大好きな君へ。 | ナノ




ちゅん、ポー…



遠くでヤヤコマたちのさえずる声が聞こえた




本日、晴天なり。




そんな気持ちのいい朝に、ベッドを見つめて、困り果てている少女が一人。





『気持ちよく寝やがってうらやましい…』


ウミネの見つめる先には、寝床を完璧に占領するイーブイがいた。



今は朝といえど、もう九時過ぎだ。


しかも今日は旅立つ日、しっかり気合を入れて起きたというのに。



『いつまで寝るの―…』


この無気力な相棒がいつまでも寝ているのだ。




もちろん何度も起こそうと試みたのだが、もはや起きる兆しもない



『お手伝い、遅くなるかもなあ…』


ウミネが旅に出ようとする理由は、ポケモンの生態観察をするためだ。


でもまずはプラターヌ博士のところにいかなければならない。



もぞ…


小さく伸び、イーブイこと零は目を開けた。



『零!やっと起きた!!』


ウミネをちらりと見ると、零はふかふかな尻尾をはたきつけた




『もご!?』


〈人の安眠妨害するなんて、いい度胸じゃん〉



いや、キミは私の旅立ちを邪魔してるけどね!!




…といいたいところをぐっとこらえ、説得開始。


『ねえ零、今日何の日かさすがにわかるよね?』


〈ウミネと僕が旅に出る日だけど〉


それが何か?とでも言いたげなだるイーブイこと零。



『だ、だからそろそろ出かけたいなあ…なんて』



〈…抱っこしてくれるんならいいよ〉




抱っこ?そんなのでいいのかい君は



『おっけーまかせなよっ!』


なるべく刺激を与えないように零を抱き上げる。

頭を軽くなでてやると、零は気持ちよさそうに目をつぶった。



〈ううん……おやすみ…〉


『えええ結局寝るの!?』



どうすればもっと乗り気になってくれるのだろうかこのイーブイは。



(でも…まあ、いいか)


こんな関係がずっと続いてきた。



だから、変わらないと思っていたんだ。




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