白と黒と焔の悪魔 | ナノ
人は何かにつけて争いたがる。
頭脳を競う物、武器を持つ者、その形態は様々でも。
そんなに、自分が他人より優れていると知りたいのだろうか。
「……俺、人間じゃなくなってよかったな」
「イキナリシミジミト何ヲ……何故ソンナ事ヲ言ウ?」
「いや、だってさ」
あんな下らない種族が、この世界で生きていいわけないと思ったんだ。
「何ヲ偉ソウニ……シカモ他人事ダナ。我ガ助ケナケレバ、オ前ハ人間ノママ死ンデイタノダゾ?」
「う……だから、感謝してるってばぁ」
人は生きる限り他を傷つける。
死ねば土に還り、その方が余程理に適っているというのに。
「……まぁ、朽ちない身体っていうのもいいよね……」
「ン? 何カ言ッタカ?」
「別に」
今、傍らの彼は、今まで過ごしてきた永く辛い日々を少しも感じさせないように笑っている。
胸を刺すその孤独は、独りきりでは堪え難いものだ。
シャイターンをもう独りにはしておけない。
その孤独な哀しみを俺は、もう知ってしまったから。
(独りで生きるには、それはあまりに永い)
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