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退屈だ。
少年は空を飛びながらため息をついた。
もう何度リーグ制覇をしただろう?
自分より強い奴なんていなくて、イッシュ最強なんていわれているけれど。
つまり張り合いがないわけで。
「…サザンドラ、ありがとう。」
ボールにポケモンを戻す。
久しぶりに戻ってきたカノコタウンには、面白みのない季節の変化だけが訪れていた。
アララギ博士に挨拶して、ベルに会って、
…会いたくないけど、トウコにも顔を出さなければならないのだろう。
ひとつ、大きなため息をついた。
「退屈だなぁ…。」
少年は深くキャップをかぶりなおした。
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