである。

一方、可愛い彼女にそう尋ねられたリゾットが、大人しく「大丈夫」と答えるはずがない。



「そう、だな……心臓が少し痛むんだ」


「し、心臓!?」


「ああ。だから、聴診してみてくれないか」



つまり、首にかかった聴診器を使えということ。

深い情欲を帯びた赤の目に囚われながら、おずおずとイヤーピースを耳に当てる。


そして――



「失礼、します……っ」


一つ一つ、彼の寝間着のボタンを外し、鍛え抜かれた胸元にそっと丸い部分――チェストピースを置いた。



ドクドク、と想像したより速い鼓動。

不思議に思い男を一瞥すれば、返ってくるのは小さな笑み。



「名前を前にすると、いつもこうだ」


「!」


刹那、高鳴るのは名前の心臓。

心臓に悪いのはどちらだ。


そんな照れ隠しをしながら、少女が聴診器をリゾットから離そうとした――そのとき。


「ひゃっ!?」


スカートとニーソの間を這う温かな手に、慌てて彼女はそれを振り返り掴む。



「何するんですか!?」


「聞かなくてもわかるだろう……胸が苦しそうだな」


「そ、そんなのわからな……やあっ」



必死に阻んでいると、もう片方の手で胸を揉みしだかれてしまう。

グニグニと容易く形が変えられる服越しの乳房。

嫌でも震える名前の肢体。


止めようにも、手と力が足りない。


徐々に熱のこもり始める吐息と浮かび上がる色情。

それを下から見上げて、ふっと微笑をこぼしたリゾットは太腿に這わしていた手で、傍にある短いスカートの中へと侵入する。


「!? はぁ、はッ……ぁっ、そこは……っあん」


「ふ、安心してくれ。オレはただ、下着をずらすだけだ」


「っ、え……?」


「……名前、次はオレの顔の上に跨れるな?」


「!?!?」



何を言い出すのだ、この人は。

少しばかり現れていた興奮も消え、ただ動揺する少女。


しかし、彼はそれも気にしないと言うかのように、胸への愛撫を再開し、ナース服で締まった腰のラインをなで始める。


「っ! ふ、ぁ……ッ」


「患者の願い、聞いてくれるんだろう?」



明らかに勘違いをしている――そう言いたくても、男がもたらす快感は容赦なく名前の本能を攻め立てるばかり。


「はっ、はぁ……ん、ぁっ……」


仕方なく、本当に仕方なく膝立ちになった彼女は、自ら彼の上でごそごそと下着を取り去る。

ポトリ、とベッドの傍に落ちるパステルカラーのショーツ。

露わになった部分が空気の冷たさを感じビクリとしてしまうが、固まっていても何も変わらないと恐る恐る前へ進み――ベッドの鉄柵を握った。

そして、いまだに通気性に慣れない内腿をリゾットの顔へ近付けようとした、が。



「ッ、〜〜っ」


なかなか身体はそこから動こうとしない。

脳を掠めるのは羞恥と理性。


だが、このままでいても彼は何かをし始めるだろう――期待の込められた赤がちらりと視界に映った瞬間、少女は半分自棄で小刻みに震える下半身を移動させた。


「/////」


晒された桃色に色づく秘部。

ヒクヒクと目の前で揺れるそれに、誘われるがまま彼は顔を寄せ――





「ぁ、っぁああ!」


すでに潤いかけた蜜壺へと舌を差し込み、甘い果実を吸い上げるように溢れ出す愛液を貪る。


「っぁ、やあ……っは、はぁ……そんな、吸わな、でぇ……っ!」



クチュリ

ジュル


自分の陰部から出ているとは思いたくない、官能的な水音。

膣壁を柔らかくぬめりとした舌で掻き回され、自然といつもより服で締め付けられた腰は揺れてしまう。



「ふっ……ずいぶんやらしいナースだな……仕事中だと言うのに、快楽に耽って」


「ひぁあっ、あっ……そこで、しゃべっちゃ、ッやああ!」


ふるんと揺蕩う胸部。

反らされる白い喉。

悲鳴に似た嬌声と共に、淫靡な香りがより一層強くリゾットの鼻を擽る。

もちろん、それらに煽られるのは、彼の独占欲を交えた加虐心。



「ん? どうした、名前。むしろ、オレの口元に秘部を擦り付けているじゃないか……陰核も、こんなに赤くして……」


「ぁっ、はぁ、はぁっ……やら、ッ……つつくの、ダメぇ!」


「ふむ……なら、噛むのは構わないな?」


「っあああ!?」



ぽってりと腫れていた突起に弱い――だが鋭い刺激が走った瞬間、足先から頭上へ駆け巡る強い快感。

そして、荒くなる呼吸と激しく収縮する筋肉。

この全身を――特に骨盤を焚き付ける痺れに、彼女はようやく己が≪イった≫のだと自覚した。



「は、ぁっ、はぁ、ッ……」


ビクリビクリと襲い掛かる痙攣に堪えながら、柵を握る手に込められる力。

しかし、名前のひどく蕩け、恍惚とした表情を目にしただけで満足しないのが、この男リゾットである。



「名前……次はオレだ」


「え、っ?」



わけもわからず、ただ促されるまま腰を奮い立たせて、男の顔から足を退ける少女。

そのとき見えた彼の口の周りを濡らす扇情的な液体に、正体が予想できた名前は慌てて視線をそらしながら、ベッドの壁際に寄る。

ところが、そうして自分から遠ざかろうとする彼女の右手首をリゾットは掴み――





「きゃ!?」


ほぼ強引に、服越しですら熱さがわかる一物を握らせた。



――こ、これって……そういうこと……!?


水が欲しい金魚のように口をパクパクとさせる名前。

彼女も一応、成人してから年月が経っている。

だから、世の中にはそういった行為があると知ってはいた、が。



まさか自分がやることになろうとは、思ってもみなかった。


「あ、あの……えと」


「……オレも、ここ数日名前に触れられなくて結構(いや、とてつもなく)参っているんだ……シてくれないか?」


「!」


疑問形で言葉を口にしておきつつも、向けられるのは有無を言わせぬ瞳。

性交において、彼はいつもそうだ。

自分に拒否権はない。



「で、でもっ……私、方法が……っ」


「大丈夫……オレの言うとおりにすればいい。まずは、服から性器を出してみろ」


「っ……は、い」



恐る恐るズボンに手を伸ばし、それを下着と一緒に引き下げる。


「ひ……っ」


天井を向くグロテスクなモノ。

顔を真っ赤にしながら息をのむ名前の初々しさに、リゾットの興奮も掻き立てられる。



「次は、その根元を握ってみてくれ……」


「ッ」


「いい子だ。そのまま、先端に口を付けてみろ」



熱く、脈打っている性器をそっと手で包み、言いつけに従うまま少女は顔を近付けた。

そして――



「んっ、ふ……ぅ」


吐息を漏らす唇で一物のくびれの上、すなわち亀頭部分を吸い始める。


「ッ、く」


温かな口腔。

耳に届いた男の苦しげな、しかし艶やかな声に、思わず嬉しくなってしまう名前。


――手も、動かしてみよう、かな。


自然と上下へスライドされる手のひら。


――あ、少し大きくなった……。



「っん、んん……ッ」


「は、ッ……名前……」



途切れ途切れに呼ばれる自分の名前。

いつの間にか、懸命に舌を使い出していた彼女は、そのビクリと拍動するモノを咥えこんだまま口を開く。



「ふ、っぅ……リゾットさ、ん……きもひい、れすか?」


「!? そこで、喋るな……ッく」



交わる欲情のこもった互いの視線。

ペロペロ、と自分が言うまでもなく優しく舐め始める少女に、リゾットは少し慌て気味でその己の性器を握る手を掴んだ。


「……ん、っ?」


「名前……もう十分だ」


「? れも……ぁっ」



不思議そうに首をかしげた名前の腰をやらしくなで、そっと唇を離させる。

彼には、もう一つしようと考えていることがあった。



「オレは今、動いてはいけないらしいからな……名前が上から挿入れてくれ」


「!」


「メイド服で交わったときと同じようなものだ。できるな?」


手を引かれ、再び男の腰辺りで膝立ちになる少女。

少しでも足の力を緩めれば、すぐに先を飲み込んでしまいそうな位置。

時折掠める熱に、じくじくと疼き出す子宮。



「〜〜っ」


溝がはっきりと刻まれた腹筋。

それに両手を置いた名前は、下唇を噛みながら徐々に細腰を落とし――



「ぁっ、あっ……入っちゃ……ッやあ!」


小さく狭い膣口でリゾットのモノを咥え込み始めた。

ドプリと溢れ出す愛液。


「ッ……名前、自分の好きなように動いてみるといい」


「はぁっ、はっ……リゾットさ、リゾットさん……っ!」



まざまざと捉えざるをえない異物感に、より蠢く肉襞。

生々しい水音に重なる、肉が肉を打ち付ける音。

激しく揺れる豊満なバスト。

高まる熱に侵され、トロンとした顔。

押し寄せる快感のあまり気付いていないのか、捲れ上がった白いスカートのせいでこちらから丸見えな、結合部。


そのなんと歪で、淫猥なことか。



「っ! はぁ……っど、して、おっきく……ぁああっ」


「くッ……自覚、していないのか……患者を快楽で弄んで、とんだ淫乱ナースだな」


「ひぁ、っあ、あッ……ごめ、なさ……っごめ、なさ、ぁあ!」


不条理だとわかっているのに、嬌声と共に飛び出す謝罪の言葉と、決して止まりはしない腰の動き。

ジュブ、グチュリ


自然と、己のイイところに先端を擦らせてしまっているのだ。

だが、上下運動を繰り返したことでクラリとし始めた少女の脳では、自覚しろと言われても困難なのだろう。



「ぁっ、はッ……リゾッ、トさ……っわたし、わたし、ぃ……!」


「ッ、オレも、そろそろ…………く、ッ」


「あ、っぁ、来ちゃ……ん、はぁ、来ちゃ……っ、ひぁあああっ!!」



跳ねる躯体。

ナカを押し拡げる肉棒。

いつの間にか掴まれていたくびれ。

弾ける快感と共にドクリと注がれるモノ。

無骨な手で腰を固定されたまま、名前は最奥で溢れ出る熱い白濁液の存在をひしひしと感じていた。










「名前……とても可愛いかったぞ(満足げ)」


「/////もう、二度と着たくありません……」



それから、よしよしと自分の頭をなでてくる彼に対し、少女はいまだ赤面した状態でベッドに横になっていた。

一方、リゾットは鮮明に残る性交中の光景を脳内で何度も再生し、ただにやけるばかり。

そして、何を思ったのか不意に彼がぽつりと呟く。


「毎回思うことだが……名前は≪虐められるのが好き≫なのかもしれないな」


「はい? ……何言ってるんですか!」


当然、その言葉に名前は目を剥いて反応した。

ところが、羞恥と怒りの交った表情でさえ≪いじらしい、愛らしいetc.≫としか考えられない――もはや重症な男は淡々と話し続ける。



「いや、あの涙目で首を横に振る姿や、腰を揺らしながらオレに謝ってくる姿を想像すると……興奮してしまうんだ。もちろん、名前限定だがな」


「(呆然)……それはただ、リゾットさんが≪S≫なだけです! あと、私だって……相手がリゾットさんだから、あんな風に……その……、やらしくなっちゃうんですよっ?」


「!?」



なんという爆弾発言。

それが脳髄に達した途端、言い放ったと同時に恥ずかしかったのか、くるりと自分へ背を向けようとする少女の肩を掴み――




ドサッ


まるでお約束と言うかのように、シーツに縫い付けた。

深紅の瞳をただぱちくりとする彼女を見下ろしつつ、頬を緩ませた彼はおもむろに口を開く。



「先程まで、ナースが懸命に働いてくれた。つまり……今度は、患者がお礼をする番だろう?」


「え……っまさか、この展開は……!?」


「ご想像通りだ」


「なっ! つ、疲れたら眠るって、リゾットさん言ってたじゃないですか……ひゃん!」


「残念だが、まだ全然疲れていない。むしろ、かなり元気になってしまった」


「!? そんな、っぁ……やあっ」



部屋に再び響く、小さな喘ぎ声。

そもそも、リゾットが一度の性交で≪疲れて眠る≫という概念に達するはずもなく。



「名前……」


「はぁ、はっ……も、らめ……ん、っ」



条件を出したときから彼は≪そのつもり≫だった――名前がそれを理解したのは数時間後、ようやく教え込まれた快感から解放され、ナース服のまま眠りにつく直前のことだった。



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