期待の手


ご飯を終え、お風呂も済んで先に布団に入ってうとうとしていると、宇佐美が邪魔と言わんばかりに私の体を押しのけ中に入ってきた。

「布団二枚引いてるんだからそっち入ったらいいじゃん!」
「隣の芝生は青いって言うでしょ」

しれっと私の布団に収まる宇佐美を睨みつけても素知らぬ顔。しょうがない、布団を移動しようとするとぐっと体を引き寄せられた。

「わっ、なに」
「ねえ、胸でかくなった?」

そう言いながら無遠慮に胸を揉みしだかれる。普通に痛くて宇佐美の手を引き離そうとするも、力では叶わない。

「もう!やめてってば!」
「これは僕のおかげじゃない?感謝してほしいなあ」

にやにやしながらこちらを見やる宇佐美にイラついて、咄嗟に言葉が出た。

「しっ、下着新しいから!」
「は?」

そう、最近友達とショッピングした時に下着屋さんに行ったのだ。ついでにサイズを測ってもらうとまあびっくり、サイズが上がっていた。それを機に新しく下着を新調したのだ。それもすっごく盛れるタイプのを。急な私の告白にら力の緩んだ宇佐美の手を胸から離す。

「友達に選んでもらったの!すっごく盛れるんだよ!」
「へーえ」

さして興味のなさそうな返事をしながら、宇佐美の顔は胸元に釘付けになっていた。

「何色?」
「……えっと、ピンク」
「ふーん、可愛いやつ?」
「うん、可愛いよ…?」

可愛いと言った瞬間宇佐美が上に乗りかかってきて、思いっきり服を捲り上げられた。

「っちょっとなにして「友達センスいいじゃん」」

宇佐美は私の両手を上にあげ片手で止めおくと、服が捲れあがって下着が丸見えになった私の胸に顔を埋めた。

「伊織は今の胸のサイズじゃまだ足りない?」
「…え?」
「だってそういう事でしょ。もっと大きくしたいってことじゃん」
「いや、別に」
「そうならそうと言ってくれればいいのに、協力するからさ」

そう言いながら宇佐美はホックに手をかけ、片手で今日に外してしまった。これはやばい、不用意にも宇佐美のスイッチを入れてしまったようだ。抵抗しようと慌てて口を開く。

「あっ明日早いんだっ!」
「明日は休みだって言ってたの、自分で忘れちゃったの?ほんっとお馬鹿さん。もう諦めなよ」

これ以上の抵抗は無駄だと悟った私が力を抜いたのが分かったのか、宇佐美は私の手首から手を離して、両手に手を絡めてきた。

「僕に見せるために可愛いのにしたんだよね」
「…」
「可愛がってあげるからさ」
「…優しくしてくれる?」
「それは無理」

もうどうにでもして下さいと小声で呟くと、仰せの通りにと宇佐美がにやりと笑った。




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