少しだけ…

すごく阿部が好きだった。
スゴい投手の球をとっていて。
その人に反抗的だったのも
身体中痣だらけになりながら必死に練習してたのも
口が悪いのも
たれ目も
全部愛しくて
全部、好きだった。
あの日、俺を西浦のマウンド作りに呼んでくれたとき、ちょっとでも距離が縮まった気がしてすっげーうれしかったんだ。

でもさ、わかってたよ。
阿部は榛名さんが好きだって。
榛名さんと付き合ってるんだって。

「ねぇ、栄口。今さ、何考えてた?」
「え??」
「俺のこと…ちゃんと見て」
「水…谷……あっ…ちょっ…と」
「知ってるよ。」
「…何、を……あっ…」
「栄口が阿部のこと好きだってこと」
「へ…」
「見てたらわかるよ。阿部のことばっか見てんもん」
「うそ…」
「でもおれさ、それでもいい。」
「なん…で!」
「栄口がおれの方に向いてくれんの、待ってっから」
「っ!!ごめ…っく…」
「泣かないでよ」
・・・……

フライとか落としちゃうやつだけど、このときだけはなんかすごくかっこよく見えた。

少しだけ、少しだけ。
今はこいつに頼るとしよう。

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未来日記に次いでのやおい




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