少し寄り道


※R18ではないですが言葉が出てくるので背後注意






 帰ってきた途端、しずは俺をそこらに下ろし――何故かずっと横抱きにされていた――さっさと眠りに行ってしまった。
 2人きりで、俺は臨也から逃れられる筈もなく、何故か寝室に連れ込まれ、今に至る。

 ……そもそも何で、俺たちの寝室にしずが寝ていないんだ。こんな気遣い要らないんだけど。



「今日は寝かせないよ? 理由は分かってると思うけど……ねぇ、瀬梨?」
「ひっ……」

 脇腹に触れる手が異常に冷たく、俺はつい声を漏らしてしまう。
 ……それが、臨也のその行為を助長するものだとは分かっていた。
 分かっていたが、仕方ない。

「や、あの……臨也、聞いて」
「聞かないよ」
「い、家着いたら聞くって言ってたのに! 臨也、嘘つきだにゃあ!」
「じゃあ、シズちゃんにでも助けを求めてみる?」
「……う……」

 何故、無理だと分かっていることを俺に振ってくるのだろう。しずは隣の部屋で仮眠を取っている最中だ。多分。
 今はまだ7時頃だけど、突入するのとか最近の俺の動向が気になって眠れなかったとかで、疲れているらしい。
 明日は仕事だから寝なくてはいけない――寝かせたのは、紛れも無く俺だ。

「ひ、ひどい……やめてよ臨也、俺反省してるから」
「本当?」
「ほんとほんとっ」
「じゃあ証拠見せて」

 ……証拠?

「俺の言うこと聞いてよ。全部聞いてくれたら、反省してるって分かる」
「で、でも、そんなの全然関係ないし……心配させたのは、そりゃ謝るけど、約束破ったわけじゃないし」
「約束破ったでしょ。とにかく、俺たちを心配させた罰ね。聞けないんだったら反省してないと見做して、お仕置きしなきゃならないな」

 もう二度と、こんな事をしないように。
 臨也が笑顔を浮かべてそんなことを言うものだから、……怖かった。
 何をされるのか――今、俺たちがベッドの上にいることからも、何をされるか分かってしまった。

「……わかりました」
「えらいね。じゃあ瀬梨、まずは服脱いでよ」
「……………………は?」
「ほら、早く」

 言う事聞くんでしょ、と言われたため俺は渋々それに従う。意味は分からないが、仕方ない。
 下着まで脱ぎかけて、そこまででいいと言われた。

「これから何されるか分かる? 瀬梨」
「何って……えっと、えっち?」
「そう、セックス」

 ――え、当たってしまった。
 こんな幸運は要らない。

「ま……待って、何で?」
「だから反省してるか見るんだって。ついでにさぁ……暫く溜まってた分、全部瀬梨に何とかしてもらおうかなと思って」
「え!? いや、意味分かんないしっ」

 痛い。痛いのイヤ、コワイ。
 俺がぶんぶんと頭を横に振り必死に拒絶の意を示していると、ふっと息を漏らして笑う声が聞こえた。

「やっぱりねぇ……チャンスは平等じゃなきゃ駄目か」
「え? あ……うん、そう思うよ」

 何がかは全く分からないが。

「だよねぇ。じゃあ……続きは、シズちゃんが居る時にしようか。さ、足開いて」

 …………………………。
 ……意味の分からない点が、2つ3つある。

「……何のチャンス?」
「勿論、瀬梨とヤるチャンス」
「しずが居る時ってのは?」
「3Pかな、俗に言う」
「……じゃあ何で、今俺が足を開く必要が」
「挿入はしないけど、瀬梨をイかせはするよ? あと、よかったら俺の方の処理にも付き合ってほしいけど」

 ……処理? 何でもう欲情してるんだ。早くない?
 それより、「よかったら」ってことは、断ってもいいのか。

「だが断」
「まぁ、瀬梨に拒否権は無いけどね。これは反省会だよ? 俺たちを心配させたことに対する反省を、誠意を持って見せてもらわなきゃ」

 そうでした。俺には結局、拒否権は無いのでした。
 しかし処理は嫌だな。自分ですればいいのに。
 多分、フェラとかって言ってくるのだろう。……下のお口で、とか言わないよな、こいつ。調子に乗りそうだ。

「さ、分かったら早く足開いてよ。あ、あと、あんまり大きな声を出すと、隣の部屋で寝てるシズちゃんにも聞こえちゃうかもしれないよ? 喘ぎ声には気をつけてね?」
「……っ」

 こいつ、すっげムカつく!



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