世界は同じようにしか回らない |
「臨也、今日はクリスマスだよ」 「そうだね」 彼は、俺にキスをするのが好きだ。 それも、俺が助けられてからするようになった事だけど。 ――でも、それだけで安心してくれるのなら、いくらでもしてほしいと願う。 「何をしようか」 「何かしたい事でもあるの?」 「もう、サンタさんは来ないからね」 でも望むなら、俺が澪のサンタになってあげるよ? と。 臨也はそう言うけど――俺が欲しいのはそんなものじゃない。 「じゃあ……サンタさんに、お願いしようかな。何でもいいの?」 「俺に叶えられる事なら、何でも」 じっと臨也を見つめると、同じように見つめ返された。 ……困られても、困る。当たり障りのないものを選んでおこうか? でも――本音を、言えば。 「じゃあ、サンタさん、俺のお願いを叶えて下さい。困りそうなものだけどいいですか? 俺はいつも悪い子だったけどいいですか」 「勿論」 形ではない。いつか朽ちてしまう、形あるものなら要らない。 永遠に生き続ける、形ないものが良い。 「俺に、愛する人の愛を下さい。もう二度と放さないように、一番の愛を下さい」 ぎゅと臨也にしがみつき、言った。 逃さないように、爪だって立てたいくらいだ。 「澪……」 「駄目なら、他のものを考えます」 嘘だった。 他のものなんて考えられない、俺が欲しいのはそれだけだ。 臨也からの愛、それが欲しい。 逆に言えば、それしか欲しくない。他のものなんて要らない。 「――もう、とっくに叶ってるのに。それで良いの?」 「うん」 だったら逃がさないように、小指を絡めるだけだ。 臨也は笑う。本当に欲しいものを知ったから。 10-12/24 (クリスマスなんて要らないね) (何で?) (俺達の欲しいものはすぐそこに在るから) メリクリ! 前頁│次頁 |