大好きな君へ。 | ナノ




『開けて〜…』


コンコン、と扉を数回ノックする。


奥から声が聞こえないあたり、話は終わったのだろう。



「はーい、お帰りウミネちゃん!」


…あれ、部屋間違えたかな?


と思っていると、目の前の美少年君はにこりと笑った。



「ね、どう?僕も人になれるんだ!」


『その声…雲英?わあ、雲英だあ!!』



ふんわりした金メッシュが入った少年は雲英だったらしい。



…そういえば


『人になっても、大丈夫なの?』


嫌じゃない?と聞くと、雲英は首を振った。



「ううん、ウミネちゃんと一緒の姿になれたって思うと、うれしいよ!」


き、雲英、ほんとに…



『ほんとにいい子だねえええ!!』


「ウミネちゃん…?」


どっかのイーブイにも見習ってほしいわ!




ふと私は気づいた。



『おなか…すいた。』


今日はいろいろなことがあって、もうおなかもペコペコだ。



「僕もおなかすいた!あ、ウミネちゃんは料理できるの?」


私はまあできるほうだ。実は零のほうがうまいけど。


『うん、まあ人並みにはね。』


「へえ、今度僕にも教えて!」



雲英と会話をしながらリビングに行く。


ソファーにはもちろん零が。



『まったく…このだるイーブイはっ。』


ご飯も少食だし、寝てばっかだし、だから小さいんじゃないの?


と心の中で零の気にしていることをつぶやく。




「零って寝てる時も無表情なんだね…」


そういわれて、私は零の顔を覗き込んだ。


…いつもよりは楽しそうな顔してるけどなあ。



『そうかな?ちょっと幸せそうな顔してない?』


「こ、これ幸せそうな顔なの…?」


どうやら雲英には分らないらしい。



『うーん、まあいいや、今日食堂で食べようか!』


「ここの食堂?でも零は?」


零なんて起こさなくていいの。起こすと怒るし。



『零はどうせあんまり食べないし。ポケセンの食堂はトレーナーならタダだから!』



そう、ポケセンとはトレーナーの聖地。ジョーイさん神。




雲英と私がご飯から帰ってきても、零は寝ていました。


…どんだけ寝るのよ。




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