>> 幸せの法律

 山から街へ吹きおろす風を見送る。

「……なぁ、レイシ」
「……ん?」
「……俺達、これで、良かったのかな」
「何でそう思うの」

 エレフと2人、よく遊んだ『庭』から、街を臨んだ。
 今は俺たちは、大人だけど――今でも此処を美しい楽園だと思える。
 後世まで残したい。残してほしい。

「……レオンの、最期が、どうしても」

 ずっと離れないんだ、とエレフは言う。

「――馬鹿だなぁ、エレフは」

 頭を抱き寄せた。
 エレフは、レイシ、と呼ぶ。

「いいに決まってるだろ。レオン、何の為に死んだんだと思ってるんだよ。……少なくとも、俺達は、幸せにならないと」

 エレフは俺の腕の中で何度も頷く。
 あぁ――エレフの方が、兄だっていうのに。父さんと母さんが心配するよ?

「……エレフ、愛してる」

 でも、ほら、俺だけは。
 少なくとも俺だけは、ずっと、エレフの傍に居るから。

「――俺も」

 こどものように笑った。










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