大好きな君へ。 | ナノ




〈…なんで?〉


訳が分からないという風にコリンク君は私を見た。



〈なんでここまで言われても僕のこと信じようとするの…?〉



なんで、かぁ…。


そんなの



『私は、ポケモンが大好きだから、かな。』



この世に絶対悪なポケモンなんていない。



だから、大好きなんだ。



〈…そうなんだ。〉



私を見つめたまま何かを感じたようにコリンク君はつぶやいた。



〈感じる…あったかい、気持ち。〉


『感じる?』



私が気になったことを聞くと、コリンク君はぽつりと話し始めた。





〈僕は、ちょっと変わったポケモンだったんだ。〉




〜・〜・〜・〜・〜・〜


僕は、こことは別の地方で生まれて、育てられて、とあるトレーナーにゲットされた。



彼女はマユミといって、ブリーダー志望の女の子だった。


僕には、生まれつき、他人の心を感じ取る、不思議な力を持っていた。




彼女の心は冷めきっていたんだ。



彼女のパートナーだったナゾノクサが、僕のほうを見てこういったの。



〈……あーあ、可哀そうに。〉




そこからは地獄だった。


毎日毎日きつい修行と、ブリーダーのポケモンにふさわしくなるためのレッスン。




僕はもう逃げ出したくて仕方なかった。




マユミのすきをついて、何匹かのポケモンと逃げ出したんだ。




マユミは追いかけてきた。ナゾノクサと一緒に。


仲間たちは次々に眠らされて、たたかれて。


気づいたら僕だけになっていて、ボロボロの傷ついた体で。



いつかマユミの追手が来ると思って、とっさに船に乗り込んだ。



こっちに来て、場所もわからなくなって、おなかもすいて…



〜・〜・〜・〜・〜・〜



〈…気づいたらここにいたんだ〉



…いろいろと思うところはある。



でもまず言っておきたいのは……



『マユミさんていう人、ブリーダーにむいてないね!』


〈そこ!?〉



うん、最悪だねそのマユミさんていう人。



『コリンク君…』


〈…なに?同情なんていらないからね。〉



うん、確かに同情もするけれど。



『心読めるなんてすごすぎ!やっば!』



〈…君、ホントに話聞いてたの?〉


聞いてたよ!心外な!



…帰る場所がないんだよね、コリンク君は。



だったら。



『私と一緒に来ないかな?きっと楽しいよっ!』



私が居場所になってあげたい。




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