まぎれもなく英雄で/トウヤ
『わ、私のポケモン、返してっ!』
「N様のいうとおりに、こいつはモンスターボールから解き放つ。ポケモンもきっとそれを望んでいる。なぜわからない!!」
私の、私のポケモン。
お父さんからもらった、私の家族。
「―――わからないね。くだらない。」
『…なつかしいなぁ。覚えてる?』
「…覚えてるわけないじゃん、そんな前のこと。」
今私の隣にいるのは、まぎれもない私の英雄。
そんな前のことでもないんだけどなぁ…と乾いた笑みをこぼす。
『はぁ、ホントに夢みたいだよ。トウヤ君が私のそばにいるなんて。』
「へぇ、そんなに意外?俺はちゃんと自分の意志でいるんだけどな。」
トウヤ君といると、こころがざわついて、温かくなるような、不思議な感覚につつまれる。
これが恋だと気づいたのはいつ頃だったっけ。
『…これからも、よろしくね。』
「なに急にあらたまって。よろしくしないわけないじゃん。」
君といるだけで満たされて、自然と微笑むような。
「……ちゃんと、覚えてるにきまってるじゃん。」
『ん?何か言った?』
「…いや、別に。
…これからもよろしく、ナマエ。」
これを、愛と呼ぶのでしょうか。