(オデン)
こども体温の続き



目覚めたら頭が痛くて、喉がカラカラで、足に感覚がなくて、そしてなぜかデンジを抱いていた。驚いて悲鳴をあげそうになったが、気合いで堪えて、なんでこの状況になったのか、昨日のことを思い返してみた。確かに俺は昨日結構飲んでて、デンジんとこ行こうと突然思って、家入れてもらって、なんか楽しかったから抱き着いて、ベッド占領して、落とされて、自分だけ寝ようとしてたから捕まえて、そしたら意外とおとなしくて、ちょっとムラムラしたけど眠くなってきたから、少しだけ目閉じたら朝になってたんだ。全部思い出して、我ながら質の悪い酔っ払いだったな、と少し反省した。とにかく、今は足が大変なことになってたので、デンジが起きないかと顔を覗いてみた。どうやら爆睡中らしく、深い寝息を立てている。しかし、俺の腕の中でぐっすり寝ているデンジなんて、冷静に考えてみると、こんな機会は滅多にあるもんじゃない。据え膳、というのはこういうのを言うんじゃだろうか!と良からぬことを閃いた頭をぶんぶんと振ると、デンジが小さく身じろいだ。慌てて動きを止めるものの、時既に遅し、ゆっくりと瞼が開き、青い瞳を覗かせた。

「お、おはよう…」

声をかけてみるが、返事はない。代わりに、ぱちぱちと瞬きをして、ひとつ欠伸をした。起きたら起きたで、足が死んでいるので早くどいて欲しかったのだが、奴はもぞもぞと体勢を変えたかと思うと、あろうことか俺の肩に頭を乗せ、再び目を閉じたのだ。

「…デンジさーん?」

呼んでも応答なし。間違いなく、最初に"に"がついて最後は"ね"で終わるアレだ。くっついてられるのは大変嬉しいんだが、どちらかと言うと俺の足が大変である。けれども、あーなんかいいにおいする、なんてムラムラもし始めている。足が死んでなおムラムラを持て余すなんて不公平かつ理不尽極まりない、と思う。ここは勿体ないが、限界を訴えている足の上からどいてもらうことにした。

「おいちょっと、足いてーから寝るなよ、……襲うぞ」
「……うるさい……勝手にしろ…」

予想外なことに、まさかのお許しを頂いたので、じゃあ、と遠慮なく首筋に食いついてみたら、股間思いっきり握られて、俺の下半身はとうとう全部死んだ。



220904


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