今年も無事にクリスマスを迎えられる保証なんて、どこにも無かった。
特に、最近は、青髭は随分と暴力的である。
いっそ、死んでしまえれば。
そんなことを思ったのに、俺は何故、まだ生きているのだろう。
「レイシ」
「何……?」
珍しく青髭に手招きされたので、俺は素直に行く。
すると、膝を指したので、俺はゆっくりと向かい合わせに、青髭の膝の上に座った。
「……今日は、クリスマスだな」
酔った口調で彼は言う。
あまり良い予感はしないのだが……クリスマスを覚えていたのは、驚きだった。
彼は、彼自身の誕生日は祝っても、俺の誕生日を知らないから。
「うん」
「パーティーをしようか、レイシ」
楽しそうに笑う青髭。……一体、何を考えている?
所詮血に塗れた宴だと……あの部屋を覗いていた俺は思った。
「レイシ、何が食べたい。お前の好きな物を食わせてやろう」
「……俺は……」
――そうだな、今、一番食べたい物は。
結局、パーティーを望んでいるのかいないのか分からないまま、俺は思い付いたものを口にした。
「はは……! お前、そんなものが食べたいのか。いつだって食べられるだろう」
「死んでからじゃ遅い」
「……それも、そうだな」
何を勘違いしたのか分からない、けれど。
青髭の瞳の、酔いの中に妖しい光を見た。
10-12/24
皆様のご想像にお任せします。
メリークリスマス!