(オーバ×デンジ)
朝起きたら、目の前におっぱいがあった。おれは青ざめた。俺がおっぱいに顔をくっつけて寝てたからってだけじゃない、そのおっぱいが明らかに女の子のものじゃなかったからだ。慌てて離れるが、何かに阻まれていて一定の距離以上離れられない。腕だ。眩暈がした。つまり俺は半裸の男に抱きしめられながら半裸の男のおっぱいに顔をうずめて寝ていたのだ。なぜそんな状況で寝ていたのか、遅くまで飲んでいた酒のせいで思い出せない。一刻も早くこの状況を脱出して、この赤いのを叩き起こし、この状況の説明を求めなければならない、と、俺は悟った。
「くそ…おッ…きろッ!」
腕は抱きしめられて使えなかったので、おっぱいに頭突きをかました。奴はもにゃもにゃと何か呟いて、もぞもぞと動いて、ゆっくりと目を開いた。
「……おい」
「……」
が、俺の挨拶を無視して、奴はあろうことか俺を抱き直し頭をぽんぽんと撫でて、再びすーと寝息を立て始めた。お前も寝ろ、ということか。少し悩んだ後の結論、まあ飲み明けだし仕方ないよな、というのはは言い訳で、本気で暴れれば抜け出すことは可能であるという事実に気付かないふりをして、柔らかくもないおっぱいに顔を埋めて、寝ることにした。
220616