〈……バカじゃないの〉
はいでました、零のバカコール。
…朝起きていきなりバカとかひどくない?
『だ、だって放っておけないし…』
零との口論の争点は、もちろんこのポケモンだ。
このこはいつ目が覚めるんだろうか。
〈はあ…どうするのさ、こいつ連れて森を抜けるつもり?〉
『え、だめなの?』
そのつもりだったんだけど、というと、零からは大きなため息が。
〈…あのね、ぼろぼろのポケモンと寝不足の主とかほんと勘弁してほしいんだけど。〉
…たしかに、野生のポケモンが出てきても今の状態じゃあ素早く指示なんてできない。
………さ、最終手段だ…!!
『れ、零!!お願いがあるんだけど!』
〈…何、嫌な予感しかしないんだけど〉
「で、こういうこと?」
『こういうこと!』
私が零にお願いしたのは、擬人化して傷ついたポケモンを運んでほしい、ということ。
ここら辺のポケモンなら、擬人化していても零だったら勝てるはずだ。
「はあ…なんで僕がこんな目に…」
『はいはい文句言わないの!』
次の目的地はハクダンシティ。
そこにはポケモンセンターもあるはずだから、このこの回復もできるだろう。
「…ウミネ、あそこ」
零が指さすところを見ると、光が漏れているのがわかった。
…もしかすると、あれは…!!
『で、でで出口だああああ!』
「あ、ちょっと!」
私と零は小走りでハクダンの森を抜けるのだった。
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