守ってくれるもの

 日本神社での解放石集めは難航した。

「つ、疲れた……!」

 そもそも、階段が長すぎる。いつか頂上に辿り着くのかも謎。
 神さま方やナビィは飛んでいるので割と平気そうだが、俺は素直に階段を登らなければならない。
 早く早くと急かされるし、急ぎたい気持ちもあるのだが、体がついていけない。

「何だよ俺、そんなに老けてんのか……」

 そういや年齢も思い出せない。誕生日も。

「もう、レイシがもたもたしてる間に、1人めの解放石集めちゃったよ!」
「レイシ、こっちも集めたぞ」
「あとは、レイシが階段を全部登り切ったら最後の1人も解放できるよ!」
「お前ら、早すぎるって……」

 アルテミスとヴァルキリーがそれぞれ解放石を持ってくる、が、俺は受け取りを拒否した。

「無理、今疲れてるから。上り切ったら解放する。……俺、何もしてないように見えるけど、解放って意外と疲れるんだぞ?」
「そうなんですか?」
「トト、そこはメモする必要ないからな」

 後世のためです、と言われるが、神さまが封印されているなんて事態二度と起きてほしくない。
 もうこんなつらい役目はごめんだ。勿論誰かにさせるのも。

「それよりさ、誰か俺のこと抱えて飛べないわけ? 多分俺も軽くはないだろうけど」
「無理だよ、拒否されてるもん」
「は? どういう意味だよ、それ」

 何でアルテミスに答えを返されたのかは分からない。さすがにアルテミスは俺のこと抱えられないと思うけど……。

「なんか、レイシの周りに変な壁っていうか、バリアみたいのがあるんだよね。そのバリア、あたしたちがレイシに触れるのを嫌がってるみたい」
「バリア……?」
「物を渡すのは平気みたいですが、触れるのは無理のようです」
「何だろうな、そのバリア。私も見た時から気になっていたが、レイシには心当たりはないのか?」
「ないな」

 ……待てよ。
 だとしたら……。

「それ、魔神にも効果あるのかな?」
「どうだろうな」
「基本的に、私たちと魔神に差異はありませんからね。主に所業によって分けられているみたいです」
「だったら剣で助けてくれたのも、そいつの仕業かもしれないな」
「確かに」

 だが、誰なのかは全く想像も付かない。決まったわけでもないし。

「まあこのバリア自体、俺が自分で張って、その記憶をなくしたのかもしれないしな……」
「それ有り得る!」
「そんな嬉しそうに言うなよ、アポロン」
「日本神社の神さまでしょうか?」

 どうなのだろう。できれば早く結末に辿り着きたい、すごくもどかしい。
 俺はもう一度階段を上り始めた。いつまでもここで立ち止まっているわけにはいかない。

「待ってろよ……俺の記憶!」

 俺の目的は、あくまでそっちである。

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