残った熱*


 朝起きて風呂に入ろうと服をまとめる。総悟はまだ帰ってきていないようだった。脱衣所で服を脱ぐと、寒くて体が無意識に縮こまる。ささっと入ってしまおう。そう思って風呂の戸を開けた瞬間だった。脱衣所のドアがガバッと空いて慌てて振り向くと、今帰ったらしい総悟とバッチリ目があった。しかも総悟は私と同じく全裸。そのまま2.3秒見つめ合う。

「「…」」
「わあああああああお帰り総悟早く出て行っ、むぐっ」
「俺も入りまさァ」

口をぐっと抑えられて、洗面台に体を押し付けられる。いや、お風呂入るんじゃなかったっけ。

「総悟お風呂は」
「ヤってから、入るんでィ」

楽しそうに後ろから体を密着させてくる総悟。こんな状況なのに、触れた所から伝わる体温がとても気持ちいい。抵抗する気にもなれず、されるがままでいると総悟が耳元に口を寄せてきた。

「随分と余裕じゃあねェですか」
「…総悟温かいからぎゅってして」

突然の申し出に一瞬戸惑ったようだったが、しばらくして戸惑いがちに腰に手が回された。いつも天の邪鬼で滅多に人の言うことなんて聞きやしない総悟が、珍しく言うことを聞いてくれたなと思っていたら、段々と腰にあった手が上の方に上がってくる。

「…総悟さん」
「なんでィ」

いつの間にか上の方まできていた手は、予想通りに胸をわしづかんだ。

「うぎゃっ!」
「色気の無ェ声」

総悟は楽しそうに胸を触っている。やわやわと形を変える自分の胸をぼうっと眺めていると、急に頂きをつねられた。急に走った快楽に身を捩る。それと同時に熱量を持った総悟のものが私の下半身に押し当てられた。

「総悟さーん、何か当たってますよ〜。ひえっ」
「Do you want anything hot to eat?」
「中学英語を汚さないで」

くすくす笑う総悟はまた私をぎゅっと抱きしめる。ほっと一息ついたのもつかの間、いきなり下半身に手を伸ばし指を挿し込んできた。びっくりして中がギュッと収縮する。

「あっ!…ちょっと、待ってっ!!!」
「あーこんだけとろとろなら今すぐぶっ刺しても大丈夫そうでィ」

物騒な言葉を漏らした総悟の手を取り払おうとするも、全く歯が立たず奥の方への侵入を許してしまった。

「ぅあぁっ、総悟っ!!!!」
「なんでェ」
「もう…はっ、早く、抜いて…」
「…うわ、えっろ」

洗面台の鏡越しに総悟の顔を見ると、向こうもこちらの目線に気がついたのか見せつけるように耳を喰まれる。総悟に触られる所全てがうずいてしょうがない。高ぶる快楽に体が痙攣を始める。絶頂に近づいているのを悟ったのか、膣の中を暫くまさぐっていた総悟の指は、粘着質な音とともに引き抜かれた。

「先にイきそうになるなんて、悪い女」

崩れ落ちそうになる体を強い力で抱きとめられ、洗面台に手を付かされる。火照った体に冷たいシンクが心地良い。

「挿れてほしくて堪んねェって顔してやすぜ」
「ん、っう…あぁ」
「なんて言ってんのか分かんねーや」
「んぅ…総、悟…」
「俺ももう我慢できそうにないんで、挿れちまっても良いですかィ」

総悟は私の返事を待たずに、入り口に熱いものを充てがった。ぬるぬると擦られて太ももが勝手に擦り合わさる。

「馬鹿っ、締めんじゃねぇや」

さっきまで余裕綽々だった総悟の焦った声に笑みが漏れた。それが癪に障ったのか、入り口で擦っていたはずの総悟のもので一気に奥まで突き上げられる。

「あああっ、んぅ…あっああ、いやっ」
「嫌じゃねーだろ、んなに善いんでィ?」
「…んぅ」

素直に認めるのが嫌で、何も言わないでいると突然肉芽を抓られて思わず仰け反る。絶頂がまた近くなってきたのか、体が無意識に震える。

「んああっあっ…き、きもちぃいっ」
「そうそうっ、そーやって、素直に言やいいんでさァ」

そういう総悟の声もだんだん切羽詰まってきたようで、背中にかかる体重が重くなってきた。

「っ総悟…」
「イきたいならイきなせェ、俺も、もう…」

お腹をギュッと押さえられて一気に感度が高まる。その瞬間絶頂に達した。口から悲鳴ともうめき声ともつかないような声が漏れる。総悟もその後、二三回腰を打ち付けたあと達したようで、思いっきり体重を掛けられて二人ともども崩れ落ちた。

「はぁっ、はぁ、総悟、」
「ん?」
「…お風呂、冷めちゃったかも」

意外な言葉に目を丸くした総悟だったが、ニヤッと笑って口を開いた。

「冷てぇほうが寄り添えていいだろうがィ」

腰を労るように優しく腕が回ってきて、体が持ち上がった。そのまま浴槽に二人揃って入る。予想通り少し冷めたお湯の中で自然と体を寄せ合った。

「さて、」
「…ん?」
「二回戦目といきやしょうか」

私に跨がりながら笑う総悟の顔は素晴らしく爽やかで、私は深い溜め息をつく他無かった。



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