いた。
コリンク君は、ポケモンセンターの奥のベッドで……
……震えて、る?
私は警戒されないように、ゆっくりと近づいた。
『ね、ねえねえ君、大丈夫だった?』
なるべく怯えられないように、優しく。
私が話しかけてびっくりしたのか、コリンク君は周りを見渡した。
『君だよ、コリンク…君だよね?』
びくりと肩を震わせる。
〈に、人間…〉
今にも泣きだしそうな声だった。
『…あのね、君は森で倒れてたんだよ。覚えてないかな?』
私は、ジョーイさんから、この地方でコリンクは珍しいと聞かされていた。
もしかしたら、海を渡ってきてしまったのかもしれない。
〈…知らないよ、教えたくないもん〉
知らないのに教えたくない?なんだそりゃ。
『私は、ただ君を元の場所に送ってあげたいだけなんだ。』
いまだに調子が悪そうなコリンク君を、一人で帰すわけにはならない。
〈…君もどうせ僕のことなんか考えないんだよね?〉
考えない?ポケモンのことを?
…そんなこと、するはずないでしょ。
零も、コリンク君も、大事な命ある生き物だ。
『…どうして、そんなこと言うの?』
私も、ポケモンに救われたんだ。
『ポケモンは、道具でもなんでもないんだよ。』
考えるよ。いちばんに。
〈……そんなの、信じられないもん〉
コリンク君からは、人間を敵視しているようなオーラが感じられる。
『…信じなくても、いいよ。』
君が辛いなら、それでいい。
『私が信じればいいんだよね?君の分まで。』
君の辛いこと、受け止めるよ、一緒に。
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