恋愛初心者


 そういうわけで、俺には晴れて恋人ができました。






「ね、臨也……俺、恋人って何したらいいのか分かんない」
「まぁ……俺達の場合、恋人になったからといって大して変わる事はないよね」
「え?」
「今までも十分いちゃついてたし」

 ……そうか。
 臨也の中では、あの俺とのやり取りは、全て……。

「じゃ、こうして本を読んでるだけでいいって事」
「んー。さっきからページが進んでないよ、瀬梨」
「当たり前じゃん」

 俺、ドイツ語なんて読めないし。

「日本語の本ないのー」
「読み尽くしたんでしょ」
「じゃあ買ってくる」
「シズちゃん居たらどうすんの」
「……通販」

 溜息をついて、臨也はベッドから下りた。

「臨也?」
「1人で留守番できる? 暇な恋人の為に本を買ってこようと思うんだけど」

 じっと見つめる。
 ……これが、恋人同士、というものなのだろうか。

「……一緒に行こうかな」
「それこそ、シズちゃんに見つかったら逆効果じゃないの?」
「俺……しずと付き合ってるわけじゃない」

 返事をしていないのは確かだ。
 折角想いを見せてくれたのに、逃げてきてしまうなんて最低だとも思う。

「臨也は俺の恋人でしょ。……それくらい、護ってみせてよ」
「……参ったなぁ」

 臨也は溜息をついた。

「そう言われちゃ、仕方ない。一緒に行こうか、瀬梨」
「うん!」

 本を買いに行くだけだが――

 ――これを『デート』と呼ぶならそれも悪くない気がする。








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